26:パッケージ版とダウンロード版
もう書くことないなー、ほとんど毒は吐いちゃったなー、と一年以上放置し倒していたわけですが、なぜか応援コメントが大量に届くという珍事があり、「なんだぁどうしたぁ何事だぁ」と調べてみたところ、ツイッターで紹介&拡散してもらえたようです。ありがとうございます。
せっかくなのでなにか書くかーと戻って参りました。
完全に放置していたので新しくいただいた質問とかにもいまさら気がつきました。もう読んでくださっているかわかりませんが、気長にお待ちください。
あとひょうろくだまとしてシナリオのお仕事を承ることはないので、そちらもご了承ください。
というか、名義隠してコソコソ好き勝手に毒を吐くような俺みたいな奴と一緒に仕事なんてしない方がいいと思う。
さて、今回はダウンロード販売について。
今まで散々「リピートはない」と言ってきたわけだが、最近だとちょっと事情が変わってきている。
パッケージ版はやはりほとんどリピートは来ないのだが、ダウンロード版は評判が良ければじわじわと売れていくのだ。
といってもやはり爆発的に伸びることはほぼないのだが、それでも毎月ちょっとずつ売れてくれるのはメーカーとしてとてもありがたい。
たまに半額セールなどもありドカンと売れることもあるため、どこのメーカーもダウンロード販売を重要視しはじめているのではないだろうか。
最近こそパッケージと同日発売のタイトルが増えてきたが、ちょっと前まではダウンロード版はパッケージから数ヶ月~半年後くらいに発売されるのが普通だった。
まだダウンロード販売というのがユーザーに定着しておらず、忌避感すら抱かれていたため、メーカー側としても「どうせ売れない」とさほど重視していなかったのもあるが、一番の理由はそうではない。
別業界の話になるが、PS4の場合、パッケージもダウンロードも、大本はソニーである。どっちが売れてもソニーに金が入る仕組みになっている。
しかしエロゲの場合、パッケージは流通、ダウンロードはダウンロードサイトを運営する会社、というように、どちらが売れるかによって金銭の流れが変わってくるのだ。
ここに「同日にダウンロード版を出せなかった最大の事情」が隠されている。
パッケージ発売の同日にダウンロード可能になると、客の何割かはダウンロード版に流れていく。それはつまり、流通の儲けが減ることを意味している。
なので流通としては、パッケージを売り切るために同日にダウンロード版なんて出されたら困るわけだ。
これは俺の推測ではなく、事実である。
流通との打ち合わせで「同日にダウンロード版出したいんですけど」と相談すると露骨に嫌な顔をされるし、「そうなると店舗での展開に力を入れられないかも」的な脅しめいたことまで言われる。
大手メーカーなら流通に広報を頼らなくても問題ないが、弱小メーカーはそうはいかない。流通にそっぽ向かれてしまうと立ち行かなくなってしまう。
なので、泣く泣く従うしかないわけだ。
どうせ従っても大きく展開なんてしてくれないのだから、流通は本当に足を引っ張ることしかしねぇな、なんて思っていたものである。
が、これは結構前の話なので、今は事情が変わってきて流通も寛容になっているのかもしれない。
あるいは、ダウンロード販売がかなり強くなってきたので、流通の影響力が下がってきただけかもしれないが。
とにかく、今やダウンロード版は売り上げの半分以上を占めたりもするので、メーカーとしては無視できない市場となっている。
よさそうな旧作を見つけたときは、できればまずは中古ではなくダウンロード版を探してみて欲しい。そして購入してあげて欲しい。
中古よりはさすがに高くなってしまうが、プレ値がついているような作品はむしろ安く買えるかもしれないし、なによりメーカーの潤いとなる。
流通に頼らずともダウンロード版のみで十分に売れる、という状況になれば、エロゲ業界も多少変わってくる……かもしれない。
少々短い気はするが、今回はここまで。
また一年後になるかもしれないし三日後とかになるかもしれないが、答えていない質問もあるので、一応「つづく」という形で締めさせていただく。