米PGAツアーの2019―20シーズンは既に始まっているが、1月2~5日に行われたセントリー・チャンピオンズ(ハワイ州)は年始めの大会であるため、最終日の朝、恒例のコミッショナーの会見が開かれた。4季目を迎えたジェイ・モナハン会長(48)は「PGAツアーは素晴らしく良い方向に進んでいる。まだまだ発展する」とニコニコだった。その最大の要因は、昨年12月に更新されたテレビ放映権の金額だ。
契約期間は22~30年と長期でありながら、放送局はこれまでと同じ。ケーブルTVのゴルフチャンネルが予選ラウンド、CBS、NBCのネットワーク(地上波)が決勝ラウンドの放映をそれぞれ請け負う。そして、その額は年間7億ドル(約770億円)と、これまでの4億ドル(約440億円)から大きく跳ね上がった。前年比約1・7倍の放映権収入は会長就任以来最も高額の契約であるから、新年から上機嫌なのもうなずける。
一方で、デジタル部門(ネット配信)は米国外ではディスカバリー社と19~30年の独占契約(12年間で推定約20億ドル、約2200億円)を結んでいるが、米国内でネット配信するNBCとの更新契約は目下交渉中だ。一時はアマゾンもネット配信に興味を示していたと報道されているから、その金額もさらに上がりそうな気配が漂う。
これらの収入は各トーナメントの運営、放映のためのプロダクションに充てられる。「より良いコンテンツを世界中に放映、配信すればゴルフファンはもっと増える。だから映像に全力を注ぎたい」とモナハン会長。その戦略の狙い通りにゴルフファンがますます増えるなら、放映権高騰も悪くない。(全米ゴルフ記者協会会員)