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BS1 ワールドウオッチング - WORLD WATCHING -

2018年11月12日(月)

日米関係への思い~ケネディ前駐日大使に聞く

山澤
「特集・ワールドEYES(アイズ)。
けさは、アメリカのケネディ元大統領の長女で、オバマ政権下で駐日大使を務めた、キャロライン・ケネディさんのインタビューをお伝えします。」


藤田
「ケネディさんは去年(2017年)1月に大使を退任し、現在は、日米両国の絆を深めるために、次世代を担う若者の交流支援を続けていますが、大使在任中に実現したのが、2年前のオバマ前大統領の広島訪問です。
アメリカの現職大統領によるこの初訪問実現の裏には、ケネディさんの強い思いがありました。」

山澤
「来日したケネディさんに、そのときの思いや日米関係について聞きました。」

ケネディ前駐日大使 日米への思い

大使を離任してから、今回で2度目の来日となったケネディさん。
日米など40人余りの高校生たちが参加する、国際交流プログラムの開催が目的です。

この活動は、ケネディさん自身が大使時代から推進してきたもので、次世代を担う若者たちが、詩の制作などを通して互いの文化や習慣を学び、相互理解と絆を深めてもらおうというものです。

前駐日大使 キャロライン・ケネディさん
「駐日大使時代に米日の強固な協力関係を再認識し、それが周辺国や世界全体にも、とても重要なものだと感じました。
その大切さを、アメリカの人々や若い世代と共有したいと思ったのです。」

ケネディさん 大使受諾の胸中

ケネディさんが初の女性駐日大使に着任したのは、2013年11月。
国内外で注目を浴びた一方で、政治や外交の経験不足を指摘する声もありました。

山澤
「なぜ、大使の職を受けたのですか?」

キャロライン・ケネディさん
「自分の国のために働けることほど、名誉なことはありません。
しかも、民主主義を共有する日本に関わる仕事でしたから。
批判はたくさんあったでしょうが、ベストを尽くしていればチャンスは与えられます。
実際、仕事ができるかどうかは、自分次第です。
私は政治の実務経験はありませんでしたが、常に政治の世界が身近にありました。
私が大切にする価値観は、父のケネディ大統領が目指し、そしてオバマ大統領が闘い、守り続けてきたもので、私もそれを高めていきたいと。
ですから、私でも貢献できると思ったのです。」

初の“女性大使” 就任への思い

山澤
「残念ながら、政治の世界は今も男性に大半を占められるなか、駐日大使に就いたことは大きな意味があったと思いますか?」

キャロライン・ケネディさん
「個人的にも意味があることでした。
女性が目に見える高い地位につくことで、もっとオープンに話せる環境のお役に立てたならば、うれしいです。
私は女性を含めた、全ての人々の大使でありたいと思っていました。
ですから、女性の地位向上を求める声が急速に高まっていた時期に、女性初の駐日大使に就任できたのは、とても幸運でした。
女性の地位向上という点では、アメリカでもまだまだ道半ばなのです。
ただ、その過程で学んだ経験を日本に伝えることができたのは良かったですし、日本の女性のお役に立てたことを願っています。」

印象深かった 父を通じた出会い

駐日大使となったケネディさんには、日本への特別な思いがありました。
第2次大戦中、魚雷艇の艦長だったケネディ大統領は、旧日本海軍の駆逐艦の攻撃に遭い、九死に一生を得ました。
ケネディ大統領は戦後、日本側の艦長だった花見さんに自ら連絡を取るなどして親交を深め、大統領として日本を訪問することを強く望んでいたといいます。
しかしその願いは叶わず、娘のケネディさんは父親の遺志を引き継ぎたいと思っていたといいます。

キャロライン・ケネディさん
「私はささやかにですが、ケネディ大統領の思いを実現しようとしていました。
大使時代で最も印象深かったのは、ケネディ大統領が戦時中に艦長をしていた魚雷艇と衝突した、元日本海軍の花見少佐の奥様にお会いしたことです。
その時、過去のわだかまりは消えて、私たちが今ここでともに生きていることを実感できたのです。
和解の精神と人間らしくあろうする気持ち、そして日米両国が過去を乗り越え、関係を築いてきたということが、私の心を大きく動かしました。
また私は、日米の歴史的な和解とともに、世界や周辺地域で重要視される日本のリーダーシップに関わることに力を注ぎました。」

オバマ前大統領 広島訪問の意義

山澤
「オバマ大統領との良好な関係が、職務を果たせた理由ですか?」

キャロライン・ケネディさん
「どの大使にとっても、それはとても重要だと思います。
自分の国のリーダーから大きな支援を受けられるほど、赴任先の国でよい仕事ができ、政府のよい代表となることができますから。
オバマ大統領は非常に協力的でしたし、日米同盟の重要性をよく理解していました。
アジアの勢力バランスを取ることにも力を入れ、その結果、日米関係にとって建設的な期間になったと思います。」

その象徴的な出来事が、2016年の5月に実現したオバマ前大統領の広島訪問でした。
現職大統領として初めて、原爆の犠牲者に祈りをささげたのです。

その実現を強く後押ししたのが、ケネディさんでした。
自身も20歳の時に広島を訪れたことが、核廃絶に強い関心を抱くきっかけになったといいます。

キャロライン・ケネディさん
「広島は、私が日本で最初に訪れた場所です。
学生の時で、叔父と一緒でした。
衝撃的な訪問でした。
まさか大使として再び訪れるとは思っていませんでしたし、心に強く残りました。
核軍縮はケネディ大統領が力を入れていたことで、最大の功績が『部分的核実験禁止条約』でしたから、大統領も広島を訪れたかったはずです。
オバマ大統領は、ケネディ大統領の仕事を受け継ぎ、核の不拡散に取り組みました。
ですから、オバマ大統領の広島訪問に関わったことは、個人的にも国際的にも大きな意味がありました。」

大統領の広島訪問 世界へのメッセージ

山澤
「なぜオバマ大統領にとって、広島訪問が重要だったのでしょうか?」

キャロライン・ケネディさん
「国の指導者たちが、紛争をなくそう、平和を築こうとする姿を世界が目撃することになったので、広島訪問は重要だったと思います。
しかもそれは、信頼と和解があって行われたのですから。
この2人のリーダーが率いる国が、過去の戦争を経て、今は最も親密なパートナーであることは、世界中の国の人々の心を鼓舞するものだと思います。
広島訪問の実現のために、役割を果たせたことはとても名誉なことでした。
しかし、それは日米両国が70年に渡って築いてきた友情や思いやりがあったからこそ、道筋がつけられ、実現できたものだと思います。」

“民間人として” つなぐ日米の絆

一民間人に戻った後も、日米間の架け橋になりたいと、交流活動を続けるケネディさん。
これからもこの日米の絆が、周辺諸国だけでなく、さらなる世界の発展につながればといいます。

キャロライン・ケネディさん
「日米が、今まで築いてきた関係を継続していくことを望んでいます。
私たちはこれまで、民主的価値観と人権や国際法に対する敬意など、強固に共有できるものを育んできたのですから。
こうした協力関係は、両国だけでなく、アジア太平洋地域や世界の国々の発展を助け、よい影響を与えられるはずです。」


藤田
「キャロライン・ケネディさんは親日家だとは聞いていましたが、ご自身にとっても、日本はゆかりのある思い出深い場所だったんですね。」

山澤
「戦後70年という節目に、駐日大使として日米関係の発展に貢献できたことは意味のあることだったと、何度も語っていました。
父親のケネディ大統領が目指していた日米関係強化への強い意志が、キャロラインさんの言葉を通じて伝わってきたと思います。」

藤田
「また先日のアメリカの中間選挙で注目された女性の政界進出、ケネディさんも初の女性駐日大使として意義を強調されていましたね。」

山澤
「ケネディさんは、女性として大使になったことを最大限生かしたいと、在任中、日本の女性の活躍を応援して回っていました。
日本での変化はゆっくりかもしれないけれども、日本の女性たちにも、今後もっと変化が起きてほしいと語っていました。」

藤田
「そしてやはり印象的だったのは、オバマ前大統領の広島訪問や、ケネディさん自身の広島や平和への強い思いでした。」

山澤
「INF=中距離核ミサイル全廃条約を破棄する考えを示したことについてですとか、また、自国第一主義を推し進めることなどについては聞くことができなかったのですが、ケネディさんが父から受け継いだ核廃絶や平和の重要性を繰り返し語っていたことが、トランプ政権へ、そして各国へのメッセージだと私は感じました。
今、世界では、さまざまな問題によって分断や対立が深まっていますし、核の脅威も高まっているといわれています。
しかし、過去の過ちを教訓に相互理解の姿勢を持つこと、そして、対立を乗り越えてともに平和を追及し続けること、それが、父親・ケネディ大統領の遺志を継ぐケネディさんの強い思いだと感じました。」

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