anime
#3『あんスタ!』こだまさおり&松井洋平&桑原 聖によるアルバム全力レビュー&インタビューを期間限定で公開
2020.01.02 <PASH! 2019年12月号>
MaM、Valkyrie、fine。それぞれの魅力
PASH!PLUSでは、2020年1月7日まで、PASH!2019年10月号から4号連続で掲載された『あんさんぶるスターズ!』アルバムシリーズのスタッフインタビューを限定で掲載! 2020年のお正月、アルバムを聴きながらおおいにもりあがりましょう!
※本インタビューは2019年11月に発売したPASH!12月号掲載のものです。
※テキストのコピー、スクリーンショット、キャプチャなどしての無断転載及び無断使用は固くお断りしております。TwitterをはじめとしたSNSでの転載はお止めください。見つけ次第お声掛けをさせていただく場合がございます。
作詞家・こだまさおり&作詞家・松井洋平
&プロデューサー・桑原 聖座談会
三毛縞 斑としてはできないことが、MaMならできる
――MaM、Valkyrie、fineについて、それぞれの魅力を教えてください。
桑原 「笑顔咲くお祭り男」というキャッチフレーズどおりいろいろなところに顔を出しているけど、実は我関せずというか、一線引いているのかな…?と思わせるところもあって。そんな彼が、これからどういうふうにみんなに絡んでいくのかが楽しみです。
松井 斑って『あんスタ!』で一番人間らしくてシンパシーを感じているんです。斑以外の他のキャラは心の奥と表の顔がどこか通じているけど、斑は心の奥と表に出している部分が一番違う気がして。それが逆に、MaMというユニットの弾けっぷりに繋がっているのかなと。たぶん、斑はMaMという存在になるのが楽なんでしょうね。三毛縞 斑としてはできないことが、MaMならできるんだと思います。
――Valkyrieはいかがでしょう?
松井 手芸部のお師さん(斎宮 宗)なので洋服にたとえると、旧Valkyrieのお師さんは「完璧に体型を維持してこの洋服を着こなしてくれ!」となずなとみかに言っていたのが、今では、自分たちの動きに付いてこられるように、少し遊びのある洋服を作るようになってきたのかなと思います。
桑原 なずながいなくなったからこそ、お師さんとみかがお互い支え合うバランスが取れてきたのかなと。お互いがお互いの足りない部分を補い合って、絶妙な関係性だと思います。言い方が難しいのですが、今のほうが、ユニットとしては完成されていると思います。凝り固まらずにいろいろなことに挑戦できるのは、このふたりだからこそなのかもしれません。
松井 なずなという素材がいたために、完璧な世界観を作れてしまった。それゆえの不幸でもあるのかな…と。あれだけ完璧を求めるお師さんだから、きっと不測の事態はある程度予想していたと思うんですよ。にもかかわらずの失敗で、だからこそ動揺したんでしょうね。失敗する恐怖ってすごいですから。僕らも山ほど失敗してきてようやく今のような感じになってきましたからね。
こだま 彼らはまだ十代ですからね。アニメでは3人でいるシーンが描かれていて「仲良かったんだねぇ…」と戻らない日々に胸が痛くなりました。
桑原 意外とほのぼのしてましたよね。お師さんがけっこう優しくて。
松井 だから、ふたりともお師さんのことが好きだったんでしょうね。なずなだって、ただ自分の道を探しただけでしたし。
――fineはいかがでしょうか?
こだま 『Neo Sanctuary』を書いた頃は、まだ英智さんをそこまで知らなくて。その後、彼がしてきたことを知り、だけどそこには彼なりの正義があったことも知って。
松井 そんな彼らがやったことを全肯定させられるパワーが楽曲にも求められている気がして、クリエイターとしては恐怖もありました。
桑原 最初に、fineってどんなユニットなんですかとハッピーエレメンツさんに聞いたときに「王者です。王様はレオなんです」と。王者と聞くと堂々とどっしりした雰囲気がありますが、fineのロゴの羽や純白の衣装など、天使のようなイメージから、意外と軽やかな音楽なのかなと想像して楽曲を作っていました。fineは、昔と今の彼らの思想の変遷を辿るのも面白いユニットですよね。
松井 英智が「人」の喜びを自分の喜びに感じられるようになったのは大きな変化ですよね。でも、個人的には今のfineにとっては桃李の存在も大きい気がしています。今のfineは桃李のイメージで引っ張っているところも大きいと感じています。
各曲ピックアップ
MaM
君印 Be Ambitious!!
桑原 テーマは「進む道の先」です。ソロユニットではありますが、“三毛縞 斑”と“MaM”は違うものだと考え曲作りをしています。MaMは「頑張っている誰かを応援したい」という側面が強いのかなと思い、聴く人にとって希望の歌になるようなイメージで作っていただきました。
こだま 『Blooming World』も応援歌のような曲だったので、それとは違う表現で応援する気持ちを歌詞にしました。MaMは包容力がある印象なので、「君印」という、相手の“らしさ”を全肯定して受け入れているような言葉をタイトルにしています。ただ、君が君らしくいられる世界に僕も一緒にいさせてほしい、とは言わないのがMaMらしさなのかなと。決して一線を引いているわけではないけれど「君は君だから大丈夫だよ」と言ってくれるのがMaMなりの応援なんだと思います。
辻風に吹かれて with team 牛若丸
桑原 イベント「花吹雪*皐月の藤紫」のイメージで、テーマは「藤色の花吹雪」。曲調がカッコよくなったので光に歌わせてもいいものだろうかと悩みましたが、(天満 光役の)池田(純矢)さんが、ふだんのRa*bitsとは違う雰囲気で歌ってくれました。
こだま 変則的なメンバーなので歌い分けに少し迷いましたが、基本的には斑さんメインで、いいところで斑と奏汰のふたりに歌わせてみたり。奏汰は、斑と一緒に歌うことに対してどう思っているのか気になりますが…(笑)。特に1サビ2サビなんかがそうですが、通常のユニット曲なら均等に分けるところを斑が引っぱりつつもteam牛若丸にも花を持たせて、あのステージらしさを出しています。
RevolTrad~維新伝心~ with 紅月
桑原 イベント「躍進!夜明けを告げる維新ライブ」のイメージで、テーマはそのまま「維新」です。改革していく側と守る側、その両方の信念を描いてほしいとオーダーしました。
松井 この曲は僕の趣味です(笑)。司馬遼太郎先生が好きで『竜馬がゆく』も全部読んでいるのですが、幕末の世界観を彼らが演じるイメージをそのまま書きました。歌詞の「閉ざされた場所」は、そのまま“鎖国”と、“かつての夢ノ咲”をダブルミーニングにしています。特に紅月は体制を守る側だったから、彼らの改革に対する思いも少し入れています。というわけで、みなさんもぜひ司馬遼太郎先生を読んでみてください(笑)。もうひとつポイントは、英語の歌詞にしたところ。紅月はあまり英語で歌うイメージがないのですが、MaMの黒船感を出したくて、あえて英語を入れてみました。
See You Again 三毛縞 斑
桑原 MaMはストーリーが少ないので、今までとは違う解釈にしようと思い、歌詞をコンペにしてみたんですよ。たくさんの歌詞をいただいたのですが、なぜか知り合いから応募が来まして…(笑)。
松井 (笑)。だって俺にもコンペの連絡が来たから!(笑)斑のパーソナリティを考えたときに、どういう歌詞になるか興味深くて書いてみたんですよ。
桑原 作品を深く知ってくださっているだけあって、“斑”と“MaM”の線引きがお上手で。テーマは「今と昔の距離」で、MaMになる前の心情も描いてもらっています。
松井 「今と昔の距離」という言葉も様々な受け取り方があると思いますが、この歌詞が誰かに届いたときにどう受け取られるか、それ自体を斑自身が楽しんでいる感覚があります。この歌が斑の全てというわけではないですし、まだまだ全部を答え合わせするには早すぎるんじゃないかな。だから、タイトルを「See You Again」にしたんです(笑)。
Valkyrie
今宵月の館にて
桑原 テーマは「ハロウィンパーティー」で、Valkyrieらしいハロウィンソングを作っていただきました。僕のValkyrieのイメージって、お師さんがありがたい言葉を言ったら、みかが「ハイっいただきましたお師さんのありがたいお言葉!!」と拡声器を持って横で言っているようなイメージなんです。なので、拡声器っぽいエフェクトをかけてみました(笑)。
こだま これは書いていてすっごく楽しかったです! 「リアクト マジカルハロウィン」では、みかが中心になるパフォーマンスをお師さんから任せられるんですよね。でも、もし彼が自分で曲を作っても自分を主役にはしないと思い、「お師さんがどれだけ素晴らしいかを見せたるわ!」と喧伝するストーリーテラーのような立ち位置にしてみました。なので、イントロはみかだけに歌わせています。Aメロの歌詞も、お師さんが人間的な感情を歌っているのに対し、みかは状況説明に徹していて。(斎宮 宗役の)高橋(広樹)さんもミュージカルのように歌ってくださり、今までにない曲になったと思います。
Mémoire Antique
桑原 テーマは「アンティークメモリー」。キーワードで「黄金境の旋律」「悠久の空を飛ぶ鳥」「過去から届く歌」という単語を挙げました。特定のイベントに合わせた曲ではないのですが、劇的な物語を経験してきたふたりなので、描かれていない物語があるだろうと想像して作った曲です。
松井 Valkyrieの過去に対しては「嘆き(Lament)」のイメージが強かったのですが、そのなかにも歓喜はあったはずで。だから、今のValkyrieが歌う希望の物語を書きたかったんですよね。『礼賛歌』はValkyrieの曲というより斎宮 宗の芸術を書こうとしたので、ユニットとしてのValkyrieを意識し出したのはこの曲からかもしれないです。その意味で、歌い分けのバランスもふたりとも同じくらいにしています。お師さんが、みかちゃんを対等に扱おうとする曲を作ると、こういう曲になるのではと考えながら作りました。
桑原 収録でも、昔は(影片みか役の)大須賀(純)さんにはお師さんに引っ張られている感じで歌っていただいていたのですが、この曲は、みからしさを出してほしいという話はしましたね。
Cloth Waltz 斎宮 宗
桑原 お師さんの曲としては意外に思われた方もいるかもしれませんが、Valkyrie色の強い曲調にすると差異化が難しくなるので、宗の本来の優しさや繊細さの側面を描いた曲にしました。現在発売しているソロ曲はこれだけですが、夢ノ咲のアイドルは持ち歌として他にもたくさんの曲を持っていて、そのなかの一曲というイメージです。それこそ、マドモアゼルが出てきてもいいんじゃないかという話もありましたね。テーマは「クロスワルツ」です。
こだま 「スカウト! ヴィクトリア」を読み直し、宗さんの愛情深い一面を書きました。ひと針の妥協なく命を与えられて「僕達の芸術を さあ、魅せてごらん」と言ってもらえる人形やドレスは最高に幸せだなあと。優しく美しく温かいステージを描いています。
琥珀ト瑠璃ノ輪舞曲 影片みか
桑原 テーマは「人形の輪舞曲」。宗の人形だったみかに自我が芽生えていく様子が出せるといいなと。歌い方も、Aメロは人形っぽく淡々と、Bメロで少しずつ自我が芽生え、サビで自ら動き出す感じを表現してみました。
松井 “人間・影片みか”をこれでもかというほど煮詰めて煮詰めてドロっとしたものをインクにし、みかの歪さをどこまで美しく昇華できるかを考えて書いた歌詞です。『小さい秋見つけた』という童謡に「うつろな目の色 溶かしたミルク」という歌詞があって、かわいい曲なのにどこか怖い雰囲気なんです。この曲でも、みかちゃんのかわいさを怖さで表現したくて、みかの特徴である目の表現をたくさん入れ、お師さんのためならそれさえ棄ててしまう、という表現にしました。最後に「愛」という言葉を入れるか迷ったのですが、入れないとみかの狂気の芸術は完成しないと思い、あえて入れています。
fine
Holy Angel’s Carol
桑原 イベント「ノエル*天使たちのスターライトフェスティバル」の曲で、テーマはそのまま「スターライトフェスティバル」でお願いしました。「天使の視点でクリスマスソングを書いてほしい」とオーダーしたのですが、今までは英智が自分の手で学院を変えなければと考えていたのが、メインストーリーを経て、変わっていく周りの環境を見て楽しめるようになったと思うので、「みんな一緒に楽しもうよ」とカジュアルにクリスマスを楽しんでいるイメージです。アニメで、英智が流星隊のライブを楽しそうに観ているシーンが描かれていましたが、英智はああいう楽しいことが純粋に好きなんじゃないかなと思うんです。
こだま 天使の視点でクリスマスソングを、とのことでしたが、意外とそういう目線でクリスマスソングを書いたことがなくて、新鮮でした。クリスマスを幸せそうに過ごす人々を見守ることが自分の幸せ、というイメージです。2番で英智と渉が「Merry Christmas」と歌う歌詞があるのですが、これは「スタフェス」のプロローグで英智が渉の夢を見る切ないシーンで「なんてかわいそうなんだ…」と思い、英智と渉のふたりに言わせてあげたくてこの割り振りにしました。
Little Little Prince Star 姫宮桃李
桑原 テーマは「小さな成長」。最初は電子音が中心だったのですが、fine感を出したくて生バンドになりました。姫宮家は言うまでもなくお金持ちなので、もうちょっとお金かけて制作しないと怒られるかなと(笑)。
こだま 自分が憧れている存在がいるからこそ、キミにとってもそういう存在になりたい、という桃李の願いを込めた歌詞です。桃李って見た目はすごく可愛らしいですが、妹がいるし、一年生同士のときはお兄ちゃんっぽいじゃないですか。そんな、可愛らしいだけじゃない彼の一面を書こうと思いました。fineにいるから末っ子感がありますが、努力家ですしデキる子なんですよね。一年生でfineに入るだけでもすごいことですし、自分に自信がありながらも高みを目指して努力を怠らないところもすごいですよね。英智のソロ曲が『SHINING STAR』だったのには驚きましたね(笑)。
Amazing☆World 日々樹 渉
桑原 テーマは「Amazing World」です。もうやりたい放題ですね(笑)。
松井 テーマは「愛」です! 日々樹先生にどんな歌詞を書けばいいですか?とお聞きしたら、「あなたの思うままの私を書けばいいのです!」と仰る声が聞こえたので、そのとおりに書かせていただきました(笑)。「Amazing!」と言っていただいた声が聞こえた気がします(笑)。みかの、唯ひとりに対する重い愛に対し、渉の愛はあまねく全ての人に対する愛です。エロスとアガペーですね。シェイクスピアの言葉を引用したり、彼の過去をほんの少しだけ滲ませようと「滑稽」という言葉を入れたり、「あなたの響き渡る~」で始まり「私が響き渡る~」で終わるようにするなど、細かい部分も実はこだわっています。)。
Genuine Revelation 旧fine
桑原 テーマは「白き革命」です。もともとは英智も革命を起こしたかった人で、そういう意味ではTrickstarと同じなんですよね。変え方ややり方が違うだけで、同じ革命を起こした人たちなんです。英智の革命はうまくいかなかったけど、英智が思い描いていた未来は、希望に満ち溢れていたはずなんです。そんな、英智が革命の先に夢見た希望の未来を歌にしたいと思いました。
松井 テーマの「革命」という言葉はTrickstarのイメージが強いので、代わりの言葉を使いたくて。そこで、旧fine時代にどんな歌を歌えば、旧fineの二枚看板が所属するEdenが今のような神話的ユニットイメージを持たれるかを逆説的に考え、啓示(Revelation)という言葉をタイトルにしました。同時に、夢ノ咲において自分たちが圧倒的な正義であるということを知らしめている曲でもあって。そんな歌を歌っていたことを、Edenで茨さんが利用しないわけがないでしょうし(笑)。また、Trickstarとやったことは同じなんだという思いから、『Rebellion Star』の「Rebellion」と似た響きの単語を使いたかったという思いもあります。また、この曲は『Neo Sanctuary』に繋がるイメージでもあります。こだまさんが『Neo Sanctuary』で「終わり」という言葉を絶望の象徴のように使っていたのですが、この曲では「終焉という救済い贈ろう」の歌詞のとおり、このときはまだ終焉が救いだったんですよね。歌い分けにもこだわっていて、このふたりがこの言葉を歌うのか…と考えるとエモい分け方にしているので、そちらも注目しながら聴いてみてください。「せめて飾ろう 華々しいCadenzaで」という歌詞は渉に贈っている気持ちで書きました。五奇人討伐の最後に渉を選んだ英智の思いをにじませたつもりです。
取材・文/鈴木 幸 (c)Happy Elements K.K
■第1回 流星隊、Ra*bits、 Knightsはこちら!
■第2回 紅月、UNDEAD、 Switchはこちら!
■第4回 2wink、Trickstar、Edenはこちら!
DATA
■あんさんぶるスターズ!
あんさんぶるスターズ!公式サイト:https://ensemble-stars.jp/discography/
あんさんぶるスターズ!CDシリーズサイト:https://www.fwinc.co.jp/EnsembleStars/
通常版CD価格:MaM 2,300円+税、Valkyrie 2,800円+税、fine 3,000円+税、発売元:フロンティアワークス
タグ