Facebookの通貨「リブラ」に世界が震撼した理由

価格変動しにくい仮想通貨は何を目指すのか

リブラをめぐってはアメリカ下院金融委員会が10月23日の公聴会にフェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOを証人に招く事態に(写真:AP/アフロ)

2019年6月に、フェイスブックが新たなデジタル通貨「リブラ(Libra)」の発行計画を公表した。大きな話題となったので、記憶に残っている人も多いだろう。

『決定版 リブラ: 世界を震撼させるデジタル通貨革命』(木内登英 著、東洋経済新報社)は、間もなく姿を現そうとしているこのデジタル通貨がどのようなものであるかを解説した書籍だ。

リブラについては現時点ですでに、賛否両論が巻き起こっている。仮想通貨肯定論者がグローバルに使える初めての仮想通貨であると歓迎する一方、フェイスブックを含むプラットフォーマーの規制強化に取り組んできた欧米の当局、とくに競争政策に関わる規制当局者らは強い拒絶反応を示したのだ。

本書では、こうした相反する2つの意見を踏まえて、世界はリブラとどのように向き合うべきなのかを論じる。筆者自身は、賛否どちらの立場にも与せず、中立的な立場でその解を探ってみた。(「はじめに」より)

はたしてどちらの考え方が正しいのか? そもそもリブラとは、どのようなものなのか? 基本的なことを確認してみたい。

今までのデジタル通貨とはまったく異なる

デジタル形式で価値が保存され、現金と同じように商品購入の支払い、送金などに使えるデジタル決済(支払い)はすでに一般化している。また最近は、スマートフォンでの支払いサービスに多くの企業が参入してもいる。つまり日本でも、電子マネーは根付いてきているのだ。

とはいえリブラは、すでに利用されているそれらのデジタル通貨とは根っこの部分から大きく違っているのだという。

・一国にとどまらないグローバル(超国家)通貨
・価値の安定のため主要通貨のバスケットに連動
・大手プラットフォーマーが主導
(17ページより)

具体的にいえば、違っているのは大きくこの3点だ。

次ページ世界の金融当局がリブラに警戒心を抱く理由
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
  • ミセス・パンプキンの人生相談室
  • Amazon週間ビジネス・経済書ランキング
  • 自衛隊員も学ぶ!メンタルチューニング
  • 最新の週刊東洋経済
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
4

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
  • michikusa240dfbedee3c
    超富裕層が、その社会的責任を果たそうともせず、今も租税回避のために、色んなことをやっているのに、それをますますやりやすくさせるだけなんじゃないですかね。政府や国家がコントロール出来なくなったら非常に危険だと思います。
    up11
    down2
    2020/1/7 09:38
  • No_Name8c2deda8737c
    どうかな。通貨はあくまで発行元(基本的に国)が保証しているから価値があるものとして流通している。世界はfacebookをそこまで信用するだろうか。
    他に選択肢が無い貧困層や細かいことは考えない人達は使うかもしれないが。
    up6
    down1
    2020/1/7 11:58
  • 今日のご飯はf81b0319ab5a
    リブラができれば、海外送金、海外旅行、海外への投資及び海外からの出資募集が非常に安価で楽にできると思ので、ぜひ実現して欲しいです。

    また、全てのレコードが記録されるので、マネロン対策にも有効と思います。

    しかし、為替政策ができなくなるので、弱い通貨は淘汰されると思いますね。
    そうなるとどうなるかが予測ができないです。※ベネズエラなどは、実質ドルですので、問題がないのかもしれないですが。

    もし、心配であれば、上限金額(100万円程度)を設けて始めてくれるといいですね。
    up5
    down10
    2020/1/7 08:54
  • すべてのコメントを読む
トレンドウォッチAD
深刻なガバナンス不在<br>日本郵政グループの難題

かんぽ生命の不適正募集を受け、特別調査委員会が調査報告書を提出。惨憺たる募集の実態が改めて明らかになると同時に、改善提言の実効性、ガバナンスや事業モデルの再構築など、課題山積の状況も浮き彫りになりました。