今回は初心に帰ってウイスキーの基本としてスコッチウイスキーについてまとめていこうと思います。
- スコットランドについて
スコットランドはグレートブリテン島の北約1/3とヘブリディーズ諸島、オークニー諸島、シェットランド諸島などの島々から構成されています。緯度は日本最北端の稚内よりはるかに北にあります。西岸はメキシコ海流(暖流)と海洋性気候で、夏は涼しく、冬も氷点下を下回ることが少ないといった高緯度の割に穏やかです。年間通して平均的に降水があるため、湿気も多く、気候的な話だけならウイスキーの熟成に向いています。 反対に東岸は北海の影響を受けるため、寒冷で雨も少なめです。また日照時間が長いため大麦などの生育に向いています。
- スコッチウイスキーの定義
スコッチウイスキーは「スコットランドで造られ、熟成させたウイスキー」ですが、それだけではなく法律で細かく作り方が定められています。
・水、イースト菌、モルト(大麦麦芽)を原料とすること(モルト以外の穀物も使用可:グレーンウイスキー)。
・スコットランドの蒸留所で糖化、発酵、蒸留を行うこと。
・アルコール度数94.8%で蒸留すること。
・700ℓ以下のオーク樽に詰めること
・スコットランド国内の保税倉庫で3年以上熟成させること。
・水とスピリッツカラメル(色調整用)以外の添加は禁止。
・最低瓶詰アルコール度数が40%。
仕込みから熟成まではスコットランドで行わなくてはいけませんが、シングルモルト以外のウイスキー(ブレンデッドウイスキー、グレーンウイスキーなど)はスコットランド国外で瓶詰してもスコッチウイスキーと呼ぶことができます。
ちなみに基本的にスコッチで使う樽は使用前に別のお酒の入っていた樽を使うことがほとんどですが、その空き樽にも決まりがあります。さらにモルトウイスキーは銅製のポットスチルで蒸留しないとスコッチモルトウイスキーとは呼べなくなります。(つまり ニッカウヰスキーのカフェモルトは海外でも人気でクオリティの高いウイスキーですが、スコットランドではウイスキーと呼ぶことができません。 )また伝統的な味わい・色でないものはスコッチと呼ぶことができないなど、日本では考えられないぐらい細かく決められています。それはイミテーションウイスキーや合成スピリッツでかさまししたウイスキーをウイスキーとは呼ばせないもので、 このような法律のない日本ではこういった粗悪なウイスキーがまだまだ横行しています。
過去の記事でスコッチウイスキーの使用樽についてまとめたものです。よかったら見てください。
- スコッチウイスキーの分類
スコッチウイスキーは原料や製法の違いで 「モルトウイスキー」 と 「グレーンウイスキー」 の大きく2つに分かれます。
モルトウイスキーは モルト(大麦麦芽)を原料に単式蒸留器で2~3回蒸留を行ったもので香味成分が豊富で、独特の個性があり、「ラウド(騒がしい)スピリッツ」と呼ばれています。
それに対して グレーンウイスキーは穀物(未発芽の大麦、小麦、トウモロコシなど)を原料に連続式蒸留機で蒸留したもので、モルトウイスキーより穏やかでクリーンなことから「サイレントスピリッツ」と呼ばれています。
さらに製品となったスコッチにはブレンデッド、ブレンデッドモルト、ブレンデッドグレーン、シングルモルト、シングルグレーンの5つがあります。
この「シングル」は “1つの蒸留所の” という意味です。
つまりモルト蒸留所Aとモルト蒸留所Bとあったときにモルト蒸留所Aで造られたもののみ製品化したものがシングルモルトウイスキーとなり、AとBの2つを合わせたらブレンデッドモルトウイスキーとなります。これはグレーンウイスキーでも一緒で、1つの蒸留所ならシングルグレーンウイスキー、グレーンウイスキーだけを混ぜたらブレンデッドグレーンとなります。
そしてモルトウイスキーとグレーンウイスキーを混ぜるとブレンデッドウイスキーとなります。
しかし、時々
また、そこに「カスクストリングス(Cask Strength)」という表記もついていることがあります。これは “樽出しそのまま” という意味で、通常ウイスキーは最低瓶詰アルコール度数の40%やそれに近いアルコール度数まで加水して製品化されますが、この加水を行っていませんよ。ということです。
オフィシャルの蒸留所の味を楽しんだ後でこのような商品と楽しんでみたらより深くまでウイスキーにはまっていくかと思います。
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次回はモルトウイスキーの製造からスコッチの生産地の違い、その生産地ごとに私がおすすめするウイスキーの紹介をしていこうと思います。UPした際にはぜひ次回もよろしくお願いします。