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IE 5 for Mac20周年、元開発者がジョブズの(わがままな)思い出を語る

一緒に仕事をしたくない

Kiyoshi Tane
Kiyoshi Tane
2時間前 in apple
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IE
Associated Press

今年2020年はInternet Explorer 5 for Macintosh(以下IE 5 for Mac)がリリースされてから20周年に当たります。

その開発プロジェクトマネージャーを務めたJimmy Grewal氏がブログにて当時の状況を振り返り、アップル共同創業者の1人スティーブ・ジョブズの思い出(主に無理難題で悩まされた話)を語っています、IE for Macは、1997年のマイクロソフトとアップルの業務提携により、Mac OS 8.1からMac OS X v10.2までデフォルトのWebブラウザとして提供されたもの。5年間の契約終了後、Mac OS X v10.3からは、おなじみのSafariがデフォルトブラウザに取って代わっています。

Grewal氏は1999年にMSに入社しましたが、それ以前のIE 5 for Mac導入時に、同社が置かれていた状況を以下のように覚えています。

Microsoftにとって、IE 5は儲けさせてもらっていたOffice for Macの顧客に「コミットメント」を示し、ブラウザ戦争で優位に立ち、司法省の反トラスト法による圧力を取り除くためのものでした。アップル側はすべてのMacにIEをバンドルする必要があり、それが素晴らしいことになると望んでいました。そして開発者が駆け出しのRhapsody OS(Mac OS X)に関わり、Carbon API(それ以前のMac OSアプリをMac OS X用に移植しやすくするAPI)が複雑なMacアプリを「簡単に」移植できるほど成熟していることを実証することを切望していました。


ここでいう司法省の反トラスト法による圧力とは「Windows 95をパソコンにバンドルする場合、同社の他製品を使用することを禁じる」とする判決(95年)に同社が違反しているとして、Windows PCへのIEバンドル強要中止などを要請していたことを意味しています。

またGrewal氏はIE 5 for Macを「標準に準拠したHTMLを正しく表示する初の主流ブラウザ」と指摘しつつも、ジョブズとのやっかいな数々のやり取りを述べています。まずインターフェースについては、Mac用のAqua(Mac OS v10.0から採用された一連のGUIデザイン。白と水色を基調とした立体的デザインが特徴)とたまたま似ていたため、当初ジョブズは不満だったとのことです。

IE5 for Macのデザインは完全にMS社内で秘密裏に開発されてから、1999年の夏にプレビューしたとのこと。しかし、Aquaはまだアップル社外には明かされていなかったため、ジョブズは2つが似ているとは表だっていえなかったとされています。

その代わりに、怒りを向けられた先がWebサイトでMP3を再生するためのMedia Toolbarでした。ジョブズはこれが「QuickTimeを弱体化させる」として削除するように指示したとのこと。ところが、その元になったSoundJam MPソフトウェアの権利をアップルが買収し、結局はiTunesの原型になったと語られています。

そして2000年にMacWorld会場でIE 5 for Macをデモする時が来ると、ジョブズは自分でデモをやると主張したとのこと。従来のMS製品は、MSの幹部がステージに出て発表とデモを行うため、これは異例といえます。そこでMSとアップルがデモのポイントを打ち合わせしたものの、ジョブズはそれらにたったの一言も言及しなかったことがとても残念だと、Grewal氏は悔しがっています。

今はなきIE for Macと、偉人というには余りに人間くさくわがままなジョブズの振る舞いを、20年の歳月を経て味わい深く振り返ってみるのもよさそうです。
 

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関連キーワード: apple, internet, internet explorer, mac, mac os x, macos, microsoft, SteveJobs
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