佐藤郁哉『大学改革の迷走』(ちくま新書)https://amzn.to/2N1oHLX 正月休みに読む。著者も書くとおり、本書は大学業界内部の人が皆わかっているのに、外部の人がわかってくれないことを、ほんとうに丹念に丁寧に説明して「わかってもらいたい」と訴える悲痛な叫びなのです。本当に読んでもらいたい本
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308頁。「大学院生の二極化と日本人院生への国語(日本語)指導」。涙なくして読めない。私ですら似たようなことはありました。守秘をこととする査読制度の元、同様の涙を誰にも言えず噛みしめている研究者は多かろう
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「政策の重要な当事者である行政が、「官が誤りを犯すことなどあり得ない。政策が失敗したとしたら、それは民の責任だ」と言い続けているようでは、失敗から何かを学ぶことはできないでしょう。つまり、PDCAサイクルが回るはずなどないのです」(314)
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332頁「無責任体制の一翼を担ってきた審議会委員たち」。「官僚の側は荒田氏に対して意味不明のことを大声で叫び、結局その会議はそのまま散会になってしまったそうです」。「意味不明のことを大声で叫んだ官僚」の話がぜひうかがいたいとことです。誰か取材してくれんかな
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「年輩の教員たちが若手教員の窮状を悪化させている場合もあります。というのも、それらの人々には、終身雇用的な慣行に守られてとりあえず退職までの現状維持や「逃げ切り」を図る一方で、改革関連の面倒な仕事を若手や中堅の教員に対して押しつけてしまう、という傾向があるからです」(348)
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これほんま重要で、こういう指摘が大学内部の「カイカク」の議論で前景化することはほとんどない。ようゆうてくださいました、なんだけど、オレもそろそろ「年輩の教員」になるので他人事ではなく「改革からの防波堤」を自ら担わなあかんと思うのです
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393頁あたりから、ヴォーゲル「ジャパン・アズ・ナンバーワン」の「日本の大学は全体的にダメ」論の根拠のなさ、かつそれが確証されないまま広がった可能性の指摘。「不確かな二次情報に基づく紋切り型の一般化」
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「モデル学習の方向が常に「企業(会社)→大学(学校)」というのは、考えてみれば奇妙な話です。実際には、企業の側が大学における優れた組織運営や人間関係のあり方から学ぶべきこと(メンバー間のフラットな関係、相互扶助の精神など)は大量にあるはずです」(466)注に重要な指摘があるのも本書
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もう全編にわたってまともな大学教員であれば首ブンブン振りすぎて痛くなるくらい「当たり前のことを徹底してちゃんと丁寧にゆうている」本です。あらゆる人に読んでほしい。唯一の難点があるとするなら言うべきことが多すぎて新書としては過剰に分厚くなってしまって持つのが辛いことくらいです
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というかあのスーパー名著『暴走族のエスノグラフィー』https://amzn.to/36xrkwE の佐藤郁哉に「こういう本」を書かせてしまうということそれ自体が、日本の大学政策のクソっぷりを示していると思うんよオレ
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佐藤さんが本書執筆を開始したのは2013年のことという。6年費やして「今の日本の大学の問題」を徹底して書かせることをあの佐藤郁哉に強いる世の中ってほんまおかしいと思うねん。佐藤さんの他の本(どれも素晴らしい)を読んだ人はそう思うだろう。それこそ「日本の知的リソースの浪費」と思うのです
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