押し寄せる大量閉店
人手不足以上に求人数の方が影響を受けるんじゃないかと思うくらい、「大量閉店」という見出しがニュースに踊るようになってきたのではないか。
そのように感じたので、ここしばらくの大量閉店記事をまとめておきます。
「大量閉店」記事まとめ
幸楽苑(2020/1/6)
ラーメン店「幸楽苑」を展開する幸楽苑ホールディングスは1月6日、51店舗を閉店・業態転換すると発表しました。「収益重視型経営への改革の一環」だとしています。
51店舗は店舗数の約1割に当たります。12月に計30店舗、1月に7店舗、2月に12店舗、3月に1店舗、4月に1店舗を閉店する計画です。そのうち東海地域が27店舗と半数以上を占めています。
ミニストップ(2019/12/27)
業界での規模こそ第4位だが、3位との差はあまりに大きい……。さらに今回、差はますます広がった格好だ。ミニストップは7月、今年3月からの3カ月間で、全国の193店舗を閉店したと発表した。看板スイーツ「ハロハロ」はこれからの季節が本番というのに、いったいなぜ? 実は、これが原因だったという見方もある。
アメリカンイーグル(2019/11/25)
青山商事は11月25日、連結子会社イーグルリテイリングによる日本国内のアメリカンイーグル/エアリー事業について、年内にECを含めた全店舗を閉店すると発表した。
いきなりステーキ(2019/11/14)
ペッパーフードサービスは11月14日、いきなりステーキ業態44店を退店すると発表した。
いきなりステーキ489店の内、退店を意思決定した44店と収益性の低下が見込まれる3店において、2019年 12月期第3四半期会計期間に減損損失16億8500万円を特別損失として計上する。
セブン・イレブン(2019/10/24)
セブン-イレブンが約1,000店舗を閉鎖すると発表しました。さぞ業績が悪いのかと思いきや、増収増益が続いていて、業績改善のためではないことがわかります。その根本にはフランチャイズシステムの難しさがありました。
オンワード(2019/10/10)
『23区』や『組曲』『五大陸』などのオリジナルブランドで知られるアパレル大手、オンワードホールディングスの保元道宣社長が10月4日の決算記者会見で構造改革の一環として国内外の2割に相当する600店舗を閉店する方針を明らかにしました。
不二家(2019/9/30)
「ペコちゃん」のキャラクターで知られる不二家は厳しい状況にある。同社は洋菓子店を展開するが、近年は不採算店の閉鎖を余儀なくされている。洋菓子事業の店舗数は15年末には986店あったが、18年末には862店まで減った。3年間で、全体の13%に当たる124店が減ったのだ。
ほっともっと(2019/9/17)
持ち帰り弁当店「ほっともっと」を運営するプレナスが、ほっともっとの直営190店を9月以降に閉店すると発表し、衝撃が走った。
スガキヤ(2019/9/13)
愛知県名古屋市を中心に展開するラーメンチェーン「スガキヤ」が、9月末までに大量閉店することが明らかになりました。今年に入ってから閉店する店舗の数は、全体の約1割に及びます。
ヴィレッジヴァンガード(2019/9/6)
ユニークな本や雑貨などを独特の陳列方法で販売する「ヴィレッジヴァンガード」を運営するヴィレッジヴァンガードコーポレーションで、閉店の嵐が吹き荒れている。
2014年5月末には403店を展開していたが、不採算店の閉鎖を進めた結果、19年5月末には346店まで減った。この5年で57店減ったかたちだ。ヴィレヴァンにいったい何が起きているのか。
ミスタードーナッツ(2019/7/9)
ミスタードーナツの大量閉店が止まらなくなっている。運営会社のダスキンによると、2019年3月末時点のミスドの国内稼働店舗数は1007店で、1年前から79店減った。年間70~80店規模の大幅減が3期連続で続いている。
所感
商売のやりかたとして、法人相手に商売を行うB2B、直接顧客を相手に商売を行うB2Cがありますが、どうにもB2CはもはやB2Cであるだけでリスクが出てきたように思います。
店舗数を拡大して成長を測っていくモデルが軒並み伸び悩んでいます。既存店の売上が縮小しているのに新規店舗を広げて全体として成長しているように見せかける手法が、特に通用しなくなってきているように見えます。なぜなら、既存店の不振が長期化するようになってきたためです。
新規店が振るわず、しかも既存店も同時に振るわないと、二重で利益圧迫の原因となってしまいますが、まさに、いろんな業種で同様なことが起こっていると思われます。
よほど客のリピーター率が良く、かつ繰り返し買う商材であり、かつ利益率が高い。そんな状況を既存店が確保できないと消耗戦になって、既存店はどんどん弱まっていくのは間違いありません。
それが、業種問わず起きている、ということは、B2C自体が日本においてしぼんでいっていると言わざるを得ない、と思われます。
原因としては、消費税増税や人口構成の変化、少子化等いろんなことは言われますが、ただ言えるのは、大量閉店ラッシュが業種問わず押し寄せているということです。
大量閉店に追い込まれた企業が必ず言うことに「不採算店舗を閉めたうえで人材の適正配置を進め、生産性を向上させ企業全体の利益最適化をはかる」という口上があります。正直、各企業は不安で仕方ないと思います。最適化を測ったところで、時間の経過とともにさらに縮小していかなければいけないのではないか、と。
これだけ業種に関係なくB2C、しかもリアル店舗が厳しいということは、B2C自体のありかたを見直さないといけない時期にきているのではないかと考えます。
店舗があって、店員がいて、商品を手に取って、レジに持って行って、精算する。
こんなレガシーなB2Cの在り方自体が寿命を迎えつつあるのではないか、と。
百貨店のマルイは、その先を見越してすでにアクションを行っているそうです。
商品やサービスの売り買いは全てネットに集約されていく――。そんな未来を見据えて、丸井グループが店舗改革を急いでいる。合言葉は「売らなくてもOK」。リアル店舗を消費者がブランドと出合い、体験する場所として再定義。その方針を徹底するために、ビジネスモデルの抜本的な転換にまで踏み切った。10期連続で連結営業増益を達成した丸井G。既存小売業の明日を照らす存在となれるか。
大量閉店ラッシュはもう現在進行形となっています。
B2C企業は、対策を会議室で考えている場合ではない、アクションを起こすべき時だ。
そう思います。