ギリギリ快楽
私は社長だ。社長というには地位も名誉も金もある。女もたくさん抱いた。
車も時計も誰もが知ってる一流のものだ。
いろんな奴が私のことを羨みそして妬んでいることだろう。だが私の心は満たされない。
マンネリ化してしまったのだ。快楽にも耐性はできるものだと思っている。
――刺激がほしい
私は刺激を求めていた。いろんな物を食べいろんな物を買った。でも俺の心には響かない
――今日も退屈な1日だった。そんなことを思いながら俺は飲み物を取るために冷蔵庫を開けた。
中には賞味期限が1週間ほどきれた牛乳しかなかった。
「しまった。暫く家に帰ってなかったんだ」そう一人事をつぶやき私は悩んだ。そして悩んだ末に「消費期限じゃないしいいか」と言い聞かせ喉の渇きを癒すことにした。
タクシー内
おなかが痛い!!!!やっぱりさっきの牛乳はまずかったか……。私は声にならないうめき声をあげていた
「お客様、どうかされましたか」タクシーの運ちゃんは尋ねる。
「軽い腹痛が。お気になさらず」俺は答えた
タクシーは順調に家に向かっている。あと少しだ。そう思った時だった。急にすかしっぺがしたくなったのだ。
(これはまずい)私は思った。なぜなら腹痛の時のすかしっぺは下痢が出てしまう確率があることを知っているからだ。(あと少しで家に着く。我慢すればいい)最初はそう思った。
だが閃いてしまった。ここでもし下痢をひり出してしまったらどうなるのだろう。
私は賭けに出ることにした。丁か半の単純な賭けだ。
そして一瞬の間の後に私はおならをした――結果はただのおならだった。安心した。それと同時に私はひどく昂った。長らく忘れていた感情だ。脳内物質が頭の中を駆け巡る。
そうか……スリルだ!!スリルこそが刺激の最高のスパイスだったんだ。
――あれから10年はたっただろうか。俺は今でもスリルを求め女性用の下着をオーダーメイドのスーツの下に装着して会社で奮闘している。
「今日はどんなことをしようか」
今日も彼はスリルを求め飽くなき探求心を燃やしているだろう。