少額投資非課税制度(NISA)を使い投資を始めたいと考えています。積み立て型もあるようですが、違いは何でしょうか。
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株式や投資信託などの金融商品に投資し、配当金を得たり、値上がりで売却益が出たりすると、通常は約20%の税金がかかります。長期の資産形成を促すため、これに一定の非課税枠を設けたのが2種類のNISAです。
2014年に始まった一般型のNISAは投資枠が毎年120万円(新規購入額ベース)あります。運用益が非課税になる期間は5年間です。例えば20年に投信を購入した場合、24年末までに受け取る分配金や売却益は課税されません。口座開設数は1170万(19年9月末)です。
遅れて18年に始まったのがつみたてNISAです。毎月1万円ずつなどと定期的に購入することを前提に作られた仕組みです。年40万円を上限に最長20年間、非課税です。口座数は170万です。
制度は2種類ありますが、開ける口座は1人1つなので、一般型か積み立て型かどちらかを選びます。手続きをすれば1年ごとにもう一方に変更することは可能です。
投資枠や非課税期間のほかに違いが大きいのが対象商品です。一般NISAは投信、株式、上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)など幅広い分野を含み、金融機関によっては外国上場の商品も扱っています。
つみたてNISAは長期の分散投資に適すると金融庁が承認した投信・ETFが対象です。株価指数に連動するインデックス型を中心に約170本が認められています。販売手数料がなく、保有コストである信託報酬を低く抑えていることも条件です。
運用商品の基準が明確なつみたてNISAは投資が初めての人にもなじみやすい仕組みです。長期でコツコツためたい人にも向いています。
一般NISAは投資枠が大きいのが利点です。「元手が多い人は資産を増やすのに高効率」と大和総研の是枝俊悟さんは話します。5年の非課税期間が過ぎるときに翌年の枠に資産を移し替える「ロールオーバー」の仕組みもあります。手続きは必要になりますが、購入した年から最長で10年間は非課税で保有し続けられます。もちろん毎月5万円ずつなどと定期的に積み立て購入することも可能です。
両制度とも口座を開く金融機関によって品ぞろえが異なるので事前に確認しましょう。ネット証券の場合は商品数が多く、つみたて購入の頻度も毎週、毎日などと選べることが多いです。
政府・与党の税制改正大綱によるとNISAは期限がともに5年間延長される見通しです。一般NISAのほうは24年に仕組みが見直され、積み立て枠を設けて2階建てとなる方向です。
[日本経済新聞朝刊2019年12月29日付]