県防災ヘリ事故の捜査終結 業過致死疑いなどの死亡機長不起訴 | 信濃毎日新聞[信毎web]
「済南事件」と県を結ぶ公文書発見 地域と戦争の関わり記す
松本市に本拠地を置いた旧陸軍歩兵第50連隊などが中国・山東省で国民革命軍と衝突した1928(昭和3)年の「済南事件」を巡り、長野県が連隊と交わした電報や、戦死者遺族救済に関わる書類などをつづった公文書が5日までに見つかった。済南事件関連の県の公文書はこれまで見つかっておらず、戦後75年の今年、本格的な戦争へと進む日本軍と、それを支えた県行政との関わりをひもとくきっかけの一つになりそうだ。
公文書は県立歴史館(千曲市)が古書店から購入。和とじの簿冊(ぼさつ)で、表紙に「昭和三年 濟南(さいなん)事件関係書類」と記された28件の文書。当時の県社寺兵事課が作成した。
書類によると、県は28年5月5日夜、旧満州(現中国東北部)の大連近郊に駐留していた50連隊から出動を知らせる電報を受信。同日に「重責ヲ全ウセラレムコトヲ切望ス」と返信している。連隊の将校の氏名や「歩兵第五十聯隊(れんたい)ヨリ渡満ノ下士卒約一千人」と記した同日付の書類もあり、部隊の規模などを急いで確認したとみられる。
軍の衝突後は、県が戦死者遺族らへの対応を進めたこともうかがえる。同22日付の書類では、困窮する遺族らに、金銭や医療面で支援する「軍事援護」の申請を促し、「在郷軍人分会」や、民生委員の前身で貧困対策などに当たった「方面委員」を通じ、遺族を「救護」する方針も記している。
さらに遺族の家族構成や経済状況を詳細に調査して一覧表を作成。同年9月6日付で、遺族や傷痍(しょうい)軍人の支援などに当たる愛国婦人会長野支部に「生計困難」な遺族への支援を要請している。
この公文書について、中国での50連隊の動向に詳しい信州大の久保亨特任教授(66)=中国近現代史=は「中国侵略を地域が支えた様子が分かる貴重な史料」と指摘。文書を調査、分析した信大の大串潤児教授(50)=日本現代史=は特に、在郷軍人分会、方面委員など日露戦争後にできた団体や制度が県主導で遺族の支援に関わった点に注目。「(国家各分野の力を動員する)総力戦の仕組みが出そろい始める『過渡期』に位置付けられる」と指摘している。
(1月6日)
公文書は県立歴史館(千曲市)が古書店から購入。和とじの簿冊(ぼさつ)で、表紙に「昭和三年 濟南(さいなん)事件関係書類」と記された28件の文書。当時の県社寺兵事課が作成した。
書類によると、県は28年5月5日夜、旧満州(現中国東北部)の大連近郊に駐留していた50連隊から出動を知らせる電報を受信。同日に「重責ヲ全ウセラレムコトヲ切望ス」と返信している。連隊の将校の氏名や「歩兵第五十聯隊(れんたい)ヨリ渡満ノ下士卒約一千人」と記した同日付の書類もあり、部隊の規模などを急いで確認したとみられる。
軍の衝突後は、県が戦死者遺族らへの対応を進めたこともうかがえる。同22日付の書類では、困窮する遺族らに、金銭や医療面で支援する「軍事援護」の申請を促し、「在郷軍人分会」や、民生委員の前身で貧困対策などに当たった「方面委員」を通じ、遺族を「救護」する方針も記している。
さらに遺族の家族構成や経済状況を詳細に調査して一覧表を作成。同年9月6日付で、遺族や傷痍(しょうい)軍人の支援などに当たる愛国婦人会長野支部に「生計困難」な遺族への支援を要請している。
この公文書について、中国での50連隊の動向に詳しい信州大の久保亨特任教授(66)=中国近現代史=は「中国侵略を地域が支えた様子が分かる貴重な史料」と指摘。文書を調査、分析した信大の大串潤児教授(50)=日本現代史=は特に、在郷軍人分会、方面委員など日露戦争後にできた団体や制度が県主導で遺族の支援に関わった点に注目。「(国家各分野の力を動員する)総力戦の仕組みが出そろい始める『過渡期』に位置付けられる」と指摘している。
(1月6日)
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