新しい春菊の魅力に出会う一皿
2020年、仕事に学校にと忙しい日々がはじまりました。新年一回目のスープ・レッスンでは、身体をしっかり調えつつ、新鮮な味わいを楽しめる春菊のスープをご紹介します。
春菊は鍋のときぐらいしか使わないというのはもったいない話で、生食もでき、もっともりもり食べたい野菜のひとつです。鍋では脇役のイメージですが、主役として味わってみると、シャキシャキとした歯触りの中にさわやかな香りが感じられ、後ひくおいしさで食べ進んでしまいます。
今回ははるさめを合わせて、ちょっとした食事になるようなボリューム感を出しました。七草のときにおかゆのかわりに食べてもよいような、軽やかなスープです。
新しい年、新しい春菊にぜひ出会ってみてください。
春菊とはるさめのスープ
材料(2人分) 所要時間12分
春菊 1束
豚バラ薄切り肉 150g
はるさめ 40g
しょうが薄切り 2かけ
塩 小さじ1と1/4
ごま油 小さじ2
水 700mL
作り方
1.材料を切る
春菊は洗ってざく切りにする。★1
2.豚肉とはるさめを煮る
鍋に水と塩、しょうがを入れてわかし、そこに豚バラ薄切り肉を入れ、アクをすくう。はるさめを乾燥のまま入れて3分ほど煮る。★2
3.春菊を入れる
鍋に春菊を茎を入れ、30秒ほど待ったら葉を入れ火をとめる。仕上げにごま油をたらす。★3
レシピのポイント解説
・春菊について
・はるさめについて
・春菊の煮方
★1 春菊について
春菊は名前通りキク科の植物で、若い葉と茎を食べる野菜です。濃い緑で、シャキッとしたものを選びましょう。古いと緑があせて黄色っぽくなってきます。
軽い苦みが特長の春菊はアクが強いと思われていますが、ほうれんそうのようにシュウ酸が含まれているわけではなく、生食にも向いている野菜です。ただ、熱いスープの中に入れっぱなしていると葉が煮えすぎて黒ずみ、魅力が失われてしまうので、火を入れすぎずに食べることがおいしく食べる最大のポイントです。
土がついていることも多いので、ボウルの水を換えながら、振るようにして洗いましょう。
春菊は、葉と茎で火の通りが違います。茎は多少煮てもよいですが、葉は煮過ぎは厳禁。スープに入れたらせいぜい10秒ぐらいで火を止めたいところです。
時間差で鍋に入れられるよう、切った春菊は茎の部分と葉に分けておきましょう。
茎の多い部分と葉の多い部分に分ける。厳密でなくてもよい
★2 はるさめについて
はるさめ(春雨)は、でんぷんから作られる、細長い麺状の食品です。中国から精進料理の食材として伝わったもので、中国では緑豆を原料とした緑豆はるさめが主流です。日本ではじゃがいもでんぷんなどを中心に製造されていますが、スーパーでみかける多くは中国産の緑豆はるさめだと思います。形も細いもの、太めのものがありますが、ゆで時間が多少変わるぐらいで、どれを選んでも構いません。
サラダのときなどは下茹でしますが、スープには直に入れても大丈夫です。
鍋に水と生姜と塩を加えて煮立て、豚バラ肉を入れます。この豚が煮えてスープがとれたら、直接鍋に投入し、約3分ほど、箸でほぐしながら煮込みます。
まず水にしょうがと塩を加えて煮立てる
食べやすい大きさに切った肉を入れる。ハサミでやってもよい
豚バラはアクが多く出るのでおたまですくう
アクをすくったスープに、はるさめを入れる
★3春菊の煮方
春菊はまず茎の部分を入れ、それから葉を入れます。とにかく、煮込みすぎてはいけません。必ず食べる直前に春菊を入れます。後から食べる人がいるときは、春菊をとっておいて、後から入れましょう。春菊は生でも食べられます。余熱で火をとおすぐらいでいいのです。
さきほど分けておいた、茎からまず入れます。30秒も煮れば大丈夫です。太いものは、もう少し煮てもOK。
まず茎を入れて30秒ほど煮る
続いて、葉をまとめて入れます。スープから顔を出している春菊を箸でスープに押し込んだら火を止め、ごま油をたらします。
葉は、スープの余熱で煮えていく
冬の青野菜で元気な一年をスタート
ほうれんそう、小松菜、ブロッコリーなど冬になると甘みがどんどん増してくる緑野菜の中で、春菊はすっきりとした大人の味わいで、マンネリ化した献立にフレッシュな風を吹かせてくれます。
緑黄色野菜である春菊はたっぷりのカロテンが含まれていて、冬の養生にうってつけ。独特の芳香は、お正月ちょっと食べ過ぎで重たくなっていた胃腸をすっきりさせてくれます。
まさに今がおいしい春菊、どうぞたっぷり食べてください。
【アレンジ】さっぱりとした味わいは残しつつアレンジ
春菊は意外と油との相性がよい食材。豚肉のほかに、鶏や牛でもよいですが、少し脂身のあるところが合います。はるさめなしで、普通のスープとして食べてもおいしいものです。
春菊とはるさめのスープみそ仕立て
塩をみそに変えています。みそは、最初に入れるのではなく、春菊を入れる直前に入れて、みその香りを生かしましょう。この組み合わせだと、柚子をちょっと絞ったりしてもいいものです。
春菊と豚肉のスープ
献立の一品として組み込みやすい、はるさめなしのバージョンです。はるさめを煮込む時間がないので、あっという間に出来上がります。朝の時間がないとき、また夜遅くかえってお腹をちょっとあたためたいときなどにも、よいものです。