私たちの身体には、体内への異物の侵入を防ぐ働きが備わっています。花粉症は、体内に侵入した花粉を異物と認識した私たちの身体が花粉に対する抗体を作り出し、再度侵入してきた花粉に立ち向かおうとするときに起こる反応のこと。この身体を守るための免疫反応が過剰に働くことで、目のかゆみや涙、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状が起きます。
参照:環境省 花粉症環境保護マニュアル2014
花粉症の発症には遺伝と環境が関係しています。最近の研究では、花粉症以外のアレルギー疾患を持っている人や、血縁者が何らかのアレルギー疾患を持っている人は花粉症になりやすいと考えられています。環境要因として挙げられるのは、食生活の変化、大気汚染、喫煙やストレスなどです。とくに、先進国のように感染症が減少したきれいすぎる環境ではアレルギー疾患が増える傾向があります。
参照:環境省 花粉症環境保健マニュアル2014
参照: Evol Med Public Health. 2013; 2013(1): 46–64. (Microbial ‘Old Friends’,
immunoregulation and stress resilience)
今や日本では、約3人に1人がスギやヒノキ、イネ科の植物など、なんらかの花粉症に悩まされています。日本ではスギの植林が進み、花粉が増えすぎているため、花粉症患者が多いといわれています。
参照:馬場廣太郎, 中江公裕. 鼻アレルギーの全国疫学調査(1998年との比較)ー耳鼻咽喉科医とその家族を対象としてー. Prog in Med 2008;28(8):145-156.
参照:林野庁HP
環境や私たちの生活習慣の変化によって、 花粉症患者の数は年々増加しているといわれています。都内のスギ花粉症患者数を推計した調査によると、約30年前は全体の10%程度でしたが、約10年前には全体の30%近くにまで増加しました。
参照:東京都健康安全研究センター花粉症患者実体調査 (2016年実施)より抜粋して作成
花粉症の症状は人によって差はありますが、目のかゆみ、充血、涙が出るといった目の症状や、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった鼻の症状をうったえる方が多くみられます。ほかにも身体がだるい、熱っぽい、イライラする、のどや顔のかゆみ、集中力の低下といった全身症状をともなうこともあります。
参照:公益社団法人 全日本病院協会「みんなの医療ガイド」
目から花粉が侵入することで、目のかゆみ、充血、涙が出るといったアレルギー症状が起こります。外気にさらされ、直接花粉に触れやすい目は、異物から自分の身体を守ろうとする免疫細胞が多く、アレルギー反応が起こりやすいのです。また、目には血管もたくさんあるため、炎症を起こす細胞が体内を行き来しやすく、とくに花粉症の影響を受けやすいといわれています。
参照:日本眼科学会
ドライアイのように目が乾燥して潤いが不足している状態では、目に入った異物を涙で洗い流す機能が低下します。そのため、花粉が長時間にわたり目の表面に留まり、炎症が起こりやすくなります。また、目の表面にあるムチンと呼ばれる粘性物質が減少することによって目が乾きやすくなり、バリア機能が弱まるため、花粉などのアレルゲンが体内に入り込みやすくなります。さらに、目の周りも皮膚が薄くバリア機能が低いため、花粉によるかゆみなどの症状につながりやすい部分なので、適切なケアが必要です。
マスクや花粉カットメガネを
着用する
目や鼻、口への花粉の侵入を防ぐために、マスクと花粉カットメガネを組み合わせて着用するのが効果的です。花粉は上から降ってくるため、通常のメガネでは花粉を十分に防ぐことができません。上部を覆った花粉カットメガネの使用をおすすめします。また、つばのある帽子をかぶることも、花粉対策として効果的です。
柔軟剤やスプレー材で
衣類への花粉の付着を防ぐ
花粉は静電気によって衣服に付着するため、洗濯時に静電気をおさえる効果のある柔軟剤の使用をおすすめします。また、花粉の付着を抑えるスプレー剤も有効です。
室内に入る前に花粉を払い落とす
外から戻ったら、室内に入る前に身体についた花粉を丁寧に払い落とします。室内に花粉を持ち込まないことが大切です。
空気清浄器などで
室内の花粉を除去
自分がどんなに注意しても、家やオフィスではほかの誰かが花粉を室内に持ち込んでしまいます。空気清浄器などで室内の花粉を除去することも有効です。
近年、私たちの生活環境が変化したことや、飛散する花粉量が増加したことで、花粉症を発症するまでの期間が短くなっています。また、現代の子どもは清潔な生活環境で育つため、細菌などに接触する機会が少なく、花粉やハウスダストなどに対してアレルギーを起こしやすい傾向があるといわれています。花粉症をはじめとした子どものアレルギー疾患は確実に増加しているといえるでしょう。子どもの花粉症対策もしっかり行うことをおすすめします。
スギ花粉は飛散開始が認められる前から、わずかな量が飛びはじめるので、花粉前線が到達する2週間ほど前から花粉対策をおこなうことがおすすめです。もっとも効果的な花粉対策は、可能な限り体内に花粉が侵入するのを防ぐこと。多くの方が花粉症対策としてマスクを着用するのに比べ、無防備になりがちなのが目です。目の症状が軽い方でも、目から入った花粉が涙に溶けて鼻涙管(目と鼻をつなぐ管)をつたい、 鼻や口に侵入して症状を引き起こす可能性もあります。花粉対策メガネなどのアイテムをマスクと組み合わせて使うのが効果的です。
花粉症の原因となる花粉は、スギのほかにもヒノキ、ブタクサをはじめ、一年中飛散しています。飛散時期は地域によって違いがありますが、春はスギやヒノキ、秋はブタクサやヨモギなどの花粉が多く飛びます。
実験概要
医療機関と協力した独自の研究により、花粉カットメガネの着用によって最大98%の花粉の侵入をカットしていることを確認。通常のメガネ(51%カット)よりも花粉カットメガネのほうが、花粉の目の表面への付着を防止する効果が高いことがわかりました。また、花粉同様に⻩砂や大気汚染物質PM2.5の目の表面への付着や紫外線も防ぎます。
※当社調べ/花粉のカット率は環境やメガネのかけ方、顔の形などにより異なります。 ※花粉カットメガネと通常のメガネを比較。 ※ワセリン塗布カバーガラスの表面に固定した人頭模型をチャンパー内に設置。スギ花粉を噴霧し、 カバーガラスへの花粉付着量を光学顕微鏡を用いて計測。※実験は両国眼科クリニック深川和己先生が実施・監修。
実験概要
独自の研究により、保湿機能付き花粉カットメガネの着用によって、裸眼の状態よりも目元の湿度が約20%向上することを確認。メガネをしていない状態よりも保湿機能付き花粉カットメガネのほうが目元の保湿効果が高いことがわかりました。
※当社調べ/保湿率は環境やメガネのかけ方、顔の形などにより異なります。※保湿機能付き花粉カットメガネと裸眼の状態を比較。※低湿度対応の恒温恒湿槽のチャンバー内に固定した人頭模型を設置。低温、低湿環境(花粉時期の外環境を再現)における湿度を測定。グラフは保湿機能付き花粉カットメガネ装着後、30分経過後からの10分間を測定したもの。