阪神・藤原崇起オーナー(67)が「超一流」の台頭を待望した。スポーツ報知の新春インタビュー後編では、選手育成や兵庫・鳴尾浜にある2軍施設の今後について持論を展開。球団創設85周年を迎える今季へ、ラグビー日本代表のような一大ムーブメントを期待した。(取材・構成=長田亨、小松真也)
―育成という意味では、昨年は4番・大山を我慢しながら起用した。
「タイガースのいいところは、同じような年齢の選手で競い合っているということ。(今後)どのチームも力を入れるのは育成でしょう」
―育成するためにはハード面も重要。鳴尾浜にある2軍施設の今後は?
「ファーム施設は当然、甲子園に近いところに必要です。もし近くにできないとなれば、本当に一体感のある育成ができるのかどうか。いろんな問題があるかもしれません。まだ具体的な進展はありませんが、雨天練習場を大きくし、朝でも夜でもいつでも、心おきなく練習できる環境をつくりたい思いは強いです」
―生え抜きの育成、活躍は不可欠になっていく。
「ジャイアンツの岡本選手、ヤクルトは村上選手、中日では高橋選手、京田選手…。生え抜きの選手が活躍しています。今後はやはり、自前で育成するということが主流になると思います。育成する間は当然、外国人選手にも頑張ってもらって…ということですね」
―オフは大型補強に成功した。開幕時の外国人8人は球団史上最多。注目はメジャー通算92本塁打の4番候補ボーアだ。
「ウチの打者も地力を発揮してもらわなきゃ困ります。外国人選手も含めて切磋琢磨(せっさたくま)して、競い合って。新しいものをつくり上げるのが理想ですよね」
―人気球団のオーナーとして、多忙を極めている。
「昨年はCSも観戦しました。横浜スタジアムは席の周りがDeNAのファンばかりで、私も体を小さくして…。東京ドームはファンの方も、まさに『伝統の一戦』という雰囲気。素晴らしかったですね。実はその後、福岡にも足を延ばしまして。日本シリーズだけではなく、ラグビーW杯も観戦したので、余計に忙しかったですね…(笑い)」
―ラグビーの盛り上がりは全国的なものだった。
「引き込まれるんですよ。プレーに。あの技、スピードとパワーと。ノーサイドになると、拍手をしてハグをする。あの試合の2時間は、アッという間に過ぎます」
―球団創設85周年。節目の1年が幕を開ける。
「選手は超一流にならないといけません。ラグビーだっておそらく、多くの方がルールを知らずに見ていたわけでしょ? 超一流は違う。誰が見ても違うということだと思うんですよね」
―成長過程の若手選手から何人の『超一流』が現れるか。期待は膨らむ。
「昨年の経験は絶対に生きると思っています。今、女子プロゴルファーの黄金世代と言われていますけど、アマチュアの頃から競い合っているわけでしょ? ということは、同じメンバーでやってきている。顔見知り、どころではないでしょう。タイガースの若手選手もそれと同じ。一人二人じゃなく、みんなが超一流になってほしいと思います」
◆藤原 崇起(ふじわら・たかおき)1952年2月23日、兵庫県生まれ。67歳。大阪府立大を卒業後、75年に阪神電鉄入社。17年4月から同社代表取締役会長、同年6月から阪急阪神ホールディングス代表取締役を務める。18年12月1日付で球団オーナーに就任した。