東方裏@ふたば
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画像ファイル名:1578215697532.jpg-(28430 B)
28430 B無題Nameとしあき20/01/05(日)18:14:57No.12545753そうだねx1 11:46頃消えます
あけましておめでと~!
皆あえて嬉しいぞ~!
去年は年の瀬まで詩の話に付き合ってくれてありがと~な~!
https://archive.vn/dCau0
今年も楽しく語り合いたいもんだな~!
1無題Nameとしあき 20/01/05(日)18:19:16No.12545778+
    1578215956479.jpg-(28332 B)
28332 B
皆は正月に里帰りしたか~?
久しぶりに変えると故郷の良さが身に染みるよな~
というわけで今日はお国自慢の楽府を読んでいくぞ~
作者は謝霊運(しゃれいうん)だ~
謝霊運は南北朝の時代南朝宋の国の人でな~
陶淵明や顔延之とともにこの時代を代表する詩人だぞ~
2無題Nameとしあき 20/01/05(日)18:22:00No.12545784+
こどおじあきなんで里帰りとは無縁でごわす
3無題Nameとしあき 20/01/05(日)18:23:46No.12545791+
去年も結構読んだし望郷の詩はよく詠まれるよね
せいぜい馬が精一杯の移動手段だった時代に広大な中原では現代日本のようにそうそう里帰りもできんだろうからな…
4無題Nameとしあき 20/01/05(日)18:24:23No.12545794+
    1578216263178.png-(82876 B)
82876 B
題は「会吟行(かいぎんこう)」だ~
「会」は越の都「会稽(かいけい)」をいってな~
作者の出身地である越の地方のお国自慢の詩になっているぞ~
地図を見れば分かるように東南の果てにあるような国なんだな~
これは春秋時代の地図だけどこれ以降の時代もこの辺りを越と言ったんだな~
「行」はいつも通り「うた」のことだ~
5無題Nameとしあき 20/01/05(日)18:28:13No.12545810+
    1578216493871.jpg-(28430 B)
28430 B
さあさっそく読んでいこ~!
  会吟行 かいぎんこう
 六引緩清唱 ろくいん せいしょうをゆるくし
 三調佇繁音 さんちょう はんいんをとどめよ
 列筵皆静寂 えんをつらねるものみなせいじゃくにして
 咸共聆会吟 みなともにかいぎんをきけ
6無題Nameとしあき 20/01/05(日)18:29:04No.12545815+
俺の歌を聞けーから入るかテンション高ぇな
7無題Nameとしあき 20/01/05(日)18:33:43No.12545828+
    1578216823345.jpg-(27215 B)
27215 B
「六引」はこだいにあった六つの楽曲のこと
「清唱」は清らかな歌声
「三調」は魏晋の楽府にある清商三調(清調・平調・瑟調)のしらべだな~
「繁音」は賑やかな音楽のことと言われているぞ~
要は「楽曲の調べを一時中断してください」というのを前半で入ってるわけだな~
「筵」は「むしろ」のこと「列筵」で席を連ねた人々のことを言うんだな~
「聆」は耳を傾けて聴くことだぞ~
8無題Nameとしあき 20/01/05(日)18:36:42No.12545840+
    1578217002628.jpg-(28332 B)
28332 B
>俺の歌を聞けーから入るかテンション高ぇな
そうだな~
この4句はお国自慢の常套句でな~
形は少しずつ違うけど似たようなことを言って始めることが多いんだぞ~
前口上というかワイワイやってる中で少しカッコよく語りだす感じがするよな~
9無題Nameとしあき 20/01/05(日)18:41:38No.12545860+
子日
性相近也
習相遠也
10無題Nameとしあき 20/01/05(日)18:42:31No.12545865+
    1578217351949.jpg-(28430 B)
28430 B
さて今日はサクサクいこうか~
 会吟自有初 かいぎん おのずからはじめあり
 請従文命敷 こうぶんめいよりしかん
 敷績壺冀始 せきをしくはこきよりはじめ
 刋木至江汜 きをきりてこうしにいたる
11無題Nameとしあき 20/01/05(日)18:46:27No.12545887+
    1578217587074.jpg-(27215 B)
27215 B
今日は固有名詞も多いから訳もつけていくぞ~
 「会吟」の歌にはおのずと一があるもの
 まずは文命(禹)の事から歌い始めると致しましょう
 禹の事績は冀州の壺口山から始まり
 木を切って中原から長江一帯まで至りました
12無題Nameとしあき 20/01/05(日)18:47:27No.12545891+
    1578217647660.jpg-(28273 B)
28273 B
>「会吟」の歌にはおのずと一があるもの
お~変な変換になっちゃったな~
「おのずとはじまりがあるもの」だぞ~
13無題Nameとしあき 20/01/05(日)18:52:58No.12545910+
五帝の一人だっけ禹
神話から始まるってお国自慢にしてはスケールデカすぎね?
14無題Nameとしあき 20/01/05(日)18:59:16No.12545940+
日本でも「そもそもこの地は神代の昔から…」とかいうしどっちもどっちじゃなかろうか
酒の席ならこれくらいハッタリ聞かせたほうが受けがいいし
15無題Nameとしあき 20/01/05(日)19:02:33No.12545955+
    1578218553767.jpg-(28430 B)
28430 B
進むぞ~
 列宿炳天文 れっしゅうはてんもんをかがやかせ
 負海横地理 うみをおいてちりをよこたう
 連峰競千仞 れんぽうせんじんをきそい
 背流各百里 はいりゅうはおのおのひゃくり
16無題Nameとしあき 20/01/05(日)19:05:09No.12545960+
    1578218709437.jpg-(27215 B)
27215 B
訳だ~
訳をよんだらもう一度原文を声に出して味わってみるといいぞ~
 星座は空の模様を輝かせ
 海をせおったこの地は大地を広く横たえる
 連なる峰は千仞の高さを競い
 背きあって流れる水はおのおの百里
17無題Nameとしあき 20/01/05(日)19:15:01No.12545994+
千字文で見たような表現だな
18無題Nameとしあき 20/01/05(日)19:37:46No.12546089+
    1578220666591.jpg-(28430 B)
28430 B
よし次いこ~~
 滮池漑粳稲 ひゅうちはこうとうにそそぎ
 軽雲曖松杞 けいうんはしょうきにくらし
 両京愧佳麗 りょうきょう かれいにはじ
 三都豈能似 さんと あによくにんや
19無題Nameとしあき 20/01/05(日)19:41:01No.12546099+
    1578220861920.jpg-(27215 B)
27215 B
訳を行くぞ~
 池の水は流れて田へそそぎ
 軽やかな雲は松や川柳に暗くかかっている
 洛陽長安の両京もこの華麗さに恥じ入り
 魏呉蜀の都もかないません
20無題Nameとしあき 20/01/05(日)19:44:36No.12546107+
このスレで紹介される詩は哀愁を感じるものが多かったけど今日はとにかく煌びやかな雰囲気だな
正月らしくて良い
21無題Nameとしあき 20/01/05(日)19:56:58No.12546152+
    1578221818245.jpg-(28430 B)
28430 B
続きだ~
 層台指中天 そうだい ちゅうてんをさし
 高墉積崇雉 こうよう すうちをつむ
 飛燕踊広途 ひえん こうとにおどり
 鷁首戯清沚 げきしゅ せいしにたわむる
22無題Nameとしあき 20/01/05(日)20:01:28No.12546169+
    1578222088434.jpg-(28332 B)
28332 B
語釈だけでも分かるかもしれないけど訳もつけとくか~
 幾層にもなる楼台は天の真ん中を目指し
 高い城壁は垣根をたかくつみあげる
 飛燕のごとき名馬が広い道に踊りいで
 へさきに水難除けの鷁の像を付けた船が清い渚にうかぶ
23無題Nameとしあき 20/01/05(日)20:26:13No.12546291+
    1578223573057.jpg-(28430 B)
28430 B
どんどんいこ~!
 肆呈窈窕容 しにはていす ようちょうのすがた
 路曜便娟子 みちにはかがやかす べんえんのこ
 自来弥年代 じらい ねんだいをわたり
 賢達不可紀 けんたつ きすべからず
24無題Nameとしあき 20/01/05(日)20:28:13No.12546302+
瑞獣もたくさんいるよ的な句かと思ったらそうでもなかった
25無題Nameとしあき 20/01/05(日)20:28:49No.12546305+
    1578223729119.jpg-(27215 B)
27215 B
訳もいくぞ~
 店には姿を見せる 艶っぽい女性
 道には輝く たおやかな人
 この地には永い月日が流れ
 賢人達人は記しきれないほどいる
越は西施をはじめ美人が多いことでも有名だったんだな~
26無題Nameとしあき 20/01/05(日)20:40:00No.12546365+
割と都ならどこにでも当てはまりそうなことを言いおってもっと特色はないのか特色は
と思ってしまうのは情報の氾濫した現代感覚が抜けてないのと背景知識不足だろうな…
27無題Nameとしあき 20/01/05(日)20:56:58No.12546410+
俺としては街なんてそこまで大きい差があるわけでも無かろうに
よく言葉を尽くしているもんだと思ったな
28無題Nameとしあき 20/01/05(日)20:57:13No.12546412+
    1578225433955.jpg-(28332 B)
28332 B
>割と都ならどこにでも当てはまりそうなことを言いおってもっと特色はないのか特色は
>と思ってしまうのは情報の氾濫した現代感覚が抜けてないのと背景知識不足だろうな…
いい視点だ~
特色がないように映るのはいくつかの点で考える余地があるな~
まず一つはこの時代漢民族は南方に追いやられて洛陽長安などは異民族の国に支配されてたことによるぞ~
三国時代に中華全体が疲弊してたこともあってそもそも「華やかな都」「古き良き昔」への懐古の念が強かったわけだな~
もう一つは日本にいると舟が描写されていることについてあまり注意が向かないということがあるぞ~
越は地図で見て分かる通り海に面した地だ~
「沚」なんてのは中原には望むべきもない風景なわけだな~
それが物流の基本である大きな道に馬という組み合わせと並んで紹介されているあたりにも特色があると思うぞ~
とりあえずはこのくらいにしとくか~
29無題Nameとしあき 20/01/05(日)21:04:15No.12546446+
    1578225855985.jpg-(28430 B)
28430 B
それじゃ~すすも~
 句践善廃興 こうせん よくはいこうし
 越叟識行止 えっそう こうしをしる
 范蠡出江湖 はんれい ごうこにいで
 梅福入城市 ばいふく じょうしにいる
30無題Nameとしあき 20/01/05(日)21:09:33No.12546472+
    1578226173399.jpg-(28423 B)
28423 B
 越王句践は国の廃興にうまく対応し
 越公は進退の機をよくしっていました
 范蠡は呉をほろぼしてのち人里離れた江湖へゆき
 梅福は仙人となり行方をくらましてからこの会稽の街へ入ったといいます
人物は訳だけじゃ説明できないな~
31無題Nameとしあき 20/01/05(日)21:16:14No.12546500+
    1578226574329.jpg-(27215 B)
27215 B
「句践」は「臥薪嘗胆」の「嘗胆」の故事のもととなった春秋時代の人で呉に壊滅的な打撃を与えられながらも豚の肝を舐めて恨みを忘れずついには呉を滅ぼしたという人だ~
「越叟(越公)」はその敵方の呉の国の宰相伍子胥が戦術を学んだという人だな~
「范蠡」は句践の家臣で呉王夫差を討つのに功績があった人でその後は田舎に下って農業に精を出しそれで得た富で斉の国(今の山東半島)で商売をして大成功したという異色の才人だ~
梅福は前漢の学者で権力の交代によって野に下って仙人となり会稽や呉の市場で姿を見たという伝説が残ってるぞ~
32無題Nameとしあき 20/01/05(日)21:20:31No.12546515+
有名人自慢は知ってる名前と知ってる行為で親近感湧くな
33無題Nameとしあき 20/01/05(日)21:23:48No.12546528+
当時この詩を聞いていた人達も学がある人でなかったら
「句践?越叟?誰それ」ってならんかったのだろうか
34無題Nameとしあき 20/01/05(日)21:31:22No.12546554+
    1578227482924.jpg-(28430 B)
28430 B
よし最後~!
 東方就旅逸 とうぼう りょいつにつき
 粱鴻去桑梓 りょこう そうしをさる
 牽綴書土風 けんていしてどふうをしょす
 辞殫意未已 じはつくるもいはいまだやまず
35無題Nameとしあき 20/01/05(日)21:35:50No.12546568+
    1578227750960.jpg-(27215 B)
27215 B
 前漢の武帝に仕えた東方朔(とうぼうさく)は隠者となって気ままに仮の住まいを結び
 後漢の学者粱鴻は故郷の扶風を去ってここへ来ました
 集め連ねて国ぶりを書きましたが
 言葉は尽きても思いはなお尽きません
これでおしまいだ~
どういう印象だった~?
36無題Nameとしあき 20/01/05(日)21:38:50No.12546578+
    1578227930188.jpg-(28332 B)
28332 B
>当時この詩を聞いていた人達も学がある人でなかったら
>「句践?越叟?誰それ」ってならんかったのだろうか
もっともだな~ただ土地の偉人はやっぱり口伝で伝えられていくわけだしこういう詩の文句から知っていった人も多いと思うぞ~
今の日本でも大正生まれの方なんかは勉強はしてなくても歌の文句で源平合戦や戦国の武将を知っているひとがいるからな~
そんな感じなんじゃないかと考えてるぞ~
37無題Nameとしあき 20/01/05(日)21:47:17No.12546609+
うーむダイレクトに感情を歌ってくれないともう一つ感じ入るものに乏しい己の感受性が恨めしい
38無題Nameとしあき 20/01/05(日)21:49:21No.12546615+
語り手が出てきて朗々と語るのはなんとなくカッコいいな
昔やったロマサガ2の冒頭を思い出す
39無題Nameとしあき 20/01/05(日)21:54:16No.12546637+
    1578228856330.jpg-(28332 B)
28332 B
>うーむダイレクトに感情を歌ってくれないともう一つ感じ入るものに乏しい己の感受性が恨めしい
ははは~お国自慢なんてのは素面で聞いたってなかなかよさが分からないもんさ~
酒でも傾けてみんなで笑いあってるときに聞いてみればまた違った感想があると思うぞ~
そういう時はリズムの良さとある種の大袈裟さが心地よく入ってくるからな~
もう一つ
これはまだ南北朝の時代で表現がまだ熟しきってないところがあるんだな~
この次からは唐の時代の楽府を読んでみようと思うから楽しみにしてるといいぞ~
40無題Nameとしあき 20/01/05(日)21:56:20No.12546645+
入り方からしてノリノリだしこの詩を諳んじてる人は講談師みたいな感じで凄く気分よく演ってそうな気がするわ
41無題Nameとしあき 20/01/05(日)21:58:02No.12546653+
>入り方からしてノリノリだしこの詩を諳んじてる人は講談師みたいな感じで凄く気分よく演ってそうな気がするわ
わかる
俺は寅さんの口上みたいにまくしたてるように言ってるのを想像した
42無題Nameとしあき 20/01/05(日)22:40:26No.12546895+
春秋末期の呉越の戦いは面白いから是非もっとメジャーになってほしいな
こうやって名前を出されるだけでも何となくワクワクする
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