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"恵美「プロデューサーの好きなひと」", is tagged with「所恵美」「アイドルマスター・ミリオンライブ!」and others.

琴葉イケメンすぎひん?

う

恵美「プロデューサーの好きなひと」

6/8/2018 22:57
「おはよーございまーすっと……」

ひそひそ……ひそひそ……

「んー?みんなどったのー?なんかあった?」

シアターの控室で、みんなが顔を寄せ合って話しているみんなに声をかける。

「あ、恵美さん!実は恵美さんのプロデューサーさん、好きな人がいるらしいんですよ!だからそれが誰なのかな~ってみんなで話してたとこなんです!」

翼が答える。

この手の話題をあまり好まなそうな静香も、話の輪に加わっている所を見ると、この手の話題はやはり皆、興味津々なのだろう。

「恵美さんは誰だか知りませんか?仲良さそうな女の子でもいいんで!」

あのプロデューサーに好きな人、ねえ……

優しくて、見てくれもそこそこ良いので、モテそうなタイプではあると思う。

だが……

正直あの人に女の人と遊んでる暇はないように見える。

毎日夜遅くまで、休日も望んで仕事をしているような人だ。

本人曰く「俺はこの仕事が趣味だからいいんだよ。それに芸能活動に休日も祝日も関係ないだろ?」とのことらしい。

確かにプロデューサーの言う通りだし、プロデュースしてもらっている身としては心強いことこの上ないが、そんな仕事人間に女の人と遊んでいる余裕があるとは思えない。

……仕事関係の人ならワンチャンあるのかも……

まあどっちにせよ、具体的な人物に関しては、皆目見当もつかない。

「うーん……わかんないかなー、ゴメンね!力になれなくて!」

「全然ですよ!でも、なんかあったら、教えてくださいね~」

「もち!じゃねー!」

まあ、この後プロデューサーに会うわけだし、その時聞こう。







「プロデューサー、おはよー!」

「ああ、恵美、おはよう」

「……」

「……」

気まずい……

物凄く気まずい……

あんな話をされた後だからなのか、プロデューサーの顔を見るのがなんだか気恥ずかしい。

そんなに気にするようなことではないのに。

パチン!「……よし!ねえ、プロデューサー?」

「ん?」

「……好きな人、いるらしいじゃん?」

「……あ、ああ、まあ、そうだな…どうしてそれを知ってるんだ?」

翼たちが言ってたこと、ホントだったんだ……

「みんな言ってるよー!ねね!どんな子なの?」

「そうだな……明るくて可愛い子、だな」

「…それで?他はどんな感じなのさ!」

「あとはだな……オシャレだし仲間思い、だけど頑張り屋な素敵な女の子、って感じかな」

「えー!めっちゃいい子じゃーん!プロデューサーが好きになっちゃうのもわかるよ!うんうん!」

ポリポリと恥ずかしそうに頬を掻くプロデューサー、そんなプロデューサーを、アタシは、しっかりと見据えることができない。

プロデューサーに好きな子がいるって言われてから、頭の中がグルグルしている。

ちゃんと笑えているかすらわからない。

ホントは喜ぶべきところなのに。

なのに……

これ以上聞けない、聞いているのがツラい。

「……恵美?どうかしたか?」

「……ん!なんでもないよ!アタシも応援するからさ!頑張りなよ!プロデューサー!」

これ以上プロデューサーと話していると、余計な気持ちが湧きあがって来そうだ。

悪いことなんてある筈ないのに。

少し早いけど、今日はもうレッスンに行こう。

「そろそろレッスン行ってくるよ!じゃね!」

「ああ……気をつけてな」








「はい、今日はここまでー!」


「「ありがとうございましたー!」」

ドッとレッスンの疲れが押し寄せてくる。

「恵美、恵美?大丈夫?」

「……琴葉ー?いきなりどしたのさ?」

琴葉が心配そうな顔で話しかけてくる。

「いや、今日、なんか集中出来てなかったから……」

「そんなこと……」

「あるよ。それくらいは私にもわかる。」

真っ直ぐ見つめて話しかけてくる琴葉。

「や、ホントに大した話じゃないんだって!」

「さすがにそれは嘘かな。顔に分かり易く悩んでます、ってかいてあるもの」

「しつこいなー琴葉は。心配し過ぎなんだって!」

琴葉が心配性なのはいつもの事だが、今日は放っておいてほしい。

「……間違ってたらゴメンね。もしかして、恵美のプロデューサーの話のこと?」

「…………」

流石に自分でも、今日何が原因で、こんな状況になってるかくらいは分かっているつもりだ。

答えなかったことで、肯定と見なしたのか琴葉が話を続ける。

「あれは噂なんだし、プロデューサーと一回ちゃんと話した方が………」

「……何を、何を話せばいいのさ!」

「あっ、琴葉、ごめ……」

最低だ、自分を善意で心配してくれた琴葉に当たり散らすなんて。

「いや、いいの。それより恵美、何を話したらいいかなんて、自分が一番良く分かってるはずだよ。」

「………別に、プロデューサーと話すことなんてなんもないよ」

「恵美!!」

「アタシは別にプロデューサーと今のままでいい!アタシが黙ってるだけでプロデューサープロデューサーが幸せになれるならそれでいいの!」

「……本当に恵美はそれでいいの?」

「だからいいって言ってるじゃ……」

「そう、ならいいの。でも、自分の気持ちに鍵をかけて、仕舞っておくことがどういうことか、恵美はわかってるはずだよ」

「それに」

「結果がどうであれ、私は行動した方が後悔ってしないと思うな、なんて、部外者だから言えるのかな。」

「じゃあ、先に帰るね。色々とお節介焼いちゃってゴメン。」








「あーあ、何やってんだろアタシ……」

劇場の屋上で、フェンスに寄っ掛かりながらぼやく。

自分からプロデューサーに好きな人の話振って、勝手に自爆して。

さらには優しくしてくれた琴葉にまで八つ当たり。

最悪だ。琴葉にはちゃんと今度謝ろう。

でも、プロデューサーに好きな人、好きな人かぁ……

これからプロデューサーとどう接したらいいのか、それすらわからない。

「どーしよっかな……これから……」

夕焼け空にそんなことを問いかけたところで、答えは返って……

「恵美!やっぱりここにいたんだな!良かった!」

一番聞きたくない声が返ってきた。

「……プロデューサー?どうしてここに?」

プロデューサーの方を見て、問いかける。

「いやー、それは……なんか恵美の様子がおかしかったから?」

嘘だ。

鈍感なプロデューサーが、気配りをしてここまで来るとは考えにくい。

おそらく琴葉辺りがプロデューサーに連絡したのだろう。

ホントに話すことはないのに……

「にゃはは~、別にそんなことないって! ホラ!」

くるりとその場で回ってみせる。

「そんなことよりプロデューサー、たまには早く帰って彼女とご飯でも食べに行ったら?」

そんな思ってもいないことを口にする。

プロデューサーの前で、さっきみたいに取り乱してしまうくらいなら、こっちの方がずっといい。

「……は? 恵美、お前何言ってんの?」

戸惑った声色の返答が返ってくる。

「ほら!早く!あんまもたもたしてると嫌われちゃうよ~」

心配して来てくれたと言うのなら、こっちの気持ちを汲んで、この場は帰ってほしい。

「ちょ、ちょっと待てって、何か勘違いしてんだろ」

「待たないよ、ほら!」

プロデューサーの背中をグイグイと押す。

「ほんとに!俺の話を聞いてくれって!恵美!」

プロデューサーがアタシの肩を掴んで顔を覗き込んでくる。

「別に、プロデューサーと話すことなんて何もないよ」

「そうだとしても、俺からは恵美に伝えなきゃいけないことがあるんだよ!」

「……構わないでって言ってるの! どーして、こーゆーこと、するかなあ! 別にアタシに優しくしなくていいんだってば! 早く行ってよ!」

「落ち着けって、恵美」

「落ち着いてらんないよ! どーして好きな人がいるのに、他の女の子にも気を持たせるようなことをするの! その娘にだけ優しくしとけばいいじゃん! ねえ、プロデューサー、どうして? どうしてそんなことするの?」

「やっぱり勘違いしてるよ、恵美」

「だから勘違いなんか……」

「俺に好きな人がいる、ってのは本当なんだが……あークソ!俺が好きなのは恵美!お前なんだよ!」

「……は……?」

全くプロデューサーの言っていることのわけがわからない。

俺が好きなのは恵美……?恵美……恵美?!

顔を上げると、真っ赤な顔をしたプロデューサーがこちらを見つめている。

「だから俺がお前に優しくするのも!プロデューサーってのもあるけど!お前の事が好きだからなの!わかったか!」

早口で一気にまくし立てるプロデューサー。

「何それ……何それ……プロデューサー……おかしいよ……」

「おかしくない」

「そもそもどうしてアタシなんかの事を……」

「それは今日事務所で言っただろ?オシャレだし仲間思いで頑張り屋、そんな恵美に惚れたんだ」

事務所でのやり取りを思い出し、一気に顔が熱くなる。

「プッ!あはは!なにそれ!プロデューサー、めっちゃ恥ずかしいことしてたんだね!」

「うっせ」

でも、もっと恥ずかしいのはアタシの方だ。

一人で早とちりして色んな人に当たり散らして。

「でも、アタシはこのままでいいと思ってた、アイドルとプロデューサーだし、歳も全然違う、それに無理に何かをして、この関係が壊れてしまうなら、このままでいいって、でも……」

「プロデューサー……アタシはプロデューサーの事が好き。こんな後だしみたいな言い方で卑怯かもしれないけど、それでも……だから」


「恵美、俺と付き合ってくれないか?」

「!!!!どうして……それを、先、に言うかなあ……」

「これを女に先に言わせるのは男としてなんか許せないだろ」

「それで恵美。その、付き合ってくれるのか?」

「…んーどしよっかなー」

「な!おま、今のはOKする流れだったじゃんか!」

「だってさっきプロデューサー、『クソ』って言わなかった?好きな女の子に向かってクソっていうのはどうなのかな~?」

「それは……その……すまん」

「うん」

「もっかい言って、したら許したげる」

「えぇ……結構恥ずかしかったんだけど……」

「そんなんでいいの?プロデューサー?」

ホントはこんなことが言いたいんじゃない。

もっと他に言いたいこと、言わなきゃいけないことがたくさんあるんだ。

なのに、軽口を叩いてしまう。

こんなめんどくさいアタシでも、プロデューサーは好きでいてくれるのだろうか。

「わかったよ……」

「所恵美さん、あなたの事が好きです。僕とお付き合いして頂けますか?」

「うん、でも……」

「嫌じゃないの……? こんなにめんどくさいアタシなのに、プロデューサーの、傍に居てもいいの……?」

「恵美が嫌じゃなければ、ずっと一緒に居たいと思ってる」

「うん……うん……そんなの嫌なわけないじゃん……」

「だから、その、プロデューサー!」

「ああ」



「これからも……これからも、よろしくね! ずーっと、一緒に、傍に居てね!」




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