箱根駅伝、選手が「厚底」靴をあえて選ぶ5大理由

「ユニフォームと靴の違い」に出る選手の信念

箱根駅伝予選会でも「厚底シューズ」を履く選手が大半を占めた(写真:EKIDEN News)
第96回箱根駅伝。連覇を狙う東海大学、出雲駅伝の勝者・國學院大学などが注目されているが、今年の箱根では「靴」をめぐる知られざる戦いが、さらに激化するといわれている。
「ナイキの『ヴェイパーフライネクスト%』はすごいイノベーションです。今やランニング界を席巻しています。今年の箱根駅伝も、80~90%の選手がこのシューズを履いて走ると私は予測しています」
あまりに細かすぎる箱根駅伝ガイド!2020』(ぴあMOOK)を刊行し、駅伝に関するマニアックな情報を発信するメディア「EKIDEN News」を主宰する西本武司氏は、選手の靴選びに注目している。その驚愕の世界を熱く語った。

「合理的に考えて厚底ヴェイパー」の時代

――箱根駅伝では「ヴェイパー」を履く選手が増えています。

「SHOE DOG」特設サイトはこちら

箱根駅伝をはじめ、実業団の大会から市民ランナーまで、ランニングの世界はナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライネクスト%」が席巻しています。

うまくカーボンの反発を捉えて走ることができれば、楽にスピードを出せることは間違いないですから、1秒でも記録を削り出すために、合理的に考えて「ヴェイパー」を選ぶ。一方で、シューズそのものの幅が合わない場合や慣れ親しんだシューズを優先するので、「あえて履かない」という選択をする選手もいます。

それぞれの選手にとって、その靴が合うかどうかという問題はありますが、やはりマラソンや長距離で「楽に長く走ること」に関しては、「ヴェイパー」がズバ抜けており、GAFAのような、ある種の「プラットフォーム」になっているという印象です。

実業団の選手が走る元日の「ニューイヤー駅伝」は、よりシビアでした。箱根駅伝は最高視聴率30%近くをたたき出すレースですから、メーカーも力を入れて靴を支給しますが、そこまで視聴率の高くないニューイヤー駅伝では、同じように潤沢に支給するわけにもいかない。

実業団の選手たちにとっては、ニューイヤー駅伝に出場すること、そして活躍することは今後の契約につながる死活問題です。ですから「ヴェイパー」が品薄だった時代には、メルカリで定価以上に値上げされたものを買った選手もいると聞きました。

ランニングの世界を席巻している「ヴェイパー」は、なぜ選手にここまで支持されているのでしょうか。数多くの理由が考えられますが、その中の主な5つを解説したいと思います。

次ページ「靴だけ」は選手の自由?
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
  • 日本野球の今そこにある危機
  • 起業家的音楽家
  • 内田衛の日々是投資
  • おとなたちには、わからない
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
7

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
  • ジョウシゲルe5c9e04a43f4
    気象条件が良いとはいえ、往路がこうも好記録だったことを踏まえると、靴の影響は間違いなくあるのかなと感じる。
    up40
    down26
    2020/1/3 08:33
  • 😎89243b34c9b4
    厚底靴を履いて、普通の靴の選手に向かって


    「(あっ・・・知らないんだ・・)・・・」


    って厚底靴で少し高くなった目線で更に上から目で威圧すれば

    (厚底靴による物理的効果1%)×(相手動揺と厚底靴を履いていない謎の自責萎縮効果による相手の-1%)×(厚底靴による謎のプラシーボ効果1%)で最大3%の差をつけられるかもしれないな。

    陸上競技の3%は着順の桁が違ってくるね。


    あまり厚底を履きすぎて、昼間のOLみたいにカックンってならないようにしないとね。

    up3
    down1
    2020/1/5 01:26
  • バフェットバフェットc5c334d42b6c
    縮まった平均タイムをざっくり計算すると、約1%も縮まっているんだよね。
    そうすると、たとえば選手の一歩が100センチだとすると、このシューズを履けば101センチになるレベル。
    これは、ほんとにすごい、
    up0
    down0
    2020/1/5 01:14
  • すべてのコメントを読む
トレンドウォッチAD
2020大予測<br>編集部から(2)

「2019年は面白い年だった。成長、停滞の30年サイクルの節目だから」。取材の冒頭、そう言ったのは元カルビー会長の松本晃氏。今回の目玉は計85人、経営者だけでも64人のインタビュー。各業界にフォーカスし、先行きを如実に示す経営者の肉声が満載です。(許斐)