ゴーン逃亡に沈黙し続ける日本政府の「無責任」

各国の政府関係者はコメントしているのに

日本から逃亡したゴーン氏の足跡が少しずつ明らかになってきているが、日本政府や入管当局はいまだ沈黙を貫いている(写真:REUTERS/Issei Kato)

「沈黙」は、遠藤周作による非常に美しい小説の題名だ。それはまた、マーティン・スコセッシが最近、それを原作として制作した映画の題名でもある。そしてそれは今、日産自動車前会長のカルロス・ゴーン氏の華々しい逃亡劇に対する日本の政治家や当局者たちの反応を雄弁に物語るものとなっている。

ゴーン氏が昨年末、突如としてレバノンの首都、ベイルートに姿を見せて以来、フランス、トルコ、レバノンの官僚たちはみな、この事件についての見解を表明している。ところが、日本の政治家たちは沈黙している。この国際的な話題のいちばんの当事国であるにもかかわらずだ。出入国管理手続きの任を負う法務相ですら、この問題の事実についてコメントしていない。

民間警備業界では知られた人物が助けた?

報道によると、昨年12月29日に、TCTSRと呼ばれるプライベートジェット機のボンバルディア グローバル・エクスプレスが、トルコの会社であるジェット航空ASによる運航で、関西国際空港のプライベートジェット機専用施設「玉響(たまゆら)」から、楽器ケースに入ったゴーン氏を乗せてイスタンブールへと飛んだ。

米ウォールストリート・ジャーナル紙によれば、機内には乗客2人しかいなかった。そのうち1人は、「民間警備業界という小さな狭い世界では知られた男」と同じ、マイケル・テイラーという名であったという。ジョージ・ザイクと名乗るもう1人は、テイラー氏とのつながりを持つ警備会社の従業員と同名だった。

この2人がおそらくゴーン氏を運んだのだろう。この一行は数個の非常に大きな荷物を携行しており、そのなかにはゴーン氏を入れていた楽器ケースも含まれていたという。

航空機をリアルタイムで追跡するFlightradar24で入手できるデータによると、TCTSR機は関空を飛び立つ前日、28日にマダガスカルのアンタナナリボを出発、ドバイに立ち寄り、関空に到着した。

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  • 半畳亭da240053a5d0
    記事にするなら言葉は正確に選びましょう。「無責任」ではなく「無能」と言うべきでしょう。世界中の笑いものだ。
    up28
    down5
    2020/1/5 07:07
  • からころもbc29c03168a9
    >ところが、日本の政治家たちは沈黙している。

    野党の原口議員が、ゴーン氏が不法出国した事について「理解出来る」と述べてたんじゃなかったっけ?

    あと、アルノー氏はゴーン氏を歓迎していないレバノン人など居ない!と前のコラムで書いてたけど、AFPとかが腐敗政治を糺そうとする市民団体などから「レバノンに泥棒がまたひとり増えた」などと歓迎しないコメントが出ている事を伝えないのかな?
    up11
    down4
    2020/1/5 07:24
  • Noname13bf7da736bf4
    コメントしないのではなく、できないのでしょう。中身がなく言い訳ばかりの無能ばかり育ててきた教育や社会のツケ。
    小手先の言い訳は得意でも、社会とか世界とか、スケールが大きくなると途端に口を塞ぐ無能の小心者でできた国だもの。しかも挙句これくらいのことでは動じないみたいな謎の開き直りを見せるんですよね。勝手にしてください。この国の評価や立場は確実に下がっていますが。
    up7
    down2
    2020/1/5 07:44
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