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日本人の「自尊感情」は30年下がり続けている…数字で見る驚きの事実

この国で何が起きているのか

「自尊感情」とは何か

「日本の子どもたちは自己肯定感が下がっている」「日本人は自信を失ってきているのではないか」「日本全体の活力が失われてきている」といったことが指摘されることがあります。また、最近の日本は全体的に元気がなく、人々は自信を失っているのではないかという印象を抱く人もいるのではないでしょうか。

自分自身を基本的に良い人間で、好ましく、価値がある存在だと感じること、自分自身に対する全体的な評価的感情のことを「自尊感情」といいます。自尊感情は心理学の用語で、一般的に使われる自己肯定感という言葉に近い概念です。

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そうした意味で日本人の自尊感情が下がっていると指摘されることがあるわけですが、一方で、「個人の印象だけでは信用できない」「ちゃんとしたエビデンスがないと本当かどうかはわからない」という意見もあります。

実際に私自身も研究者ですので、そういう意見に近い立場です。いくら人々が「自己肯定感が下がっていそうだ」という印象を抱いていたとしても、実際に心理学の研究で使う「測定尺度」を使って、近年になるほど得点(つまり集団の平均値)が下がっているということが示されないと、なかなか「確かにそういう現象が生じている」と結論を下すことはできません。

ただし「自尊感情の低下」という現象を確かめようと思っても、ひとつとても大きな障壁が立ちはだかります。それは、タイムマシンを手に入れることでもしない限り、現在の時点において、過去に生きていた人々に調査をすることができないということです。