
国民の3人に1人が罹患し、経済にも悪影響を及ぼしている花粉症。その主原因のスギ花粉の飛散を防ぐ“救世主”となり得る新技術の開発が、神奈川から開花しそうだ。県が昨秋、花粉を飛ばす雄花を枯らせる神奈川由来の菌類を発見。国がその菌類を薬剤に活用する研究開発を進めている。実用化すれば数十年を要するとされる伐採や植え替えに代わる画期的な花粉症対策になりそうだ。
県が発見した菌類は、スギの雄花に寄生して枯死させる「シドウィア菌」。雄花を枯らし、さらに周辺の雄花にも菌糸を広げる。枯死した雄花は開花しないため花粉が飛散しない一方、雄花以外には無害で木の生育に問題はない。この菌を薬剤として活用し、ヘリコプターやドローンによる空中散布などが可能になれば、即効性のある新たな花粉飛散防止策になるという。
これらの研究を進めている国の研究機関「森林総合研究所」(茨城県つくば市)に県が協力を提案したところ、効果がより高く生態系への影響も少ない「地域由来の菌類」を探すよう依頼された。

県森林再生課と県自然環境保全センターは昨年9月、県央地域などのスギ林9カ所で調査を実施。相模原市緑区で約5ミリ大の雄花に付着していた菌を発見した。現在は同研究所が培養している。
花粉症対策を巡っては、県は2008年度に「9都県市花粉発生源対策10カ年計画」を策定。伐採や花粉の少ないスギへの植え替えなどを続け、18年度に第2期計画へ移行した。
ただ、第1期の植え替え達成率は44%。花粉症が社会問題化した昭和50年代後半から現在まで増加したスギ林の面積分について対策を講じているが、県は「このまま対策を続けても目標達成にはあと30年以上かかる」との見通しを示している。
シドウィア菌を活用した薬剤散布が実用化されれば、広範囲で効率的な対策が可能になり、人手や経費などコスト削減効果も期待される。県は「散布による動植物への影響の検証など課題も多く、あと何年かかるか分からない」としながらも、「多くの方の期待に応えるため、今後も研究開発に協力していきたい」としている。
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