世界的アーティスト・横尾忠則氏(83)が『男はつらいよ お帰り 寅さん』について「自分のアイディアを山田監督に無断使用された」と週刊ポストに独白しています。
この記事を読んで思い出されるのは、スティーブ・ジョブズ、ピカソやアインシュタインの「パクリ上等!」の名言です。
今回は、横尾忠則氏と山田洋次監督との間に何があったのかまとめるとともに、クリエイティブな世界のパクリについて見ていきたいと思います。
山田洋次、横尾忠則のアイディア盗む
今回の新しい『男はつらいよ』のコンセプトとアイディア、それは僕が山田洋次監督に示したものが核になっているんです。
山田さんが「渥美さんなしに寅さんは撮れない」と寂しそうに言われた。だから僕は「撮れますよ」と応じたんです。彼は「どうやって?」と驚いて顔を上げたので、「過去49本の寅さんの映画から抜粋、引用してコラージュすればいい」と提案したんです。
「さくらや博、満男にリリーも現役だし、現在の彼らを出演させたらいいですよ。ゲストに『家族はつらいよ』のキャストも出せば面白い。寅さんは幽霊にしたらいいんじゃないですか」というアイディアも山田さんに出したんですけどね。
山田洋次監督は、横尾忠則氏にから男はつらいよ新作についてコラージュなど数多くのアイディアを聞き、そのアイディアは今作に反映されています。
しかし、横尾忠則氏には何も断りなく、撮影は進み完成します。
製作スタートした2018年から、ずっと蚊帳の外なんです。音楽がまだ入ってない「ゼロ号」という試写を観せられたときは、僕は憤然と席を立って態度で抗議しました。作品は僕が彼に提案したように、現役の浅丘さんたちが出ているし、『家族はつらいよ』の橋爪功さんや小林稔侍さんも登場しています。CGで寅さんの幻影(幽霊)を表現するのも僕の提案通りでした。屈辱感を味わいましたね。
テレビや新聞、雑誌に山田さんが出ても発案者の名は出ていません。面白いアイディアは独り占めにするっていうのが彼の性格なのかな、恥ずかしくないのかしらと困惑しました。加えてアーティスト同士という感情以上に、山田さんに年上の友人として敬意を抱いていましたしね。僕は友情を踏みにじられたとも感じています。そういう態度やモノの考え方は彼個人のものなのか、それとも日本映画界の悪習でしょうか?
山田洋次監督の不誠実な嘘の言い訳
横尾忠則氏が直接山田洋次監督に抗議の手紙を送ったところ、あわてて、横尾忠則氏のもとを訪れ、不誠実な言い訳と約束をし懐柔しようと画策。
はじめは内容証明を松竹へ送ろうかと思ってたんです。だけど、それだとクレジット欲しさのセコい感じがしてやめました。僕の気持ちを真摯に山田さん本人に伝えたいから、手紙にしたんですよ。一言、「あなたのアイディアを使うけれども、製作は任せてくれ」と断わってほしかったということ、そしてそれをしなかった彼の態度について、「晩節を汚している」とも書きました。
すると山田さんは、その手紙を持って声を震わせて僕のアトリエへ駆け込んで来た。彼は「誤解だ、当初から横尾さんの発案だと喋っていました」と言うわけ。僕がそんな話どこからも入ってこないと返すと、今度は「名前を出すと忙しい横尾さんに迷惑がかかるから」と答える。説明が二転三転した末に、なんとか懐柔しようと「これからの取材ではちゃんと横尾さんのことを言います。今度こそ一緒に映画を作りましょう」と僕の肩を抱いてくる始末(笑い)。全然、真意が伝わってないんだなと呆れました。
松竹映画と山田洋次監督のサイコパスな回答
週刊ポストが松竹映画と山田洋次監督に横尾忠則氏の憤りについてコメントを求めたところ、横尾忠則氏が認識する事実とは異なる全く噛み合わない回答が寄せられました。
横尾氏の憤りに対してどう返答するのか。山田監督へコメントを求めたところ、多忙を理由に松竹映画宣伝部が回答した。
「オールラッシュ(ゼロ号試写)に特別に来ていただいたのも、進行状況の報告のつもりだった。もし横尾さんがご不満だとすれば、監督は本当に申し訳ないと思っているが、一方で聞いていただければ何でもお話しできたと戸惑っています。
新作の発想が横尾さんから出ていることはもちろんですが、横尾さんがイメージされたような実験的な映画ではなくなってしまったので、横尾さんのお名前を出すのは失礼だと監督は思っていた。でもこれからは喜んで名前を出していくつもりです」
この回答を横尾氏に伝えると、「進行状況の報告などまったく受けていない。人間不信に陥ってしまいますよ」と憤った。
(引用:https://www.news-postseven.com/archives/20200104_1517067.html)
成功者はパクっても罪悪感なしのサイコパス?
サイコパスとは?
サイコパスとは、シンプルに言うと反社会的人格を持つ人のこと。サイコパス研究の第一人者であるロバート・D・ヘアはサイコパスの特徴として下記をあげています。
・良心が異常に欠如している
・他者に冷淡で共感しない
・慢性的に平然と嘘をつく
・行動に対する責任が全く取れない
・罪悪感が皆無
・自尊心が過大で自己中心的
・口が達者で表面は魅力的彼らは社会的な地位が高い傾向があり、表面的には好印象であるとも言われています。
(引用:https://ddnavi.com/review/470226/a/)
「優れた芸術家は模倣し、偉大な芸術家は盗む」
この言葉は、スティーブジョブスが引用し、ピカソも語って居た言葉だそうです。
さらにニュートンやダリも似たような発言をしています。
「クリエイティブである一番の秘訣はその元ネタがバレないことだ」アインシュタイン
「何もまねしたくないなんて言っている人間は、何も作れない」サルバドール・ダリ
成功者は、自身のパクリには寛容なのかもしれません。
今回の山田洋次監督はどうなのか、山田監督自身からの説明が気になります。