日本で仕事をしながらオンラインでコンピュータサイエンスの修士号を取得できる、ジョージア工科大学大学院について紹介します。
なお、学費等の計算には為替レイトとして、1ドル=110円を使いました。
公式サイト
ジョージア工科大学大学院 コンピュータ・サイエンス Georgia Tech's online Master of Science in Computer Science (OMS CS) とは
ジョージア工科大学はジョージア州の州立大学で、米国工科大学の超名門校。米国工科大学の御三家とされ、マサチューセッツ工科大学、カリフォルニア工科大学と肩を並べます。卒業生には、合衆国第39代大統領のジミー・カーター氏や、ispaceの袴田 武史さんがいます。
ジョージア工科大学大学院 オンライン・コンピュータ・サイエンス(以下、OMSCS)は、2013年に開始されたオンラインの大学院です。OMSCSは、U.S. News & World Reportで、米国第9位のコンピュータ・サイエンス大学院に位置付けられています。
OMSCSの学生総数は6,365人、100カ国以上の国から集まり、アメリカの学生が70%程度、その他の国が30%程度の構成です。
大学院の特徴
OMSCSの特徴は、受講しやすく、かつ安価な認可大学課程という点です。
授業はudacityというMOOC(オンライン学習システム)で実施されます。
そのため、大学への通学はもちろん、アメリカでの居住は不要です。好きな時間に受講できるので、日本で働きながら受講できます。
また、卒業までに必要な学費はおよそ80万円($7,000)と、日本の国立大学と比較しても圧倒的に安価です。ちなみに、日本の大学院の場合、博士前期課程2年間で約135万円となります。
そして、認可大学過程ですので、コンピュータ・サイエンスの修士号を取得できます。
取得できる修士号
Master of Science in Computer Science
を取得できます。これは、通学して取得できる資格と同一のもので、”オンライン”のような言葉は入らず、通学で取得した修士号と区別されることはありません。
授業内容
OMSCSでは以下のコースなどが提供されています。
詳細はCurrent Coursesを参照してください。
一般コース
- 情報セキュリティ
- オペレーティング・システム
- ハイパフォーマンスコンピューティング
- データ分析
- コンピュータ・ネットワーク
- ネットワークセキュリティ
- サイバーフィジカルセキュリティ
- 組み込みシステム
- ソフトウェア開発プロセス
- ソフトウェアアーキテクチャ
- ソフトウェア分析
- データベースシステム
- 医療情報科学
- 教育技術
- コンピュータグラフィックス
- コンピュータビジョン
- アルゴリズム
- 人工知能
- 人間とコンピュータのインタラクション
- 認知システム
- 機械学習
- 強化学習
- コンパイラー
- その他
上記のコースに加えて、Specializationsという専門コース群があります。
専門コース群の中には、それぞれ複数のコースが含まれています。
専門コース群
- 認知・ロボティクス
- コンピューティングシステム
- インタラクティブインテリジェンス
- 機械学習
卒業に必要な受講コース数は?
卒業までには、最低10コースを受講する必要があります。専門コース群から4あるいは5コースを選択し、その他5あるいは6コースを任意のコースから選択します。
1セメスターあたり2コースまで受講可能ですので、1年間で4コースを受講できます。よって、卒業に必要な10コース÷4コース/年=2.5年と、卒業までには最短でも3年が必要となります。ただし、フルタイムで働いている学生の場合、最初の1セメスターは1コースまでの受講を推奨していることもあり、学生の事情によって必要な期間は変わります。
入学前に授業内容を見ることはできるか?
udacityというオンライン学習サービスを通じて授業内容を見ることができます。
udacityの授業は入学しなくても受講できます。udacityのサイトで会員登録をし、検索で「OMSCS」などのキーワードを入れると授業を探すことができます。例えば、Machine Learningがあります。
入学要件
OMSCSの入学要件は以下の通りです。
- 4年制大学を卒業していること(学士を保有していること)
※学部要件として、コンピュータサイエンスあるいは関連学部(機械工学、電子工学、コンピュータエンジニアリング、数学など)を卒業していること
※証明書が必要 - GPA3.0以上
- 米国以外の受験者はTOEFLスコアを提出
総合得点で100点以上、かつセクション(R・W・L・S)ごとの最低点が19点以上
※下記に90以上と記述がありますが、OMSCSのFAQでは100以上とありますので、100が優先されるものと推定されます。
TOEFL for International Students
FAQ
その他、補足は以下の通りです。
- 上記要件を満たさない場合は個別に評価される
- 仕事のキャリアは問わない
- GREは不要
入学試験
入学試験は、以下の情報および書類を提出します。
- 個人情報(名前や誕生日、住所ほか)
- 学歴(大学の成績証明書は必須)
- TOEFLスコア(米国以外の国籍)
- 民族性
- 受賞歴ほか
- 他に応募している大学
- キャリア目標や背景に関するエッセイ(なぜ応募したのか。英語で2,000字まで)
- SOPエッセイ(キャリアプラン。何を目指しているのか。英語で4,000字まで)
- レジュメ
- 推薦人(教授や上司など。級友や同僚は優先度低)
3人の推薦者が必要になり、メールアドレスを伝えます。メールアドレス宛に推薦状の提出方法が送信されます。
学費
卒業までの学費目安はおよそ80万円です。ただし、在学期間が長ければ長いほど追加の費用が必要となります。
学費を試算してみましょう。
1コースあたりおよそ6万円、また学期ごとにおよそ36,000円を支払います。卒業までに10コースを3年(6学期分)かけて受講したとすると、
60,000円*10コース+36,000円*6学期=816,000円
となります。この他、コースによって購入書籍がありますので、その購入費用も+αでみておいたほうが良いです。
在学期間が長ければ長いほど、またより多くのコースを受講するほど、学費は上がります。
卒業までに必要な期間
一般的な学生で3年間です。ただし、仕事の繁閑や体調などを踏まえ、もう少し長めにみておいても良いでしょう。
なお、OMSCSでは最長6年間までの在学が可能となっています。
入学試験の申し込み
Apply Nowから申し込みが可能です。
申し込みの期限は、春入学が毎年7月1日、秋入学は毎年3月1日です。
この期限までに、TOEFLスコアや成績表、推薦状などの入学試験書類を揃える必要があります。余裕をもってTOEFLを受験しましょう。
まとめ
ジョージア工科大学大学院 コンピュータ・サイエンス(Georgia Tech's online Master of Science in Computer Science (OMS CS))は安価で、かつ働きながらコンピュータ・サイエンスの知識を深められる有益なプログラムかと思います。
働きながら、ということは仕事の繁閑を乗り越えながら、空き時間を強制的に作って長期に渡りPCに向かうモチベーションが求められます。これはオンライン学習の簡便さのもう一方の側面と考えられます。
なぜオンラインでコンピュータ・サイエンスの修士号を取得するのか、その目的を明確にして、3年間みっちりとスキルアップできたら良いのかもしれません。
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