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ニトリ会長・似鳥昭雄が断言「2020年、日本経済は下り坂に入る」

「見せかけの好景気」は、もう続かない

「改善はするな、改革をしろ」。そう語るニトリ会長は、今日も商品開発に取り組み、アジアの工場を回る。夏に迫る東京五輪に浮かれる日本人を尻目に、日本一の千里眼はその先を見通していた──。発売中の『週刊現代』が特集する。

 

世界の景気は減速へ

「東京五輪は景気の山の頂上になるかもしれません。これを越えれば、景気が後退へと転ずることになると思います」

ニトリホールディングス・似鳥昭雄会長(75歳)は、これまで為替や株価の動向を毎年のように的中させてきた。恒例となった本誌独占の新春インタビューで、今年も似鳥会長の2020年の経済予測をお届けしよう。

ニトリ東京本部で取材に応じた似鳥会長は、この取材のため、工場のあるタイから帰国したばかり。疲れた様子を微塵も見せずに、立て板に水のごとく語り始めた。

「2020年の日経平均株価は、2万2000円を中心に2万1000円~2万3000円の水準に留まるだろうと考えています。NYダウも、2万6000ドルを中心に2万5000ドル~2万7000ドルのレンジが妥当だと思います。

つまり、株価は下降傾向を持ちながらも、底堅く維持するという予測になります」(以下、「 」内は似鳥会長の発言)

──ということは、2020年の世界経済全体は現状維持になるのでしょうか。

「むしろ逆です。私は2020年中に世界の景気が減速すると考えています。たしかに、IMFが昨年10月に発表した2020年の世界全体の経済成長率の見通しは3・4%となっています。

しかし私はこの3・4%という数字にはやや懐疑的です。IMFは近いうちに見通しを修正するのではないでしょうか。

というのは、同じIMFの見通しの中で日本やアメリカ、中国の国別の成長率予測は、前年比0・3%~0・4%マイナスとなっているからです。途上国が世界経済を牽引しているにすぎません。

主要国の経済状況を詳細にみれば、世界経済の成長率は3%が妥当ではないかと考えています」

IMFのデータをたどれば、この3%というのは、リーマンショックがあった直後の'09年に次いで低い経済成長の水準だ。

──世界経済は停滞するにもかかわらず、株価は維持というのはどういうわけですか。

「たしかに、世界経済が減速する以上、本来ならば株価が下がってもおかしくはありません。

ただし、日本経済にかぎっていえば、以下の2つのイベントのおかげで株価は維持されるでしょう。一つは7月24日から8月9日まで開催される東京五輪。もう一つはアメリカで11月3日投開票される大統領選挙です。

しかしこの2つの節目を過ぎるころから、2020年の経済は下降をたどると考えています」