GROWの収益はどこから上がるのでしょう。
福原:企業に料金を負担してもらうモデルを採用しています。
学生に負担させたくはありません。例えば、能力に恵まれているにもかかわらず、地方に住んでいて機会に恵まれない学生が数多くいます。こういう学生にチャンスを提供したいと考えています。
クライアント企業向けの料金は2つあります。1つは、先ほどお話しした企業の現在の従業員の分析に対する料金です。基本料は30万円。対象とする従業員1人当たり3000円。もう1つはマッチングサービスにおける成功報酬です。採用する学生1人当たり80万~120万円です。
フィンテックの経験を生かす
福原さんは、どうしてGROWを始めようと考えたのですか。
福原:私のこれまでの経験に負うところが大きいですね。学生時代から数学や統計に興味を持っていました。慶応大学で計量経済学を専攻、修士課程では金融工学を学びました。博士号は筑波大学で、統計の一分野である時系列分析を研究して取得しています。
社会人としては米バークレイズ・グローバル・インベスターズでAIを使った為替予測に取り組んでいました。日本銀行がいつ、どれくらいの規模で為替介入するかを予測するモデルを作ったりしていました。日銀総裁がどのような性格の人物か、時の政権の支持率が何%かなどを変数として予測、介入の有無を基にモデルを修正するものです。
退職後、私は教育サービスを始めました。「東大とハーバードの両方に合格する学生を育てる」をスローガンにした塾を渋谷で2010年に開塾。おかげさまで、こちらの卒業生は50人を越え、米ハーバード大、米プリンストン大学や米ジョージタウン大学、米コーネル大学に合格するなど成果が出ています。現在の塾生は約200人。昨年は大阪校と横浜校を開きました。
「本当にイノベーションを起こしたか」をフォローしたい
GROWの機能を拡充する計画はありますか。
福原:いくつかのアイデアがあります。これらを並行して進めていきます。このための資金をベンチャーキャピタルから得るメドが付きました。
アイデアの1つは、学生の性格をより精緻に探ること。また、学生のコンピテンシーを向上させる教育モデルです。
企業として気になるのは、「イノベーションを起こす」と期待して採用した学生が本当にイノベーションを起こしてくれるかどうかですね。採用した学生のその後の行動をフォローする仕組み作りも検討していますか。
福原:はい、それも考えています。採用された学生のその後の行動や成果をフォローするためのメソドロジーはまだ確立されていないので、クライアント企業と協力して取り組んでいければと考えています。
このためにAIのエンジニアを増やす考えです。外国人が多くなるでしょう。機能を高めるとともに営業を担当する人材も増やしていきます
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