日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告(65)が保釈条件に違反して海外逃亡した事件で、ゴーン元会長が2019年12月29日昼、都内の住宅を1人で出たまま戻らなかったことが3日、関係者への取材で分かった。監視カメラの映像で外出が確認された。元会長は同月中旬、周囲に「日本という国を疑っており、ここにいることが恐ろしい」と話していた。
日本の捜査当局は国際刑事警察機構(ICPO)を通じて元会長を国際手配するとともに、出入国管理法違反(不法出国)容疑で捜査している。元会長は住宅を出て空港に向かった可能性があり、東京地検などは別の場所で何者かと合流した疑いもあるとみて調べている。
元会長は保釈条件として東京都港区内の住宅での居住を指定され、住宅には人の出入りを24時間記録する監視カメラが設置されていた。警察などがカメラ映像を分析したところ、元会長は19年12月29日昼に1人で外出したのを最後に姿が確認できなかったという。映像では他に不審な人物の出入りもなかった。
一方、元会長は同年12月中旬、周囲に「(検察は)『ゴーンは有罪』ありきで、日本の司法システムがこんなものだとは知らなかった。そういうシステムの日本という国を疑っており、ここにいることが恐ろしい」と心情を説明。「私のゴールは日産、検察、日本政府に対して反撃の場を得られる機会を作ることだ」と話したという。
元会長は保釈条件で海外渡航や事件関係者への連絡が禁止され、妻キャロルさんとの接触にも裁判所の許可が必要だった。元会長はこうした状況について「私は毎日監視され、妻とも息子とも話ができない」と不満を漏らしていたという。
元会長は同年12月29日夜に関西国際空港からプライベートジェットでトルコへ向かい、イスタンブールの空港で別の機に乗り換え、同30日にレバノン・ベイルートに到着したとみられている。同31日、広報を担当するフランスの企業を通じて「私は今、レバノンにいる」と声明を出した。
レバノンの現地メディアは同月29日に楽団を装ったグループが元会長の住宅を訪れ、元会長は楽器の箱に隠れて移動したと報じた。しかし日本の捜査関係者によると、カメラ映像から確認できた外出時の状況とは符合しないという。
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