毎週、金曜19時は子供の時間だった。小学生のわたしは妹2人とブラウン管の前にいた。
「ドラえもん。また、ジャイアンとスネ夫にいじめられたよぉ」
「しょうがないなぁ、のび太くんは」
ドラえもんが秘密道具を出す。
「いいなぁ、道具もらえて」
上の妹がつぶやいた。
道具を手にしたのび太はジャイアンとスネ夫をぎゃふんと言わせたが、いたずらに使いはじめて、大失敗した。
「助けて!ドラえもん!」
のび太が泣きついて、1話終わった。
「ねぇ、まだ終わらないの?」
下の妹はいつもの展開に飽きた様子だった。
「もう1話ある。そのあと、しんちゃんだよ」
わたしたち兄妹の好きなアニメの名前を出せば納得すると思った。
「もう飽きた。あいつ、全然、反省しないじゃん」
上の妹がCMに映るのび太を指さす。
「じゃあ、何チャンがいいの?」
たずねてみたら、彼女たちはモーニング娘の特番が観たいと言い出した。
「えー。しんちゃんがいい」
興味がない番組を観たくなかった。