NHK平成31年度予算,9年ぶりの赤字に

NHKの平成31(2019)年度予算と事業計画が,1月15日に発表された。事業収入は7,247億円(前年度比1.1%増),事業支出は7,277億円(同2.1%増)で,30億円支出が多く,9年ぶりの赤字予算となった。

赤字予算となったのは,2019年10月に予定される消費税率の引き上げの際,受信料を据え置く,つまり,実質2%値下げすることが大きく影響している。ただし,2017年に最高裁が受信料制度を合憲とする判断を示したあと,契約件数が増えており,2019年度は,地上放送の支払い率が83%,衛星契約が53%と,それぞれ上昇を見込んでいる。

事業支出については,増加の背景として,4K・8K放送や参院選などの報道の強化,地域放送や国際放送の充実などを挙げている。

事業支出の中で特に注目されたのが,インターネット活用業務。NHKは,「インターネット実施基準」で事業費の上限を受信料収入の2.5%以内と定めており,2019年度では,ネットサービスの基盤強化などのため,受信料収入の2.4%にあたる約169億円を計上した。民放連は,今後放送法が改正され,常時同時配信が実施される場合も,"2.5%の上限"の維持を求めている。NHKの予算発表後,民放連会長は「(2.5%の上限を)今後も順守してくれるものと信じている。(中略)抑制的に運用するところから始めなければ,業務の肥大化という批判を受けかねない」とけん制した。これに対してNHKは,明確な答えを示していない。常時同時配信の実施に年間50億円かかる(権利処理費除く)という試算もあり,2.5%の上限をめぐる攻防は,これからがまさに本番だろう。

村上圭子

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