30~40代男性が7割、「性依存症」の深刻な実態

見えない心の病を抱えた患者たち

「痴漢」「盗撮」をはじめとする「性依存症」。近年増えてきている性依存症の実態とは(写真:Graphs/PIXTA、写真はイメージです)
時代は日進月歩の勢いで進み、貧富の差が拡大する格差社会へ。急激な社会の変化は、一方でそれに適応できず、ストレスを抱え込む人たちを生み出す。近年増えてきている「依存症」の中でも、特に目立つのは「性依存症」だという。そこで、『やめられない人々 性依存症者、最後の「駆け込み寺」リポート』(現代書林刊)の著者であり、医療法人榎本クリニック理事長である榎本稔氏に、その実態について聞いた。

私は東京都内にある6カ所でメンタルクリニックを運営しています。池袋本院を中心に、6つのクリニックヘ毎日、約900人の患者さんが通ってきます。

その約900人のうち、4人に1人は「依存症」の患者さんです。依存症にはさまざまなタイプがありますが、いちばんよく知られているのは「アルコール依存症」でしょう。かつては「慢性アルコール中毒」、略して「アル中」と呼ばれていました。

また、高度経済成長期に急増したものに「ギャンブル依存症」があります。競馬、競輪、ボートレース、パチンコなどに過度にのめり込むのがギャンブル依存症です。

「性依存症」は現代病

ここ10年あまり、目立って増えてきたのが数々の依存症のなかでも「性依存症」。具体的には、「痴漢」「盗撮」「のぞき」「露出」「下着泥棒」「風俗通い」「強姦」などの性衝動行為を操り返し行うもので、その中でもいちばん多いのが「痴漢」です。

当記事は「週刊女性PRIME」(運営:主婦と生活社)の提供記事です

性依存症の場合、行為の対象となる相手(多くの場合、女性)がいるため、犯罪になります。しかし、被害者に対する罪悪感は少なく、自分の興奮や快感だけを求める加害者が多いことが特徴です。

この性依存症は、現代という時代を背景にした現代病です。むしろほかの依存症より、その色合いが濃いといえ、中でも年を追って増えているのが若い人たちの罹患(りかん)。日々、彼らと接するうちに見えてきた時代背景を、いくつか紹介したいと思います。

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  • 湯たんぽ63da0e19532d
    データの見方がおかしい。

    このデータは「壮年期、働き盛りの世代に性依存患者が多い」のではなく、適性にメンタルクリニックを受診する人の割合だ。
    メンタルクリニックで受診をしない「性依存患者」は、このデータに反映されない。
    データの見方を少し学ばれては如何でしょうか?


    > 当院の受診者のデータから検証してみると、30〜40代の男性がおよそ70パーセントを占めました。つまり壮年期、働き盛りの世代に性依存患者が多いのです。
    次に、彼らの職業はというと半数が「会社員」。さらに学歴を見てみると、4年制大学卒がほぼ半数を占め、大学院卒を合わせると54パーセントにもなっています。
    up75
    down5
    2020/1/2 16:16
  • トロちゃんe58819b519e8
    この題だと誤解されるのでは。

    7割って、、医者に来る人の割合として7割が3,40代男性という話ですよね?つまり医者に来ない人も含めて、全体的な割合として、3,40代の7割が「性依存症」というわけではない。大半が「性依存症」とは無関係なのだが。まぁ医者に行かないよりは行った方がいいのは確か。

    3,40代男性のプレッシャーが一番多いから、何らかの依存症になる確率が高いのは何も驚くことではない。むしろ当然だろう。

    up41
    down4
    2020/1/2 17:27
  • Noname13bf7da736bf4
    勝手に男尊女卑して、勝手に崇高ぶって、女に興味ないとかこれだから女はと言っている男性も意外と多いと感じます。
    性依存で女性を不快にさせる男性も問題ですが、男尊女卑で女性を不快にさせる男性も十分問題と感じます。
    日本の男性は、女性に幻想を抱きすぎるか、女性に極端に興味のないふりをしたり、卑下しすぎるかの両極端な人が多い気がします。
    日本は世界的にも女性に厳しい国ですが、押しても引いても女性を不快にさせている時点で、今の自分たちは間違っているのかもと少しでも思える男性が増えてほしいです。
    up35
    down16
    2020/1/2 18:06
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