35年の時を経てプロモーションビデオも制作された、竹内まりやの「プラスティック・ラブ」
Text by Asuka Kageura
竹内まりやの「プラスティック・ラブ」が、欧米で類稀なる注目を集めている。都会の女性の自由な恋愛と孤独を歌ったこの曲が、1984年の発表から35年の時を経たいま、なぜ“世界でバイラル”しているのか?
紅白初出場とはまったく無関係だが、その謎に迫る。
紅白初出場とはまったく無関係だが、その謎に迫る。
アルゴリズムの気まぐれ?
文化や教育に関するオンラインメディア「オープン・カルチャー」は、アニメの歴史やJ-POPに詳しいStevem氏の解説で、「プラスティック・ラブ」の人気について説明している。
それによると、まず日本の1980年代の「シティ・ポップ」が欧米人にとって“新ジャンル”として受け入れられてユーチューブ等で視聴されはじめ、それらをよく再生する視聴者に対してアルゴリズムが推薦することで、「プラスティック・ラブ」が多くの人々に届いているという。
突然現れた(ように感じられる)「プラスティック・ラブ」の音楽性と独特の世界観が相まって、「いったい誰の曲で、どこから来たのか?」とネットユーザーの間で話題になっているようだ。(2019年12月現在で再生回数が2800万回を超えている動画もある。)
もちろん彼らは日本語を必ずしも理解しているわけではなく、歌詞もそれほど気にしていないそうだが、Stevem氏はその歌詞の魅力を次のように強調している。
「人生の悲しみや孤独を埋めるために、たとえば買い物をする。そんな虚ろなプラスチックのような気持ちが表れている」
また「バイス」のエディターのRyan Bassil氏は、その曲調をこう紹介している。
「東京の歌舞伎町に座って、荒涼とした気分でひどく心に傷を負ったまま、それでも何か冒険したいという衝動にかられて、そのためのシチュエーションとアサヒビールを渇望している。そんな感じ」
ちなみに歌舞伎町のネオン街やアサヒビールは海外でも有名なため、欧米人にもその雰囲気が伝わりやすいのだ。
「人生の悲しみや孤独を埋めるために、たとえば買い物をする。そんな虚ろなプラスチックのような気持ちが表れている」
また「バイス」のエディターのRyan Bassil氏は、その曲調をこう紹介している。
「東京の歌舞伎町に座って、荒涼とした気分でひどく心に傷を負ったまま、それでも何か冒険したいという衝動にかられて、そのためのシチュエーションとアサヒビールを渇望している。そんな感じ」
ちなみに歌舞伎町のネオン街やアサヒビールは海外でも有名なため、欧米人にもその雰囲気が伝わりやすいのだ。
さらに同氏は歌詞について、「オシャレな靴やドレスとともに夜の闇に自分を見失い、ギラギラした照明の下に愛を求めながら、真剣になることの怖さを避けている。そんな特殊な孤独」を表していると、解説している。
ユーチューブで「Plastic Love」と検索すると、グローバルなリミックス合戦が展開されていることがわかるだろう。もはや「プラスティック・ラブ」は“ミュージック・ミーム”になっている。
特に人気のあるのが、イギリスの歌手リック・アストリーの「ギヴ・ユー・アップ(Never Gonna Give You Up)」とのリミックスで、「プラスティック・ラブ」のインストに彼の歌を掛け合わせたものだ(再生回数は約45万回)。
ちなみに逆バージョンもあるが、サムネイル画像が恐ろしいものになっている……(再生回数は約8万回)。
リミックスでいじられて…
ユーチューブで「Plastic Love」と検索すると、グローバルなリミックス合戦が展開されていることがわかるだろう。もはや「プラスティック・ラブ」は“ミュージック・ミーム”になっている。
特に人気のあるのが、イギリスの歌手リック・アストリーの「ギヴ・ユー・アップ(Never Gonna Give You Up)」とのリミックスで、「プラスティック・ラブ」のインストに彼の歌を掛け合わせたものだ(再生回数は約45万回)。
ちなみに逆バージョンもあるが、サムネイル画像が恐ろしいものになっている……(再生回数は約8万回)。
また「Reddit」や「4chan」といったインターネットサイトでは、「プラスティック・ラブ」関連のチャットも盛んに行われている。
最近では、竹内まりやが米国に留学していた際のイヤーブック(卒業アルバムのようなもの)を発見した人が「地元に近い学校に通っていたなんて!」と感動して投稿し、その写真が話題になっていた。
こうした人気を受けてか、ワーナーミュージック・ジャパンは35年ぶりに「プラスティック・ラブ」のプロモーションビデオを作成し、ユーチューブにアップ。だが、ショートバージョンに留めるという出し惜しみっぷりに、欧米のファンからは次のような皮肉たっぷりのコメントが相次いでいる。
「私たち:なぜフルバージョンにしないんだ! ワーナーミュージック・ジャパン:ただのゲーム、楽しめばそれでいいの」
「1984年、曲リリース。2019年、ショートビデオリリース。2054年、ロングビデオリリース」
世界の人々がオンラインの世界で多くの時間を過ごすようになればなるほど、「プラスティック・ラブ」のように言語の壁を越えて広まるJ-POPが、今後もまた出てくるかもしれない。