y.sくんGT86 出向前のフルスイング。 | サスペンションマイスター「うえしまクリニック」

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みんカラから弾かれたのでこちらに引っ越しました。

サスペンションを触り続けて、いつの間にやらマイスターに。

コンプリートセットアップしてこそクルマは変わります。
それを伝えたくて趣味活動です。


テーマ:

今年5月にスーパーノーマル仕様にした愛知のy.sくん。


それからもガンガン走り込み、色々なコースで自己ベストを更新していた。

嬉しいね。そうやって楽しんでくれるのは。

その後12月初旬に、改めて相談があった。


車高調を組んでさらに上のタイムを目指したい。

うんまぁ判るね。

でも、そこからが結構大変なのよね。

例えば車高調。


ZN6って、そこそこ使えそうな寸法のヤツだとそれなりの値段するのよね。(リンクは一例。別にコレがオススメでは無い)

いくらクリニック脚だとしても、寸法まで変える訳じゃないから優れた寸法のモノを改修して、よりちゃんとした脚にしてあげたい。


当然脚を入れればシャコタンにする訳で、となるとホイールもイケてる奴にしたいよね。


そしてホイール拡げたならタイヤもイケてるのが良いよね。

こうなってくるとマフラーとかも替えたくなるわなぁ。


まぁそりゃ中古パーツとかで揃えればもっと安価にまとまるとは思うんだけど、とりあえずコレで一式な感じだよね。

他にECUやらフラホやらも言い出したらキリが無いわ。

結局ね、手を入れ始めると一通りまではやらなくちゃならない。

「過程を愉しむ」って選択肢はあるけども、遅かれ早かれ同じとこまでは行ってしまうのがクルマ好きの性なので、皆ココまで行くだろう。

「やるのは良いけどお金掛かるよー。一つやり始めたらやり遂げなきゃ勿体無いしね。」


うん。それも当然アリなのよね。

【純正脚をしゃぶり尽くす】ってアイデア。

「純正脚純正ホイール縛り」って自分なりのカテゴリーをキメて、その中で上達を目指す。

アレコレ弄った同車種の人よりもタイムは出ないかもしれないけど、「ドライビングを鍛錬する」ならこの方向はコスパ高くて良い感じだよね。

タイヤとボルトとセッティング。

後は自分の腕前の鍛錬でドコまでイケるのか。

そーゆー楽しみ方もある。

どっちを選択するかは当然趣味だからキミの自由だし、どっちに向かってもお手伝いするよオレは。



「純正脚で出来る限りして頑張る」

y.sくんは決断した。よーし、準備出来たら持っといでー。


おー、本当にA052買ったんだね良いタイヤだよコレ。ちょっと高いけどね。

「いやぁ実は、来年の夏から1年間、仕事で中国に行かねばならなくなりまして、そうなると車高調組んでも半端なままになる事が決定したんですよね。
 となると半端なままブランクを迎えるよりも、現状出来る限りの仕様でアタックして、出向が済んだら改めてどうするか考えた方が良いと思いました。
 なのでコチラの方向で、目標は【純正脚でALTバッジを獲る】というのにしました。」

なるほどー。

うん、良いねその考え。

となるとアレだね。今回うえしまに課せられたミッションは、【キミがALTバッジを獲れる仕様にする事】か。

うひょー。コイツは責任重大だのぅ。

まぁ、やれるだけの事はするヨ。


とりあえず試運転させて貰って、様子を見る。

うん。以前は純正タイヤのミシュランプライマシーHPに合わせた仕様だったから、A052でそのままのセッティングだとちょっとトンガっちゃうね。
タイヤの性格もピーク性能も段違いだから、それ向けに合わせ直さないとだ。

フロントにキャンバーボルト入れたから、そっちはメロメロになってるしね。


でも、純正サスのZN6だと、触れるのは【前後のトー調整】のみ。

A052の性能に合わせて、

キャンバー変更したり、
バネ強くしたり、
減衰強くしたり、
車高の前後バランス変えたり。

出来たらラク出来るんだけど、そうも行かない。

だからと言って諦めたりはしないぜや。

限られたレギュレーションの中で最良を目指すヨ。ちょっと時間掛かるかもだけど覚悟してね。


いやー、なかなか大変だわ。

なるべくタイヤを活かせるようにと大きめに変更すれば、電子制御が介入してくる。

動きは良いのに制御が入るから、折り合い付ける為にジワジワとネチネチと煮詰めないといけない。

グリップが高い代わりに抵抗の大きくなったタイヤをなるべく綺麗に転がしたいんだけど、そこが難しい。

それまでのセッティングでも結構やったので、今度はさらにそれを上書き出来なきゃいけない。

何度も何度も調整を繰り返して、ひたすらそのピークを探る。


熱闘5時間。ようやくどうにかまとまった。

年末の風は冷たいのに、もう汗だくだ。

y.sくんにようやくハンドルを返した。

「うわぁ。なんかアレです。ハンドル軽くて動きは以前とまったく変わらず安心安定ですね。
 実はタイヤ替えてキャンバーボルト入れた時にハンドル重くなってクルマの動きもちょっと神経質になったと感じたんですが、ハイグリップタイヤだから仕方ないんだと思ってました。
 でもそれって勘違いだったんですね。以前と全く変わらず、あの時の感動そのままの印象です。」


うん。良かった。

そりゃ勿論グリップの高いタイヤを履けば、コーナリング限界は上がるし燃費は落ちるんだけど、
だからって操縦性が怖い方向に進んだならそれは補正しなくちゃいけないんだよね。

履いたタイヤに合わせてマッチングさせないと勿体無いんだ。

せっかく食い付く代わりに短命なタイヤを履いたなら、自由自在な操縦性も無ければタイヤの性能の上乗せ分を使えないでしょ。

具体的にやった事といえば、タイヤが高速対応になったんだから、アライメントもそちらに向けて微調整した。

スプリングレートも減衰もタイヤに対して足りないので、動きの過渡特性がなるべく唐突にならないように細やかに調整した。

そうするとこうなる訳なんだ。


y.sくんは大喜び。


さぁコレで、2019年のクリニックのお手伝いは最後。

来年のバッジ獲れるとイイね!




帰宅した彼からこんなメッセージが。

そして、




どうやら帰ってからの道のりで、さらに深く気付いたみたい。

良かった良かった。

さ、今日は大晦日。

明日から2020年の始まり。

どんな年になるのか判らないけど、これまで通り皆のお節介しながら自然体でやって行こうと思う うえしまである。

皆さんも良いお年を!!!