北條カズマレ

受け手はネットでどんどんせっかちになっている。キャラが踊りだすまでは絶対に興味が持たない。ストーリーでも間に合わない。世界観が開かれるのを待つこともない。しかし、シチュエーションならどうだろうか。一瞬で未来の刺激を想像させることができたなら…「面白い」ではなく、「面白そう」なら…

シチュエーションがゼロというのは膝を打った。ゼロはゼロであってイチではない、ゼロのままの創作。魔女集会は数万回創作されてもイチ、つまり、キャラが生き生きと踊る首尾一貫性のあるストーリーのエンディングには到達しなかった。魔女集会で十万字書いてみようとして挫折したのを思い出す。

シチュエーションは最も即効性の高い刺激であり、ドラマ以前の段階で感動を惹起する。キャラクターなんか、シチュエーションに比べればあくびが出るくらいに遅い。画像一二枚、百字二百字以内でそれをやってのける能力はストーリーにもキャラにもない。魔女集会がいい例だった。

100日後にバルバロッサされるスターリン

100日後に人民解放軍がなだれ込んでくる朝鮮戦争の時の米軍 「クリスマスまでには帰れる」

自分とは、より大きな全体の一部でありながら一部であることの否認と全体への同一化を同時に希求する矛盾した存在らしい。いや、なんか違うな。

引用させていただきます。結局はこういうことなのです。https://twitter.com/arapanman/status/963695738394886144…

『三月のライオン』も、『少女ファイト』も、結局はそこに行き着く。人生の一場面に過ぎないものに全てを捧げる姿勢を描きながら、その周りに咲き誇る豊かさを丁寧に描き込み続け、「そこに目を背けるな」と訴え続ける矛盾かつ、競技の本末転倒性と至上性の無矛盾な両立こそこの種の作品の醍醐味では。

強さを目指すためにそれ以外の一切を捨ててしまう人生が、本当に褒め称えられるべきことなのだろうか。人間がAIに負ける時代、根本的な問いが投げかけられている。競技とは、それに直向きに打ち込む中での人格的陶冶こそが大切で、人間性まで焼べてしまうほどの火ではないのではないか。

しかしその後の練が獲得した人格的包容力に心を打たれ、彼女の変化を受け入れた。林田先生は、桐山零が「弱さ」と見做してしまいそうになる「競技以外の人生」を絶対に手放すな、と言った。競技は人生を捧げるに値するなにがしかであると共に、たかがゲームでもある。

向こう見ずで無鉄砲でがむしゃらでひたむきで傲慢で放射的で死に物狂いだった心は、世界の大きさと自分の小ささを比べて冷静に「これくらい」と測れてしまう落ち着きへと変化した。これは成長なのか？　『少女ファイト』の隆子は、練から熱さが失われたことを嘆き、涙を流した。

『三月のライオン』十五巻。かつての獣のような熱情は若き日の思い出のように遠くなってしまったが、今は純粋に競技者として悩むことができ、その悩みを言語化してくれる人もいる。『少女ファイト』の練もまたこのルートだった。『銃夢』のガリィも熱情から深き淵のような心への変化に言及していた。

三月のライオン最新刊読了。またすごいものを読んでしまった。

簡易プロットもできた、ラストシーンも浮かんだ。冒頭は用意している。……これはもう完成なのでは？w

元旦だっていうのに文学系作品のプロット組んでる。それなりに良いものが思いつけた。あとはブラッシュアップ。

あけおめ