最終更新:2015/11/19

トレミーの定理とその証明,応用例

分野: 平面図形  レベル: 最難関大学

トレミーの定理:円に内接する四角形 ABCD において, AB×CDAD×BCAC×BD

トレミーの定理

非常に美しい定理で応用も広いです。
大学入試問題では,検算に用いる場合が多いです。

本記事ではトレミーの定理の2通りの証明と,トレミーの定理の応用例を3つ紹介します。まずは応用例から!

トレミーの定理の応用1〜ピタゴラスの定理の証明~

トレミーの定理の応用1

ピタゴラスの定理の証明方法は100以上あるらしい、、そのうちの一つです。
トレミーの定理を長方形に適用すると,
a2+b2=c2
つまり,ピタゴラスの定理そのものです。

追記:読者の方から「トレミーの証明にはピタゴラスが必要だから循環論法だ」という鋭いご指摘を受けましたが,三角形の相似のみを用いて(ピタゴラスの定理を用いずに)トレミーの定理を証明することができるので循環論法にはなっていません。

トレミーの定理の応用2〜正五角形~

トレミーの定理の応用2

正五角形の対角線の長さ
1辺が1の正五角形の対角線の長さを x とおくと,トレミーの定理から,
1+x=x2x=1+52
となり,有名な黄金比が登場します。

トレミーの定理の応用3〜正三角形の場合~

トレミーの定理の応用3

三角形 ABC が正三角形の場合にトレミーの定理を用いると,
AD+CD=BD
というわりと有名な美しい関係式が得られます。

ここまでが応用,ここからは証明です!

対角線の長さを求める素直なトレミーの定理の証明

方針:余弦定理を用いて対角線の長さを四角形の4辺の長さで表す方法です。機械的な計算で証明できます。

トレミーの定理の証明

証明

AB=a,BC=b,CD=c,DA=d,AC=e,BD=f,ABC=θ(ADC=πθ)
とおく。
余弦定理より,
a2+b2e22ab=cosθ=cos(πθ)=c2+d2e22cd
この等式を e について解き以下を得る:
e2=(ac+bd)(ad+bc)ab+cd
全く同様にして f も以下のように表せる:
f2=(ac+bd)(ab+cd)ad+bc
以上2式を辺々掛け合わせて平方根を取ると,
ef=ac+bd

正弦定理を用いたトレミーの定理の証明

方針:正弦定理を用いて両辺を角度の情報に変換します。そこから積和公式を用いてゴリゴリ計算します。

トレミーの定理の証明2

証明

図のように θ1 ,,θ4 を定める。正弦定理より,
ac+bd=(2Rsinθ1)(2Rsinθ3)+(2Rsinθ2)(2Rsinθ4)

一方三角関数の積和公式より,
2sinθ1sinθ3=cos(θ1θ3)cos(θ1+θ3)2sinθ2sinθ4=cos(θ2θ4)cos(θ2+θ4)
また, θ1+θ3+θ2+θ4=π より,
cos(θ1+θ3)+cos(θ2+θ4)=0
以上から, ac+bd=2R2{cos(θ1θ3)+cos(θ2θ4)}

同様に正弦定理と積和公式から,,
ef=4R2sin(θ1+θ2)sin(θ2+θ3)=2R2{cos(θ1θ3)cos(θ1+2θ2+θ3)}=2R2{cos(θ1θ3)cos(π+θ2θ4)}=2R2{cos(θ1θ3)+cos(θ2θ4)}
となり,ac+bd=ef が示された。

他にも初等幾何を用いる方法や複素数を用いる方法もあります。(詳しくはwikipedia参照

プトレマイオスの定理とも言うみたいです。