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移民大国・日本で「となりの外国人」とどう関わっていくべきか

“受け入れ元年”を振り返る

想定していた人数の3%未満という現実

2019年4月、改正入管法が施行されて、日本は“移民受け入れ国”として舵を切った。

個人的な実感としても町で働く外国人は増えたし、実際に外国人の友人や知人も増えたが、労働力として外国人を受け入れる現場レベルでは何がどう変わったのだろうか。

 

いま、日本では多くの「留学生」や「技能実習生」が労働力として働いている。

本来的には彼らは労働者ではないはずだが、彼ら抜きにはもう日本の経済が成り立たないという“ねじれた実情”があるのは、すでに広く知られた事実だろう。

そこで政府は改正入管法で「特定技能」という新しい在留資格を設けて、5年間で約34万5000人の受け入れを見込んだ。初年度には、最大で4万人近くの外国人が日本で働きはじめるはずだったが……フタを開けてみれば、11月末時点の集計がわずか1019人だったという。

想定していた人数の3%未満とは、いったいどういうことなのだろう。

外国人人材サービスを展開する株式会社ダイブの菅沼基さんにお話を聞いた。

「『特定技能』の人数が増えない大きな理由のひとつには、一番の送り出し国になるだろうと期待していたベトナムがまだ動いていないからだと考えられます」

「特定技能」はそれぞれの業種ごとに試験が行われる。たとえば、ミャンマーではすでに「宿泊」や「ビルクリーニング」の試験が実施されているが、ベトナムでは現地の対応が遅れているのだという。

「過去に技能実習生として働いて『また日本で働きたい』という人など、潜在的な希望者は多いのですが、ベトナムでは送り出し機関に払う手数料も決まっておらず、話がなかなか進んでいないというのが実情です」

また、外国人を雇う側である日本の企業が「特定技能」を毛嫌いする傾向もあるようだ。

「『特定技能』では、外国人と直接契約を結ぶ企業さんに対して、『報酬額は日本人と同等かそれ以上である』ことを求め、さらに日本語習得や各種の情報提供など支援、住宅の確保に向けた支援などに取り組まなければならないという規定があります。法務省に登録された支援機関に外部委託することもできますが、企業はそのぶんの“支援費”を払います」

つまり、「特定技能」で外国人を雇うと日本人より面倒で、時にコストも高くつくということなのだ。

それを裏づけるように、より安く雇える技能実習生の数は増え続け、2019年中には過去最高の40万人に達する勢いだ。同時に、出入国在留管理庁の調べでは、上半期だけで4499人の技能実習生が失踪している。やはり過去最高のペースである。

“ねじれ”は解消されないまま進んでいるように見える。