令和の日本に異変「住みたい街」が大きく変わる

厳選!2020年版ゆく街・くる街

いくつか、選ばれる要因がある。1つは住宅、住環境そのものの魅力だ。都内では100㎡以下の一戸建ても少なくないが、飯能住まいでの最低敷地面積は300㎡(90坪)以上。建ぺい率、容積率は30%以下、50%以下と厳しく、建てられるのは地上2階、地下1階までだが、それでも5人、6人家族には十分な広さの家が建ち、駐車場2台分をとっても、余裕で庭が作れる。隣家との間隔も広く、家庭菜園、バーベキューは思いのままだ。

立地からかキャンプなどアウトドア好きのファミリーも多く移住している。地元の材を使ったログハウスを建てる人もおり、最近、移住者間で人気なのは薪ストーブとか。都市では煙が敬遠されそうだが、飯能なら大丈夫(写真提供:飯能住まい)

価格は3000万円ほど。飯能市市内の市街化が進んだ地域ので土地面積120~150㎡の一戸建てとほぼ変わらないが、広さ、環境では「飯能住まい」に分がある。さらに市外からの転入、地元の西川材を使って市内事業者で建設するなど一定条件を満たせば最大285万円の補助もある。

それなのに都心通勤が可能だ。池袋駅までは特急利用で約40分。急行だと約50分で、さらに渋谷までは10分強。始発、終着駅で座って通勤できる点もうれしい。これなら通えるわけで、実際、移住した人たちは全員転職せず、従前の勤務先に通勤しているという。

地元の人たちも温かい

地元の人たちの移住者をヨソ者扱いしない姿勢も大きい。もともと南高麗地区は飯能市内でも将来の大幅な人口減少が懸念されており、地域もそれを実感していた。そこに行政からこの施策の相談があり、何度も地元で意見交換が行われたという。その結果、地元の人たちが見学に来る人達に声をかけ、縁側でお茶や柿を振る舞う光景もしばしば。こんな場所なら安心して住める、移住に不安を持っている人もそう思うはずだ。

最初の相談から現地案内その他を市役所の担当者が不動産会社任せにせず、土日もいとわず取り組んでいる点もポイント。半日かけて現地、街を案内しているそうで、地元の人に加え、市役所の人たちの熱さもまた、街の魅力なのだろう。子育て支援その他移住者が懸念しそうな点への配慮も行き届いている。当初の目標期間まで残り1年という制度だが、以降も継続が予定されており、まだチャンスはある。

埼玉県和光市~駅ビル誕生ににぎわいアップの計画も多数

東武東上線、東京メトロ有楽町線、同副都心線の3路線が乗り入れる和光市駅だが、多くの人が存在を認識するようになったのは2013年の東京メトロ副都心線、東急東横線の相互直通運転以降だろう。始発、終着があることから行き先として和光市が表示されることが多く、ここで初めて和光市を知ったという人も少なくないのではなかろうか。

足回りの利便性から以降、穴場、狙い目と評されるようになってきており、実際、街も動き始めている。2019年12月には東武ホテル、店舗からなる和光市南口駅ビルが一部開業。2020年3月には全面オープンの予定だ。だが、街の変化はこれにとどまらない。

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  • 国府津の森&公津の杜f112341bd67a
    神奈川県西部の小田原(西湘・県西)エリアは人口減少・高齢化エリアなので、これからは首都圏の人が住むためのエリアとして注目されるようになって、新住民、特に若い住民を増やして活性化してほしい。
    東海道線の国府津駅は始発電車も多く、この駅以遠から利用者も多くないため、平日朝6~7時台に発車する電車(東京駅に7~8時台に到着)は15両編成ならば始発電車でなくてもほぼ確実に座れる(10両編成だと座れないことがあるが、その次の電車なら座れる)。
    現在国府津~東京77.7kmは普通電車で通常時約75分、朝上り約85分、快速(朝上り無)で約65分かかる。
    これを普通電車65分以内、快速55分以内に短縮してほしい(新快速は姫路~大阪87.9kmを通常62分、朝上り約70分)。
    浜松町~浜川崎~鶴見~羽沢~藤沢~小田原の東海道貨物線を旅客線化して輸送力増強し、東海道方面の混雑緩和と速度向上をしてほしい。
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    2020/1/1 07:35
  • chuji69c6904d8d4d
    ネット社会の到来で、あらゆる面で変化するから、住居も同じだろう。仕事に支障が無ければ、自然環境や災害面で条件の良い場所が良いと思うが、それだけでは不十分で、矢張り、食事や諸文化の面で、ある程度のレベルが必要だと思う。記事では、都内かその周辺を挙げているが、もっと視野を広げ、地方都市で、その条件を満たす場所を探すべきだろう。例えば、新幹線開通で、東京と2時間半で結ばれる金沢市等は、街の景観はもとより、衣食住や工芸、文化、芸能の点では極めてハイレベルであり、教育、医療も高水準だから、住むのには最も良いのではないだろうか。
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    2020/1/1 10:46
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2020大予測<br>編集部から(3)

主要業界とともに、わが出版業界のあり方も変わります。これまではコンテンツの「届け方」の革新により、ネット化(=スマホ化)が進みましたが、2020年代は改めて「肝心の中身」が問われる時代になると思います。読者の皆様の評価を意識して、挑戦を続けます。(山田俊)