石段街以外廃墟だらけでもうズタボロ!かつての歓楽温泉街「伊香保温泉」の風情はどこへ

2014年5月、今年のゴールデンウィーク期間は曜日配列が悪いせいで一般市民の方々はあまり遠出をせずに割と近場で旅行を済ませたりしておられたらしいですが我々取材班も東京から車で2時間で来られる群馬県渋川市の伊香保温泉を訪れていた。

「石段街」とそれ以外で明暗が分かれる温泉街の現状

渋川市 伊香保温泉

伊香保温泉にやってきたのは実に5年ぶりになる。伊香保と聞けば少し昔の人ならばアレな歓楽温泉街として認識されているかも知れない。つい最近までその傾向は続いていたしネット上で伊香保の地名とアレなキーワードで検索すれば人身売買だとか書かれた香ばしい記事があれこれ出てくる。しかしゴールデンウィーク中の伊香保の石段街に限ってはリア充観光客が闊歩する健全な観光地以上の印象が何も浮かばない。

渋川市 伊香保温泉

前回訪問時は観光客気分が抜け切れずに中途半端なレポートを書いただけに終わったので今度こそはしっかり伊香保の深い所まで見ていこうと意気込んで観光客だらけの石段街を登り始めた。近くの富岡製糸場が世界遺産登録見通しが立ち、尚更伊香保も観光整備が進むに違いない。そうなると石段街の裏に今も潜む過去の盛り場の残骸や歓楽地としての歴史の闇もろとも封じ込められかねない。

渋川市 伊香保温泉

そうそう…こうした場末感強い土着の小さなスナックがですね…でも5年前に来た時よりも明らかに開いている店が少ないのである。もはや「るんるん」はしゃいですら居られない状態になってしまったのか。

渋川市 伊香保温泉

伊香保において「石段街」は完全に観光地の風情であるが、そこから一歩外れるともう一気に場末。このような乙な佇まいのスナックの建物が放置プレイをかまされているのがデフォルトとなる。手すりが斜めに付いている辺りがカフェー建築っぽくってイイネ!

渋川市 伊香保温泉

以前泊まった石段街を少し外れた路地の奥にあった「有明館」もオンボロな佇まいが乙で岩風呂付きの素敵でリーズナブルなお宿だったのだが再訪時には廃業を確認。建物は空き家と化していた。たったの5年で栄枯盛衰激しすぎます。勝ち組ホテルと負け組ボロ旅館の差が激しい訳です。

渋川市 伊香保温泉

メインストリートである石段街から目につく範囲ですらかなりの数の旅館が廃業してガラーンとしているのが確認できる。廃墟好きにはテンションが上がるだろうが当事者は泣きを見ているに違いない。

渋川市 伊香保温泉

全国的にそうだが、近頃の温泉街は資本力のある大型ホテルがお客のシェアを根こそぎ奪って客を囲い込んでしまうものだから、観光客もホテルから全く外に出ず、結果温泉街も寂れるし古い個人商店やスナックなど街にお金を落とさなくなっている。伊香保は石段街沿いの土産物屋や湯の花饅頭屋はまあ安泰なのだがそれ以外が酷いので、対比して見ていただきたく思う。

渋川市 伊香保温泉

情緒豊かなオールドジャパニーズスタイルの宿も伊香保にはしこたまあるのだが、ことごとく廃業している現状からするとさらにあと5年、10年後には全く風情が変わってしまう可能性も考えられる。場末でボロ好きの当取材班にとっては悲しい傾向だ。

渋川市 伊香保温泉

伊香保神社の先にもでかいホテルの廃墟が二つ続けて並んでいたのだがそのうち一つは解体されてしまっていた。奥の「邦来館」はまだ残ってますが5年前の訪問時よりもさらに崩落が進んでます。

渋川市 伊香保温泉

屋根や壁が崩落した後に補修したと思われる割と真新しめのブルートタン板の継ぎ接ぎ部分が目につく。健気な経営努力の痕跡を残す「邦来館」の廃屋が涙を誘う。いくらトタンで補修しても大型ホテルにはかなわない…

渋川市 伊香保温泉

で、石段街を闊歩しまくるリア充観光客はどこで泊まっているのかというと例えばこのような「横手館」といった一流の綺麗どころだったり、はたまた大江戸温泉系列の資本力の強さで客をごっそり囲える大型ホテルだったりする訳だ。

渋川市 伊香保温泉

当然ながら我々はこの伊香保温泉に単なる観光をしにきた訳ではなく、石段街を外れた怪しげなスナック街やアレな店がどのような状態になっているか現状確認に来たクチですので、石段街はリア充観光客に任せて場末の路地裏に身を潜めてみたいと思います。

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新日本DEEP案内およびDEEP案内シリーズ管理人兼編集長。2007年「大阪DEEP案内」開設、2008年「東京DEEP案内」開設、2009年「日本DEEP案内」開設、2010年「世界DEEP案内」開設、2013年「新日本DEEP案内」開設。2017年6月15日に単行本「『東京DEEP案内』が選ぶ 首都圏住みたくない街」(駒草出版)を全国発売。首都圏を中心に飛ぶような売り上げを記録し増刷決定。
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