Bonjour ! HIKARUです!
今回は「ハリーポッター」シリーズにまつわるフランス語を紹介します!
はじめに
小説から始まり、映画の公開、そして今やテーマパークが作られるほど、世界的な人気を誇る「ハリーポッター」シリーズ。
「小説読んだことない!」
「映画全部見てない!」
という人でも、登場人物の名前をいくつかは知っているのではないでしょうか?
しかしながらこの「名前」、
フランス語版では「名前が全然違う!」というキャラクターがたくさんいるんです…
今回はそんな「フランス語版で名前が変わってしまったハリーポッターのキャラクターたち」を紹介したいと思います!
それでは!どうぞ!!
ホグワーツ
- 英語名: Hogwarts
- 仏語名: Poudlard
- 発音カナ: プドラー
- 発音記号: [pud-laːʁ]
シリーズの舞台であり、ハリーが通う学校、ホグワーツ魔法魔術学校です。
フランス語名を見てみると…
「ホグワーツ」ではなく「プドラー」
全然違う……!!!
英語名もまとめて詳しく調べてみると…
英語名
“Hog” (ブタ) + “Wart” (イボ/デキモノ)
フランス語
“Pou” (シラミ) + “lard” (ベーコン/ラード)
という意味があるそうな。
名前の由来はわかりましたが、
なぜ「ブタのイボ」が「ベーコンのシラミ」に変わってしまったのかはわかりませんでした…
魔法使いらしく “気味が悪い物” をイメージした、ということでしょうか…?
とはいえ、なぜ英語名をそのまま使わなかったんでしょうかね…
ホグワーツ城の秘密
マグル(非魔法族)がホグワーツ城の敷地内に入ると「立入禁止」の看板が出現。それと同時に突然急用を思い出し、帰りたくなってしまうそうな。
城周辺でマグルの電子機器は全て機能しなくなってしまいます。
敷地内では姿現し/姿くらまし(瞬間移動する魔法)が使えません。映画版ではダンブルドアのみ使用可能になっていますが、小説版ではダンブルドアもホウキを使っています。
ハーマイオニー・グレンジャー
- 英語名: Hermione Granger
- 仏語名: Hermione Granger
- 発音カナ: エルミオンヌ・グランジャー
- 発音記号: [ɛʁ-mjɔn-ɡʁɑ̃n-ʒœːʁ]
ハリーポッターの親友、ハーマイオニー。その美貌にメロメロになった人も多いのでは?
実はこの名前、英語のつづりだけを見て「ハーマイオニー」と読み当てるのは難しいんです。普通に読むと「へーミオン」となってしまいます…(英語圏の人でも間違えていたらしい…)
翻訳者の松岡佑子さんは筆者のJ.K.ローリングに直接確認し、「ハーマイオニー」というカタカナを当てはめたそうです。
そしてそう、フランス語も……
同じアルファベット表記をフランス語読みすると
「エルミオンヌ」になります。
全然ハーマイオニーじゃない…!
さらに特徴的なのは、フランス語の “R” の発音。仏語の “R” は英語のそれと違い、うがいをするときみたいなガラガラ音を用います。
そのため、よりフランス語風に発音すると
「ヘガミオンヌ・グガンジャー」となります…
なんかもう…、怪獣の名前みたいですね。可愛くありません…
ハーマイオニーは可愛くない!?
映画ではエマ・ワトソンが演じ、まさに「絶世の美女」だったハーマイオニー。しかしながら小説の設定では、くしゃくしゃの縮れ毛に出っ歯な女の子。さらに本の虫でお洒落に興味の無い女の子でした。しかしながらその後容姿をバカにされ、悔しさのあまり魔法で歯を小さくし、ストレートパーマをかけて、ハリーとロンを仰天させるほどの美人に生まれ変わりました。
セブルス・スネイプ
- 英語名: Severus Snape
- 仏語名: Severus Rogue
- 発音カナ: セブルス・ロッグ
- 発音記号: [sev-ʁəs-ʁɔg]
シリーズにおけるキーパーソン、そして本当はハリーの最大の支援者であったセブルス•スネイプ。
彼の名前はラテン語で「厳格、融通の効かない」などを意味する “sĕvērus” が由来。
Snape の部分はイギリスに実在する村の名前から取ったとされています、が…
フランス語ではSnapeではなくRogue。
Rogueはフランス語で「傲慢、横柄」を意味するため、キャラクター的には当てはまりますが…
スネイプ教授ではなくロック教授。
如何せん、発音が全く違うため、フランス人と同作について話すときは注意が必要です。
私はこれで何度も話を見失いました…
アラン•リックマンの演技
物語の最後でスネイプの本当の姿を知った際、誰もが仰天したことでしょう。
しかしながらスネイプを演じたアラン•リックマンは映画第1作目の時点でその結末をJ.K.ローリングから聞かされていたそうです。
この事実は監督すらも知らない超極秘情報だったとか。
ヴォルデモート
- 英語名: Tom Marvolo Riddle
- 仏語名: Tom Elvis Jedusor
- 発音カナ: トム・エルビス・ジュドゾー
- 発音記号: [tɔm-el-vis-ʒdy-zɔːʁ ]
本シリーズ最大の敵、ヴォルデモート。鼻の無い、まさに蛇のような顔。強烈ですね。
今回は彼の本名に関する話題。
少し複雑です。
ヴォルデモートの本名は
「トム・マールヴォロ・リドル」
“Tom Marvolo Riddle ” というもの。
この名前を嫌った本人は、本名のアルファベットを並び替えて新しい名前を考案します。
“Tom Marvolo Riddle”
⇩並び替えて…
“I am Lord Voldemort.”
(私はヴォルデモート卿だ)
ちなみにこの並び替え技法を「アナグラム」と呼びます。
一方でフランス語はこの逆をたどります。
「私はヴォルデモートだ」
« Je suis Voldemort. »
⇩並び替えて
« Tom Elvis Jedusor »
(トム・エルビス・ジュドゾー)
というわけです。
ヴォルデモートの本名を変更するのはフランス語に限ったことではありません。ほぼすべての言語で同じことが行われ、それぞれの国でそれぞれの「本名」が作られています。
(日本は字幕とともに英語表記をそのまま使ったため、英語と同じ名前が使われています。)
一番強い魔法使いは誰?
最強の魔法使いは圧倒的にヴォルデモートでしょう。ダンブルドアはニワトコの杖を持っていたため、かろうじてヴォルデモートを抑え込むことができましたが、それでもほぼ互角でした。(魔法省神秘部の戦い)
ダンブルドア自身もヴォルデモートの強大さに驚いている描写があります。
ハリーがヴォルデモートに勝てたのはただのラッキーです。ハリーの方が強いわけではありません。
デスイーター 死喰人
- 英語名: Death Eaters
- 仏語名: Mangemorts
- 発音カナ: モンジュモール
- 発音記号: [mɑ̃ʒ-mɔːʁ]
ヴォルデモートの手下たち、デスイーター。
英語では
“Death”(死) + “Eater”(食べる者)
仏語では
“Mange”(食べる) + “Mort”(死)
綺麗に翻訳されていますね。
日本語では「デスイーター」の翻訳とともに「死喰い人」が当てられています。「食」ではなく「喰」の漢字を使うあたり、うまいですよね。
ディメンター 吸魂鬼
- 英語名: Dementor
- 仏語名: Détraqueur
- 発音カナ: デトラケー
- 発音記号: [de-tʁa-kœːʁ]
「アズカバンの囚人」で登場し、読者/視聴者に強烈なインパクトを与えたキャラクター。作者J.K.ローリングが自身の鬱病の経験から着想を得たそうです。
ディメンターが接近するだけで人々の幸福感は失われ、キスされると魂を抜き取られてしまうという恐ろしいキャラクター。
英語では
de(否定の意)+mental(精神)=dementor
フランス語では
détraquer(心身を不調にする)という動詞を名詞化し、détraqueur
呼び名は一変してしまいましたが、キャラクターの特徴を的確にとらえた翻訳ですね。
ちなみに日本語では「ディメンター」というカタカナ表記とは別に「吸魂鬼」という翻訳が。これは明らかに「吸血鬼」と「魂を抜き取る」を掛け合わせた形ですね。私はこの翻訳、ぴったりだと思います!
パトローナスの動物たち
作中に登場する、ディメンターを追い払う方法「パトローナス」を覚えていますか?映画ではハリーの牡鹿、セブルスの牝鹿が印象的でしたね。実はそれ以外にもカワウソやキツネ、イノシシ、イタチ、狼など、様々なバリエーションがあるんです!え?誰のパトローナスかって?詳しくは小説をお読みください!
グリフィンドール
- 英語名: Gryffindor
- 仏語名: Gryffondor
- 発音カナ: グリフォンドール
- 発音記号: [gʁy-fɔ̃-dɔːʁ]
ハリー、ハーマイオニー、ロンたちの所属する寮。この談話室でたくさんの出来事が起きましたね。
この「グリフィンドール」に至っては、英語と仏語に大きな違いはありません。
ただ、このあとに紹介する他3つの寮名が恐ろしく違うので、まとめて紹介しました。
グリフィンドールの談話室
談話室の中は男子部屋と女子部屋が別れています。男子が女子の部屋に行こうとすると…
女子部屋への階段が突如「すべり台」と化し、男子たちは押し戻されてしまいます。
スリザリン
- 英語名: Slytherin
- 仏語名: Serpentard
- 発音カナ: セルパンタール
- 発音記号: [sɛʁ-pɑ̃-taːʁ]
ヴォルデモートなど多くの闇の魔法使いを輩出してきた寮、スリザリン。
フランス語名は
Serpentard (セルパンタール)
全然違います…
この由来は、
フランス語で「ヘビ」を意味する単語 “Serpent”(セルパン)から。
確かにスリザリンはヘビと深い関わりがありますが、わざわざ変える必要あったのかなぁ…
スリザリンの談話室
地下牢を抜けた先、ホグワーツ湖の地下にある談話室。窓からは湖の魔法生物(巨大イカやマーピープル)を見ることができ、その水の静けさが落ち着いた雰囲気を醸し出している。
レイブンクロー
- 英語名: Ravenclaw
- 仏語名: Serdaigle
- 発音カナ: セルデーグル
- 発音記号: [sɛʁ-dɛːgl]
変わり者の生徒が多いと言われる寮、レイブンクロー。
「不思議ちゃん」として知られるルーナ•ラブグッドもこの寮生です。
これまた、フランス語名が全然違いますね。
英語名は
“Raven”(ワタリガラス) + “Claw”(鉤爪)
仏語名は
“Serre”(鉤爪) + “Aigle”(ワシ/鷲)
英語をフランス語にそのまま訳したようですね。
でもこれも、変える必要あったのかなぁ…
レイブンクロー出身の魔女、ルーナ•ラブグッド。実は彼女、ホグワーツを卒業後、”とある” 有名な魔法使いの孫と結婚するんです!
その魔法使いとは「ファンタスティックビースト」シリーズの主人公、ニュート•スキャマンダー!
彼についてはこの後詳しくお話しましょう…
ハッフルパフ
- 英語名: Hufflepuff
- 仏語名: Poufsouffle
- 発音カナ: プフスッフル
- 発音記号: [puf-sufl]
「落ちこぼれが集まる寮」と揶揄されてしまうハッフルパフ。「アズカバンの囚人」で殺されたセドリック•ディゴリーはこの寮の出身です。
これまた、フランス語名は独特です。
“Pouf”(ため息の音) + “Souffler”(息を吹く)
なぜこのような翻訳になったのかはわかりませんでしたが、「落ちこぼれの寮」という点が反映されている気がします…
決してそんなことはないんですがね。
ハッフルパフ出身でも、力のある魔法使い/魔女はたくさんいますよ!
ハッフルパフの寮監、ポモーナ•スプラウト先生。彼女が担当したマンドレイク(大声で泣き叫ぶ根っこ)についての薬草学の授業を覚えている方も多いのでは?
彼女の退職後、その降任を引き受けたのは、あのネビル•ロングボトム。魔法の才能が薄いネビルでしたが、薬草学だけは飛び抜けていたのです。
組み分け帽子
- 英語名: Sorting hat
- 仏語名: Choixpeau
- 発音カナ: ショワポー
- 発音記号: [ʃwa-po]
ホグワーツに入学した1年生たちを前述の4つの寮に振り分ける帽子、組分け帽子です。
実はこの仏語名、とても面白いんです。
フランス語で
「選択」は “Choix”(ショワ)
「帽子」は “Chapeau”(シャポー)
これらを組み合わせた造語が
“Choixpeau”(ショワポー)
ショワ + シャポー = ショワポー
うまくないですか!?
「生徒たちの寮を選ぶ」という特性と「帽子」がうまく噛み合ってる上手な翻訳だと思います!
初めてこの仏語名を聞いたときは、思わず「お!うまい!」と言ってしまいました!
番外編
ニュート•スキャマンダー
- 英語名: Newt Scamander
- 仏語名: Norbert Dragonneau
- 発音カナ: ノルベール・ドラゴノー
- 発音記号: [nɔʁ-bɛːʁ-dʁa-gɔ-no]
こちらはオリジナル映画「ファンタスティックビースト」シリーズから、主人公ニュート。
フランス語名を見てください。
もう、「だれぇええ!!」って叫びたくなるくらいまるっきり違います。
詳しく調べてみると…
英語名
“Newt”(イモリ) + “Scamander”(川の神)
仏語名
“Norbert”(第1作目でハグリッドがもらってきたドラゴンの名前)
“Dragonneau”(ドラゴンの赤ちゃん)
という意味だそうな。
「イモリ」が「ドラゴン」へ。
随分と急激な進化を遂げましたね…
なぜ仏語名を変える必要があったのでしょうか?
試しに”Newt Scamander”をフランス語風に発音しても、何の問題もありません。
これに至っては、本当に……、謎です。
まとめ
いかがでしたか!?
この投稿を気に、ハリーポッターシリーズにさらに興味を抱いて頂けたら嬉しいです!
ちなみに、小説版をまだ読んでいない方!是非読んでみてください!
映画版に比べて何十倍も話が深く、それぞれのキャラクターの人間性がよりはっきりと描かれています。
さらに最終決戦でのシーンは映画以上に迫力満点です!トレローニー先生の意外な強さやクリーチャーのかっこよさ、マクゴナガル先生の偉大さ, etc.
圧巻ですよ!
最後に1つ宣伝を。
以前紹介した「スターウォーズ」シリーズの投稿、もう読んで頂けましたか?スターウォーズにもフランス語で名前が変わってしまったキャラクターがたくさんいるんです!
まだ読んでいない方はコチラから!
今回の投稿は以上です!!
À la prochaine fois !!!!
私、実は当シリーズのオタクなもので…ちょくちょくマニアな情報を挟ませて頂きますが、それも含めて楽しんで読んでいただければ嬉しいです!