台湾Overwatchリーグ参戦中SunSisterインタビュー(前編)―チーム一丸、夢の舞台に挑戦中―

プロゲーマーの追っかけ出身である女性ライターのスイニャンがeスポーツ観戦に関するさまざまな情報やコラムを不定期でお伝えします

前回の記事から2か月近く間が空いてしまいましたが、決してサボっていたわけではありません。実は私、4月下旬に台湾取材に行ってきました!今台湾で「Overwatch Pacific Championship 2017 Season1」というリーグが行われていて、そこにSunSisterとDeToNator.GOLDという2つの日本チームが参戦しているのです。私は各チームに面識のある選手がひとりかふたりいる程度だったのですが、せっかくのチャンスなので両チームの練習室にお邪魔してインタビューを行ってきました。その模様を全4回に渡ってお届けします。まずはSunSisterのインタビューからお楽しみください。

SunSisterの練習室は台北市の中心地から少し南側にあるMRT公館駅から徒歩圏内、商業地帯から1ブロックほど住宅地へ入ったところにある一般のマンションの一角に構えられていました。夜遅くにお邪魔したのであたりは暗く、インターホンも壊れていたのか使えなかったので、たまたま通りかかった住民に中に入れてもらってエレベーターに乗るという体当たり取材でしたが、いざ練習室に入るとメンバーたちがアットホームを通り越して家族のように、私を温かく迎えてくれました。

個性的な選手が勢ぞろい!魅力あふれるメンバーたち

(左上から)Elu、ZETMAN、N1ght0wl、ShirasPan、(左下から)kira、XQ、Molis、Odenkun
スイニャン:初めまして。まずは皆さんがどんな選手なのか知りたいので、よく使うヒーローやプレイスタイルなどを織り交ぜた簡単な自己紹介からお願いします。

ZETMAN:今日はよろしくお願いします、ZETMANです。チームではメインタンクをやらせていただいています。おもに使うヒーローはウィンストンとラインハルトです。ゲーム内ではインゲームリーダーとしてみんなの作戦や動きをまとめる役をやっていて、相手がどういうことをやりたいのか予想して、それにどう対処するのか考えながらプレイしていますね。

Odenkun:Odenkunと申します。使っているヒーローはザリアとD.VAで、ロールはフレックス、サブタンクです。プレイスタイルは……ちょっと考えてきてなかったな(苦笑)。

スイニャン:例えば攻撃的なのか守備的なのかとか、フィジカルが得意なのかそれとも頭脳プレイが得意なのかとか……。

一同:彼は「頭を使わない」プレイが得意です。チーム内で偏差値20って言われてますから(笑)。

Odenkun:そうですね(笑)、フィジカルでゴリゴリ行く感じです。

Molis:どうも、Molisです。ロールはDPS寄りのフレックスやってます。よく使うヒーローはロードホッグ、ゲンジ、トレーサー、D.VA、ザリアですね。僕の場合、使うヒーローによってプレイスタイルが変わってしまうんですが、わりと安定型だとは思います。そんなにリスクは背負わないほうですね。

ShirasPan:えっとShirasPanって言います。メインタンクをやっていて、ラインハルトとウィンストンを使っています。自分はまあ、「元気担当」ですね!

一同:合ってる、合ってる(笑)。

XQ:XQです。使っているヒーローは、ゲンジからジャンクラットまで何でも(笑)。プレイは基本的なことをやりつつ、あまり型にはまらないようなところも求めていきたいなっていう感じですね。

N1ght0wl:N1ght0wlと申します。ロールは正直よく分からないんですけど……。DPSからサポートまでチームの状況に応じて変わっていて、先週までDPSをやっていたんですけど、今日からXQ選手が来てくれたので僕は今週試合に出ない形になります。また状況を見て違うロールに入ったりするかもしれませんし、コーチとしてやっていくかもしれないという感じです。

kira:kiraと申します。ロールはサポートで、アナとゼニヤッタをメインにたまにマーシーとかも使わせていただいています。自分は、守備的な立ち回りをすることが多いですかね。あとは、攻撃されているときに大声を出して周りに知らせる担当です!

N1ght0wl:わりと無視されてるっていう(笑)。

ZETMAN:あまりにもうるさくて、試合中に途中で「もういいからちょっと静かにして!」って言われてます(笑)。

Elu:僕はEluです。チーム内でのロールはサポートです。使っているヒーローは主にルシオで、状況に応じてゼニヤッタ、シンメトラ、トールビョーンを使っています。試合中は比較的冷静ですが、ヒーローのプレイスタイルとしては攻撃的なルシオだと思います。攻撃されても倒し返すぐらいの感じでやっています。

スイニャン:メンバーはこれで全員ですか。

N1ght0wl:そうですね。あとは、オーナーが一緒に暮らしています。それから、学業や仕事の関係で台湾に来られなかった選手が2名います。

気になるSusSisterの1日のスケジュールは?

スイニャン:では台湾に来てチームとしてどのように練習しているのか、だいたいでいいので教えてもらえますか。

N1ght0wl:昼の12時にはパソコンの前に座っていよう、という形でそこから練習開始なんですが、昼間はやっぱり練習できるチームが限られてくるので日本のプロチームと練習試合ができるならやって、できなければ個人練習や前日の反省会などを夕方5時ぐらいまでやります。そこから3時間ほどご飯や買い物などの自由時間がありまして、午後8時から夜中の0時までがメインの練習時間です。その時間になってくると、もういろんなチームが練習しているので練習試合も組みやすいですね。

スイニャン:ゲーム以外になにか取り組んでいることってありますか。例えば運動とか。

N1ght0wl:僕だけ運動してます、筋トレとか。最初のころは外を走っていたんですけど、空気が悪すぎて喉が痛くなるので、妥協でここの階段を使っています。11階なので、けっこうきついんですけどね。

ZETMAN:最初のころはバスケとかしに行ってたんですけど、最近はやらなくなったというより誰かしらが体調崩してるんですよ。今週はOdenkunの目が腫れてます。

ShirasPan:初日から一週間以上俺がずっと体調悪くて、Molisさんも体調崩して、N1ght0wlさんとkiraさんは喉をやられて。

ZETMAN:俺はお腹痛いっていうのがあって……。まあでもQちゃん来たし、またバスケしに行こう!

オフライン大会でメンバーの意外な素顔が発覚?

スイニャン:じゃあ、今回台湾でリーグに参加してみての感想を聞かせてもらえますか。

ZETMAN:夢に描いていたとおりですね。俺が昔「あそこでプレイしたい」って憧れていた『League of Legends』の北米リーグ「LCS」の最初のころの、小規模でアットホームな感じに近いんです。でもやっぱりそんなに甘い世界じゃない。海外の人たちはプロ意識が強いし、練習量が明らかに違うんですよ。台湾に来てみて、彼らにどうすれば追いつけるのかっていうのを今悩んでますね。

ShirasPan:俺はまだ出ていないんで緊張とかは感じないんですけど、見ている感じではみんなのプレイが本当にいつも通りじゃないので、俺もあそこでやってみたいなというのが今一番デカい思いですね。あの恵まれた環境で出てみたいなっていうのが、今の目標です。

N1ght0wl:僕はあまり緊張しないんですけど、本番だと普段やらないようなミスをやっちゃったりとかがけっこう多いですね。そもそも台湾に来られなかったメンバーの代わりに僕が急きょDPSをやることになったので、DPSの経験がまだ1か月半ぐらいしかなくて。どうしてもほかのチームのDPSがすごく強いので、XQ選手を補強という形で入れて僕は一旦抜けるんですけどね。会場で戦ったこと自体はこんなもんか、って感じでした。まあ、もっと大きなところで戦ったこともあるので。

Kira:僕はSunSisterに入ったのもけっこう最近だし、オフライン大会自体が初めての体験だったので初戦はすごく緊張しましたね。マウスがガタガタ震えてエイム(照準)が合わないみたいな状況だったんですけど、最近は慣れてきました。やっぱりお客さんがいて会場も大きいから、実家とかと環境が違うっていうのが影響しているのかもしれないですね。

Elu:僕はそこまで会場に対して緊張することはなかったんですけど、チームとして普段のパフォーマンスを試合で発揮しようというときに修正ができなくて悩んでいます。そこをできるようにならないと自分が出る意味ないと思うので、今後できるように頑張っていこうという感じです。

Molis:国内のオフラインとこっちの言葉が通じない国では、全然違いますね。ガチガチで頭真っ白、考えることすらできないぐらいっていうのが第1戦目でした。2戦3戦とやっていくうちに慣れてきてはいるんですけど、やっぱり自分で自分を追い込んでしまうところがあって。負けたくないという気持ちが強くて、「感触は悪くないのになんで負けてるんだろう、いや俺のせいだ」みたいな。試合前はずっとZETMANに励まされている感じです。

ZETMAN:Molisさん、練習中とか会場行く前とかはドンと構えてて「何言われてもびくともせんわ」みたいな感じだったんですけど、会場着いてからいきなりモジモジしはじめて。俺たばこ吸わないのに「喫煙所までついてきて」って言われてエレベーター乗った瞬間誰もいないのをいいことに、「めっちゃ緊張する~!(泣)」って弱音吐いてるんですよ。普段はすごい短気なのに、キャラじゃないぐらい可愛いかったです(笑)。

DeToNatorはライバルでありつつ頑張ってほしいチーム

スイニャン:台湾に来て、印象に残っているチームや選手っていますか。

Molis:選手じゃないんですけど、DeToNatorのSenseiコーチです。彼がオフの日に家族を連れて試合を見に来てくれて、「SunSisterさん、頑張ってください」って応援してくれたんですよ。そういうところがすごくいい人だなと思って、プレイとかじゃなくて人として印象に残っています。

ShirasPan:でもやっぱりDTNには負けたくないし、負けてほしくないっていうのはありますね。みんなはプレッシャーだろうけど、俺も見ている側からのいろいろ思う気持ちがあるので頑張ってほしいなって。かといって別に敵視しているわけじゃなくて、同じ日本のチームとして一緒に頑張りたいっていう感じですね。

N1ght0wl:僕も印象に残っているチームはDTNですね。Ameken選手とかも見ててすごいなって思ってて、勝ってほしいなと思って応援しているんですけど、やっぱり対戦するときは負けたくないです。

XQ:僕は台湾に来たばかりでまだ試合にも出ていないんですけど、注目しているチームというよりは、3か月のリーグなので長い目で見るのがいいんじゃないかなと思っています。今のところ日本勢とかタイとかあまり調子が良くないと思うんですけど、ここから上位勢も入れ変わってきたりとか下位チームが上手く練習して成長したりする展開を楽しみにしています。

Elu:対戦相手としてはどこも同じぐらい注目してるんですけど、個人的には日本にいたときからスクリムの連絡とかでMachi Esportsのコーチの方とは交流がありました。台湾で飲みに行こうよ、みたいな話にもなってましたね。

スイニャン:台湾のチームともちゃんと交流があるんですね!

ZETMAN:どこのチームにも英語使える人がひとり以上はいて、自分もハーフで英語が使えるので初日から積極的に絡みにいきました。試合するときは敵同士でライバル心はあるんですけど、楽しくやってますね。みんな優しいし、フレンドリーな感じですよ。

Odenkun:僕はMachi EsportsのDPSのRai選手ですね。あのときは同じファラ同士の対決だったんですけど、ボコボコにやられたんですよ。それで僕ZETMANと同じ部屋なんですけど、その日の夜「うなされてた」って聞かされて(苦笑)。

ZETMAN:夜中にすごい「う~ん」とか言い出したので「大丈夫?」って声かけたら、「ファラ強い、Raiもうやめて、無理~!」とか言ってて、起きてるのかと思ったらたらまた寝てるっていう(笑)。

Odenkun選手のちょっと可愛いエピソードが披露されたところで、前編は以上となります。SunSisterのメンバーで唯一私と知り合いだったZETMAN選手が、とてもリラックスしていろいろなことを話してくれた気がします。さらにN1ght0wl選手がベテランの貫禄でインタビュー慣れしているのと、初対面でも物怖じしないShirasPan選手が一緒になってトークをリードする形で、初対面とは思えないほど和気あいあいとした雰囲気でインタビューを進めることができました。後編ではさらに選手たちのパーソナリティ迫った内容でお届けいたしますので、お楽しみに!

SunSister
公式ページ:http://www.sunsister.net/

スイニャン

プロフィールを見る

韓国在住経験5年。在韓中の2006年ごろeスポーツと出会い、StarCraft: Brood Warプロゲーマーの追っかけとなる。帰国後2009年ごろからさまざまなWEBメディアで取材・執筆活動を行うほか、語学力を活かして韓国人プレイヤーのインタビュー通訳・翻訳や国際大会の日本代表団引率通訳などの活動も行っている。自らはゲームをほとんどプレイせず、おもにプロゲーマーの試合を楽しむ観戦勢。

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