長らくお待たせいたしました。4月下旬の台湾取材で行ったDeToNator.GOLDのインタビューの模様をお届けします。DeToNator.GOLDの練習室は台北市内の松山空港からそれほど遠くないエリアにあり、近くには有名な観光地・饒河街夜市もある非常に便利な場所です。建物は完全なオフィスビルで、受付で名前を書いてパスポートを提出すると引き換えに来館証がもらえます。これを入口のゲートに通さなければ中に入ることができません。
この日は、メンバーのSaih4tE選手がわざわざロビーまで出迎えに来てくれました。練習室はスポンサーであるAming台湾支社のオフィス内にあり、入口はいって右側に構えられています。壁ぎわに選手たちが横並びに座ってプレイできるほどの広さがあり、窓際には小さな応接テーブルとソファーも設置。インタビューには6名の選手と韓国人コーチのSENSEIさん、Sungwooさんにも同席していただきました。
スイニャン:まずは皆さんがどんな選手なのか知りたいので、ご自身のプレイの特徴などをまじえて簡単に自己紹介をお願いします。
Saih4tE:僕はSaih4tEで、ロールはサポートを担当しています。プレイスタイルとしては、前にDPSをやっていたのでサポートだけど攻撃的になっちゃいますね。攻撃的なプレイが好きではあるんですけど、サポートとしてはやってはダメなんですよね(苦笑)。
delave:初めまして、delaveです。よろしくお願いします。ロールはDPSで、プレイスタイルはディフェンシブだとよく言われますけど、自分ではピンとこないですね。あとは、リスクのあるプレイが好きだったりする悪い癖があります(苦笑)。たまに良いときもありますがチームとしては致命的な弱点になっているときもあるので、直していきたいところです。
SamuraiD:初めまして、SamuraiDです。タンクをやっています。攻撃的なプレイが好きです。
dohteloff:どうも、dohteloffです。サポートを担当しています。僕は調子に乗るプレイスタイルですね(笑)。これはあまり良くないことなので直していきたいですけど、今はまだそれを楽しみながらプレイしている感じかもしれません。
Ameken:Amekenです。フレックスを担当しています。僕は「裏をとる」のが好きです。戦闘が終わったあとに敵が来る場所ってなんとなく分かるので、先に裏がとれるポジションを確保して隠れるような感じですね。
yoshiharu:サブタンクを担当しているyoshiharuです。自分は考え方としては安定型なんですけど、結構押せ押せで一番前に行きたがってしまう癖がありますね。
スイニャン:では皆さんの普段の性格を少し知りたいので、簡単に自己分析してもらっても良いでしょうか。ほかの選手は、異議があれば自由に発言していただいて大丈夫です。
Saih4tE:僕は普段はおとなしいと思いますよ。
dohteloff:おとなしいっていうか、優柔不断っていうか。
SENSEIコーチ:顔だけ見たら、24時間笑っている感じです。怒るときもニヤニヤしているので、ある意味怖いですよ。
yoshiharu:簡単な文章を書くときでも10分以上悩んでいたことがありましたね。
delave:僕は冷静って感じじゃないでしょうか。どうですか皆さん、異議ありますか。
Saih4tE:冷静で、リーダー気質はあるけど我が道を行くスタイルだよね。「俺についてこい」的な感じ。
SENSEIコーチ:僕の場合、性格はいろいろな意味で開放的ですね。ゲームをするときは集中するタイプで、それ以外はダラダラする性格です。
delave:全然起きてこない人です。
SamuraiD:僕はゲームをしているときはたぶん一番うるさいんですけど、普段は一番おとなしいと思います。
SENSEIコーチ:俺がチームに入ったばかりのときはけっこうおとなしかったのに。
dohteloff:僕はプレイスタイルと同じで、性格もすぐ調子に乗るタイプです(笑)。
Ameken:自分はおとなしいです。
一同:嘘つけ(笑)。
dohteloff:こういうところになると、おとなしい。普段は元気で面白いタイプです。
yoshiharu:僕の場合は、基本的になんでも受け入れる性格です。
Saih4tE:元漁師なんですよ、彼。
スイニャン:あ!その話聞いたことありました。
delave:だから考え方は柔軟だけど、体育会系だよね。
スイニャン:ではプロゲーマーになったきっかけやDeToNatorに入ったきっかけを聞かせてもらいたいんですが、漁師からプロゲーマーになったというyoshiharu選手から答えていってもらっても良いですか。
yoshiharu:分かりました。僕はもともと6年ぐらい前にFPSが好きでやっていて、そのころいっしょにプレイしていた人がほかのチームでプロゲーマーになったので、興味はあったんです。あるとき漁師の同僚がOverwatchをやりたいって言いだして、FPSなら教えてやるよって感じでいっしょにやっていたら自分のほうが熱くなっちゃって。それでプロゲーマーを募集しているのを見て応募したらそのまま通っちゃったので、漁師を辞めたんです。
Ameken:自分は今までずっと一人でプレイしていて、そろそろチームに入りたいなと思っていたところをdohteloffさんに誘われて。
dohteloff:彼も僕もDOTA2をプレイしていたころからの付き合いなので、もう4年ぐらい経ちますね。僕がプロゲーマーになったきっかけは、小学生のときにたまたま見た別のFPSの動画でした。何かの大会の決勝戦のもので、自分もこういう舞台に立てたらいいなと思ったんです。それでFPSを頑張っていたんですけど上手くいかなくて、別の種類のゲームで目指してみようかなっていうのがDOTA2でした。そこでは日本国内でトップにもなれたので海外大会にも頻繁に出るようにしていたら、DeToNatorのオーナーの江尻さんが声をかけてくださってチームごと入れさせてもらったって感じですね。その後、OverwatchはFPSだけどMOBAの要素もあるのでチャンスがあるんじゃないかなということで転向しました。
SamuraiD:自分はチームに入る前からけっこう日本のプロゲーマーの方々とマッチングしていて、彼らと戦いながらこれなら俺にもやれるんじゃないかなって思って応募したのがきっかけです。
SENSEIコーチ:Overwatchが出たばかりのころはこれでプロゲーマーになろうとは思っていませんでしたが、シーズン1で世界ランキング30位以内に入ったのをきっかけに韓国でプロゲーマーになったんです。自分は昔から日本が好きなので、チームを脱退したあと日本チームを探して知ったのがDeToNatorでした。最初は選手としてプレイしていたんですが、途中からコーチもいいかなと思い始めて、今は彼らの後ろでサポートをしています。
delave:自分はもともとクロスファイアっていうFPSをやっていたんです。競技人口はそんなに多くなかったんですけど一番強いチームに入っていて、そこにスポンサーがついていつの間にかプロチームになっていたというのがきっかけですね。Overwatchは、そのときチームメイトだったYamatoNに誘われて、Blizzardのゲームだったら確実にプロシーンがあるなと思ってDeToNatorに入りました。
Saih4tE:僕もdelaveさんみたいな感じなんですけど、前にAVAをやっていたときはプロゲーマーになるって気持ちはまったくなくて、優勝したくて強いチームを探していたときにDeToNatorのSHAKAに誘われたのがチームに入ったきっかけですね。チームに入ってからプロゲーマーという職業があるんだってことを知って、じゃあこれで頑張っていこうかな、と。Overwatchに転向したのは、世界的に流行りそうだなと思って始めました。
Sungwooコーチ:僕は韓国でOverwatchのプロゲーマーをやっていましたが、そのときにSENSEIコーチと同じチームだったんです。そのチームを脱退した後は別の韓国チームでコーチをしていたんですが、ちょうど次のチームを探していたところへ彼からDeToNatorのコーチに誘われたので加入しました。
スイニャン:皆さんはそもそも台湾に来ることについて、躊躇はなかったんですか。
delave:ある程度の期間DeToNatorに入っているメンバーはもともと海外に出る機会があったら行くぞという心構えもあったので、そんなに葛藤はなかったんじゃないかなと思います。
一同:そうですね。
SamuraiD:僕は迷いました。彼女が日本にいるので。でも「行ってきていいよ」、って言われたので来ました。
Saih4tE:まあでも日本より海外のほうが盛りあがっていてリーグもあるし、日本と比べたら環境が良いっていうのはどうしてもありますよね。
スイニャン:では「Overwatch Pacific Championship 2017 Season1」の感想を聞きたいんですが、もし印象に残っているチームや選手がいたら、あわせて教えてください。
Saih4tE:やっぱり海外チームは圧倒的に実力が上で、戦いのテンポや攻撃が速いっていう感じですね。僕自身ロールを変えてDPSからサポートに回ったんですけど、Flash WolvesのS1nkler選手やMatch EsportsのKiyomi選手は非常に上手いので参考にしたいなと思っています。あとはAVAをプレイしていたahq e-Sports Clubの選手たちもOverwatchに転向していて、知り合いなので興味深いですね。
yoshiharu:これだけの大きなオフライン大会に参加するのは初めてなんですが、設備もすごいし賞金も出るし、プロモーションビデオはカッコいいし、至れり尽くせりの素晴らしいリーグだと思います。ただ実力的に劣っているので、頑張らなきゃなという感じですね。でも大会が始まってすぐにロールチェンジしてかみ合っていなかったりしたのが、大会のなかで徐々に良くなってきているという手ごたえはあります。
delave:これは海外の大会どこでも言えることなんですけど、一番違うのは観客がいて、ゲーム中にも歓声が聞こえてくるところだと思うんです。やっぱり台湾リーグなので、地元のチームは人気があって歓声がすごいんですよね。そういうチームと試合をすると、相手のプレイのときは歓声が沸くのにこっちのプレイのときは控えめな感じで、アウェイ感はありますね。
Ameken:リーグに出る前から相手は強いところばかりだと分かっていたんですけど、やっぱり強いなって思いました。とくにすごいと思ったのがFlash WolvesのBaconjack選手。何しようにも邪魔してくるので、ムカついたこともありますけどね(苦笑)。
SamuraiD:相手が強いのもそうなんですけど、自分たちが思ったより何もできていないなって感じましたね。フィジカルや考え方や連携面など、とにかく全体的に足りていないなと思うので頑張って実力を磨いていきたいですね。やっぱりせっかくこうしてみんなで集まって練習しているんだし、とくに連携面を重視して上げていきたいなと思います。
dohteloff:僕は、リーグ運営側の選手への配慮がすごいなっていうのを感じました。どういうところを直してほしいかとか、選手の要望を聞いてくれるんですよ。大会が始まる前には練習するスペースもあって、そこで事前にセッティングができるだけでなく、運営側が「大丈夫?」とか声をかけてくれるんですよね。この前は音量調整に少し問題を感じてどうにかならないか聞いてみたら、「今すぐは無理かもしれないけどこっちで検討してみるよ」って言ってもらえました。
delave:リーグが始まる前に日程が出たときも、いろいろなチームの意見を聞いてなるべく同じチームと近い日程で対戦しないようにしたり、ホームゲームがあまりにも有利すぎるということでルールを調整したりとか、早い段階で修正してくれたので信頼感がありますね。ホームゲームだと1・3・5マップ目を先に選べるので、ホームとアウェイの日程のバランスも調整してくれました。
Blizzard台湾の素晴らしい配慮について語っていただいたところで、前編はここまでとなります。DeToNatorのメンバーはAVAのころに取材させていただいたSaih4tE選手と、DOTA2の国際大会で引率通訳をしたときに知り合ったdohteloff選手が私と話し慣れているということで、トークを盛り上げてくれました。さらにdelave選手とSENSEIコーチが持ち前の優しさで丁寧にインタビューに答えてくださり、あまりインタビュー慣れしていないと見受けられるほかの選手たちもそれに引っ張られる形でスムーズにインタビューを行うことができたと思います。後編では好きなヒーローの話から台湾生活の話まで、多岐にわたった内容でお届けしますので期待していてください!
DeToNator
公式ページ:https://detonator-gg.com/
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