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【社会】

NPO「ピースデポ」発行の情報誌が休刊 「反核」世界の動き発信24年

ピースデポが24年間発刊し、今月15日発行で休刊した情報誌「核兵器・核実験モニター」の最終号

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 核兵器を巡る国際情勢を調査するNPO法人「ピースデポ」(横浜市)が二十四年間にわたり発行した情報誌「核兵器・核実験モニター」が、今月十五日号で休刊した。月二回の刊行で核に関する各国政府や市民団体の動きを伝え、核廃絶運動を支えてきたが、スタッフの世代交代に伴い紙面を刷新する。 (木谷孝洋)

 同誌はフランスが核実験の再開を表明した直後の一九九五年に創刊。核保有国の核開発の現状や、国連など国際機関での核軍縮の議論などを取り上げてきた。一次資料と独自の分析に基づく紙面は、核問題に関心を持つ人にとって貴重な情報源となっていた。発行部数は約六百部。個人や法人の会員に配布し、発行から一定期間がたつとホームページで公開している。

 取り上げるテーマは核問題にとどまらない。二〇〇七年には、海上自衛隊がテロ対策名目で米艦船に給油した燃料が、米国のイラク戦争に転用された可能性があることを米公文書の分析に基づいて指摘。テロ対策特別措置法違反の疑いがあるとして、国会でも取り上げられた。

 最終号となった五百八十二号では、十一月のローマ教皇フランシスコの訪日を特集。長崎、広島での演説全文を掲載するとともに、バチカンが核廃絶に積極的に取り組んできた経緯も紹介した。

 二〇年以降は、年六回発行の「脱軍備・平和レポート」として再出発。同法人研究員の森山拓也さん(32)が編集長となる。

 ピースデポ特別顧問で、情報誌主筆を務めた梅林宏道さん(82)は「核兵器廃絶運動は道半ばで、休刊は残念だ。月二回の発行は相当な蓄積がないとできない。原典に当たるという志は引き継ぎつつ、若い人に自由にやってもらいたい」と話す。

 森山さんは「これまでは専門家に向けて記事を書いていたが、今後は一般読者にも分かりやすい紙面にしたい」と抱負を語った。

 同誌の入手希望などの問い合わせは、ピースデポ=電045(563)5101=へ。

 

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