『おしん 一挙再放送▽第39週・再起編』のテキストマイニング結果(キーワード出現数ベスト20&ワードクラウド)
- 初子
- 希望
- 商売
- 一緒
- 加賀屋
- 自分
- 本当
- お金
- お前
- 今日
- 承知
- 先生
- 全然
- 問屋
- 一人
- 魚屋
- 支度
- 大変
- 東京
- イカ
『おしん 一挙再放送▽第39週・再起編』のEPG情報(出典)&解析用ソース(見逃した方はネタバレ注意)
解析用ソースを読めば、番組内容の簡易チェックくらいはできるかもしれませんが…、やはり番組の面白さは映像や音声がなければ味わえません。ためしに、人気のVOD(ビデオオンデマンド)サービスで、見逃し番組を探してみてはいかがでしょうか?
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おしん 一挙再放送▽第39週・再起編[字]
主人公おしんの明治から昭和に至る激動の生涯を描き、国内のみならず世界各地で大きな感動を呼んだ1983年度連続テレビ小説。全297回を1年にわたりアンコール放送。
詳細情報
番組内容
健(ガッツ石松)は、なぜか初子(田中好子)について、かたくなに口をつぐんでいた。それが、おしん(乙羽信子)には不安であった。黙々と健について歩きながら、おしんの脳裏に、長男・雄(ゆう)の死を知ったとき、泣き崩れた初子の姿が、鮮明によみがえっていた。もうすぐ初子に会えると思うと、うれしさより不安のほうが大きかった。健に連れられて行ったのは、郊外のケバケバしい繁華街であった。
出演者
【出演】乙羽信子,田中好子,山下真司,塩屋俊,ガッツ石松,渡辺美佐子,【語り】奈良岡朋子
原作・脚本
【作】橋田壽賀子
音楽
【音楽】坂田晃一
♬~
(テーマ音楽)
♬~
こんな所で 何してるの?
(健)お内儀さんは
しばらく ここで…。
気を付けて下さいよ。
ぼんやり 立ってると
声をかける男が
いるかもしれません。
なるべく 目立たないように。
あっしは すぐ戻ってきますから。
(バーの女)カム バック アゲイン!
(米兵)シュア。 アイ ウィル。
(バーの女)グッド バイ!
(米兵)グッド バイ!
♬~
(バーテン)何か?
マイクと待ち合わせてるんだ。
オン・ザ・ロック もらおうか。
(バーテン)はい。
♬~
久しぶりだな 初ちゃん。
この間 たまたま この店へ来て
初ちゃんが 客と出ていくとこ
見たんだ。
何度も確かめにも来た。
この店で 客 張ってるんだってな。
(健)積もる話もある。 出ないか?
(米兵)ヘイ ガール!
(初子)ハ~イ!
初ちゃん!
何すんだよ!
商売の邪魔しないでおくれ!
俺と出るんだ!
よしてよ!
悪いけど
日本人は 相手にしないんだ。
初ちゃん!
何が 初ちゃんだよ!
人違いも いいとこだよ!
私は アケミっていうの!
あんたなんか
見た事も 会った事もないね!
(初子)ストップ ストップ ストップ!
(健)初ちゃん!
(初子)離してよ! 何すんだよ!
(健)初ちゃん!
田倉のお母さんだ。
わざわざ 迎えに見えたんだぞ。
初ちゃん!
♬~
初子! 初子!
初坊!
初子!
いい加減にしてくれよ!
俺は もう 60だぞ!
こんな年寄りに かけっこ
させるなんて ひでえじゃねえか。
お願いだから 離して!
逃がして下さい! 初ちゃん!
私 母さんには 会えないの!
私は もう 初子じゃない!
昔の初子は
死んでしまったんです!
初子…。
初子。
初子 お化粧 落としなさい。
初子らしくないよ。
帰って下さい!
母さんの知ってる初子は
雄さんと一緒に
死んでしまったんです!
忘れて下さい! 二度と来ないで!
初子…。
私は 結構 楽しく
面白おかしく 暮らしてるんだ。
邪魔しないでほしいね!
余計な事されちゃ 迷惑だ!
ほら! きれいに取れるよ!
昔の初子だ…。
母さんの大好きな初子だよ。
何にも変わっちゃいない。
昔のままの 初ちゃんの顔だよ!
ほら!
♬~
母さん!
初子…。
♬~
アメリカの飲み物だから
母さん 嫌いかもしれないけど
ほかに 何にもなくて…。
おなか すいてない?
コンビーフの缶詰なら ある。 初子。
それとも
中華そば 取りましょうか?
割に おいしいのよ。
母さんと一緒に 伊勢へ帰ろう。
仁も 希望も 禎も 初ちゃんが
帰ってくるの 待ってるのよ。
母さん… 私は もう
仁ちゃんたちの前には 出られない
女になってしまったのよ。
初子…。
後悔は してない。
雄さんが戦死したって分かった時
私 本当に死ぬつもりだった。
田倉のうちを出たのは
どこか 誰にも知られない所で
死にたいと思ったから。
でも 死ねないで
声をかけられたアメリカ兵に
くっついていっちゃった…。
その時 「あ~あ 私は もう
死んだのも同じなんだ」って…。
いいの。
もう そんな済んでしまった事
聞きたくないわ。
私だって 話したくないわ。
でも 聞いてもらわなきゃ
母さんに諦めてもらえないでしょ。
今までの事は みんな 忘れるの。
一遍 自分を捨ててしまったら
気が楽になっちゃった。
母さんとも雄さんとも 別の世界の
人間になっちゃったんだから…。
それから ここへ流れてきて…。
これはね あんたが
毎月 送ってくれた お金よ。
1円だって 手をつけてないわ。
母さん…。
初ちゃんが帰ってきたら
返すつもりだったの。
そんなバカな! このお金は
少しでも 母さんたちの役に
立ててほしいと思ったから…。
あの時 うちも追い立てられたし
仁ちゃんも
希望ちゃんも 禎ちゃんも
学校 行かなきゃならないし
母さん一人で どんなに大変か
分かってたから…。
初子。 あんた 私たちに
お金 送るために こんな事…。
死ぬ事もできなかったら
こんな事でもしなきゃ
食べていけないもん。
この商売は
誰も うるさい事なんか言わない。
一度 死んだ女には
一番 ふさわしいのよ。
初子…。
このお金は 長い間お世話になった
お礼のつもりだったの。
少しでも
役に立ててほしかったのに…。
訳の分からないお金
使えるはずないでしょ。
このお金が 毎月 届く度に
母さん
どんなに つらい思いしたか…。
母さんに
かい性がないばっかりに
初ちゃんに こんな心配させる事に
なってしまったって…。
雄にだって
顔向けできやしないもの…。
雄さんの事は もう…。
ねえ 母さんと一緒に帰ろう。
母さんね 今でも 初ちゃんの事
娘みたいに思ってんの。
雄のお嫁さんだと
思ってんだから…。
初子。 あんた この商売
本当に好きになってしまったの?
面白おかしく暮らしたいと
思ってんの?
伊勢へ帰ってきたって
まだまだ ぜいたくは
させてあげられないわ。
でもね 母さん あんたに
こんな暮らし してほしくない。
させたくないのよ! ねえ!
私だって 母さんや
仁ちゃんたちと暮らしたい。
毎日 雑炊や お芋ばっかり
食べてたけど 田倉のうちで
みんなと 肩を寄せ合ってた時の事
忘れられない。
あれが
本当の幸せだったんだって…。
誰か お金でも借りてる人がいたら
これで みんな 清算しなさい。
お世話になった方には
ちゃんと お礼をして…。
すぐ ここを出る支度するのよ。
4年間の事は みんな
ここへ捨てていくの!
ねえ 母さんと一緒に働こう!
働いてほしいのよ!
ここの物はね みんな
くず屋にでも払っておしまい!
ここの暮らしを思い出す物は
みんな 捨てていくのよ!
洋服だって
惜しいだなんて言わないで。
着る物ぐらい
母さん 買ってあげる!
さあ 今から すぐ支度するの!
母さん 手伝うからね!
さあさあ! ほら 初子!
ほら 初ちゃん!
♬~
(健)お師匠さ~ん!
(たか)あっ 御苦労さん。 奥だよ。
今日 帰るって?
健さん。
本当に いろいろ
お世話になりました。
おかげさまで…。
礼 言ってもらいたくて
した事じゃねえんだ。
お内儀さんとは
奇妙な巡り合わせで…。
あっしは お内儀さんのお役に
立てる事が うれしいんですから。
それにしても よかったな!
初ちゃんも
帰る気になってくれてよ!
お世話になりました。
でも 山形から出てきて
母さんとこへ 奉公するまで
私の面倒 見てくれたのが
健さんだったなんて
全然 知りませんでした。
そうか…。
お初坊は
まだ こんな小さかったもんな!
俺は じじいになっちまったし
分からねえのも道理だ! ハハハハ!
私も もうちょっと おいでよって
言ってるんだけどさ。
そうですよ。
せっかく 東京へ出てきて…。
今度 いつ来られるか
分かんないだろ。
私だって いつまで
元気でいられるか…。
もう 会えないかもしれないよ!
お師匠さん!
待ってますから!
いつも いつも 勝手な時ばっかり
お世話になりまして…。
ああ…。 きっと
お伊勢参りに行くからね!
会う時は いいが
別れる時は 嫌なもんだ。
これも 年のせいかね。 お内儀さん
また 顔 見せて下さいよ!
(たか)みんな
せいぜい 長生きして…。
今までは
つらい事ばっかりだったけど
これからは
日本も よくなるそうだからさ
お互い
うんと いい思いしなくっちゃ
死んでも 死にきれないよ!
うんと お金もうけもして!
(たか)そうそう!
(一同の笑い声)
初子のアパートの整理などで
5日ほど 東京に滞在し
おしんは 初子を連れて
伊勢へ帰ってきた。
へえ~。 最初の魚屋のお店と
同じ町なんですね。
そう。 昔の おなじみさんも
結構 いらっしゃるのよ。
初ちゃんの事
覚えてて下すってる お客様も
いらっしゃるわよ きっと!
仁! 希望!
(仁)お帰り! (希望)お帰り!
どうだった?
初ちゃんに会えた? どうしたのよ
お店 ガランとしちゃって…。
(仁)あ…。 これ
持っていかれちゃったんだよ。
泥棒?
違うよ。
全然 売れなかったんだよ。
それで 支払い日が来ても
金がないしさ…。 そしたらな
問屋のやつらが来て 品物
引き揚げてっちゃったんだよ。
どうしようもないよ…。
母さん?
初ちゃん!
初べえ!
♬~
♬~
(テーマ音楽)
♬~
(おしん)ハハハハハハハ!
(仁)何が おかしいんだよ!
笑い事じゃないだろ!
だってさ…。 ハハハハ!
(希望)あんな ひどいやり方って
ないよ。
母さんが帰ってきたら
必ず払うって言ってるのに
トラックで 何人も やって来て
あっという間に
持ってっちゃうんだから…。
なっ!
母さんも うっかりしてたのよ。
初ちゃんの事で 気がせいて
支払い日の事 コロッと忘れちゃって。
(初子)すみません 私のために…。
初ちゃんが謝る事ないよ!
母さんが のんきなんだよ!
何 言ってんだい。 雑貨や日用品
置きたいって言うの
あんたなんだよ。
仁の責任でしょうが…。
問屋さんだって 大変なのよ。
この せちがらい世の中だもの
いいわ いいわで
支払い 延ばしてたら
資金は 回転しないし
今はね お店だって
どんどん増えてるんだから。
俺はね 母さんは すぐ
帰ってくるって言ったんだよ。
長い つきあいだろ。 それなのに
全然 信用しないんだから。 なあ。
今日まで よくったってね
明日が どうなるか分からないのが
商売なの。
小売店と同じように
問屋さんだって増えてるんだから。
競争だって 激しくなってるし…。
(仁)母さん 一体
どっちの味方なんだよ?
戦後の どさくさは
もう 終わって
これからが
本当の商人が残る時代なのよ。
地道に 商売していかなきゃ。
なあ とにかく
問屋へ行ってきてくれよ!
俺じゃ
相手してくれないんだから。
ねえ 雑貨は もう 諦めよう。
母さん!
ホント 言うとね 問屋の支払い
どうしようかと思ってたのよ。
せめて 半分ぐらいでも
売れてたら
なんとかしようがあるけど
全然 駄目なんだもんね。
まあね 仮に 都合つけて
お金を払ったにしても
品物を 店ざらしにするというのは
お金 寝かせとくのと同じだもの。
やれやれだわよ
引き揚げてくれて…。
一旦 納めたもん
金 払えって言われても
しょうがないんだもん。
ホントに ありがたい問屋さんだ。
さあ これからは お店も
魚と野菜で 全部 使えるし
ふんぎりが ついただけでも…。
あんただって これで もう
諦め ついただろ?
魚と八百屋だって いくらだって
大きくやれるんだから。
お父さんが いらした時のように
また 仕出しを始めてもいいし
干物だって 佃煮だって
扱えるんだから。
あっ ごめん ごめん。
ねえ 帰ってくる早々
とんだとこ 見せちゃって…。
いつまでたっても
母さん 大変なんですね。
そんな時に ご迷惑かけて…。
店をやってるとね
いつだって 気が休まる時は
ありゃしないんだから。
こんなとこへ帰ってきた
初ちゃんは 災難だろうけど
母さんね ホントに ありがたいと
思ってるのよ。
誰よりも いい相談相手に
なってもらえるんだもの。
母さん…。
そうだよ。 俺たちじゃ 母さん
どうも 頼りないらしいんだ。
ちょうど よかった。
ホントに いいところへ
帰ってきてくれたよ 初ちゃん。
ねっ 母さん。
きっと 雄が
引き合わせてくれたんだよね。
(禎)ただいま!
あっ お帰り。
母さん 帰ってたの?
うん。
誰かと思った!
初ちゃんじゃない!
禎ちゃん!
うわ~ 大きくなって!
見違えちゃった!
初ちゃんだって!
きれいになっちゃって
全然 大人のムードだな。
当たり前だよ。
初ちゃん もう 24だもの。
24? じゃあ 結婚したの?
何 言ってるの。
初ちゃん まだ 独りよ。
じゃあ 今まで 何してたの?
東京でね
ちゃんと お勤めしてたのを
帰ってきてくれたの。
初ちゃん
帰ったら こき使われるわよ!
せっかく 東京 行ってたのに
もったいない!
東京で 4年も暮らしてみて
どんなに みんなと一緒の方が
楽しかったか
よく分かったから 帰ってきたの。
また お世話になります。
よろしく お願い致します。
あ~ 助かった。
初ちゃんが いてくれたら
私 台所仕事しなくて済む!
禎。 初ちゃんは
お手伝いさんじゃないのよ。
あんたたちの姉さんなんだから
そのつもりでね。
いいのよ。 これからは
何でも言ってちょうだい。
そのために 帰ってきたんだから。
そろそろ お夕飯の支度…。
初ちゃん。 父さんと雄に
お線香 あげてやってちょうだい。
2人とも きっと喜んでるわよ。
♬~
初ちゃん。
父さんも雄も あんたの事は
よく分かってくれてるわよ。
心は売らないって
言ったじゃないの。
少しも恥じる事なんてないのよ。
♬~
父さん 雄。 初ちゃんが
帰ってきてくれましたよ。
♬~
母さん… 父さんも雄さんも
もう 年を取らないのね。
私も あの時 死んでたら
雄さんのそばで
いつまでも
あの時のままで いられたのに…。
いらっしゃいまし! キス10匹
天ぷらに おろしてもらうわ!
はい 承知しました!
サバ 新しそうやね!
おいしいですよ 奥さん!
おろしてもらえる?
はい 承知しました! 仁 これ
そちらのお客さん お包みして!
カブとトマト 頂戴!
おい 希望 カブとトマトだぞ!
うちも サバにするわ!
はい 承知しました!
今日は 煮魚 何があるの?
そうですね。
カレイか太刀魚 いかがですか?
奥さん。
太刀魚にしようかな。
はい 承知しました!
仁 ほら ぼんやりしてないで!
遅れるよ ほら!
夕飯の支度 済みましたから
お手伝いしましょうか?
あっ 初ちゃん これ おろせる?
太刀魚。
そのくらい。 私だって このお店で
育ったんですからね。 頼むね。
大根と炊きたいんだけど
イカ 頂戴!
はい 承知しました。 イカですね。
奥さん しばらくです。
あら。 あんた
前の魚屋にいた時の…。
はい。 また お世話になります。
よろしく お願い致します。
帰ってきたんかいな!
ええ娘さんになって!
あんたも 心強いな!
ええ。 おかげさまで。
あっ 大根も もろうとくで。
はい ありがとうございます!
大根の 太くて いいの
お包みして下さい! はい…。
母さん お茶。
ありがとう。
人に入れてもらった お茶が
飲めるなんて 何年ぶりかしら。
あ~ おいしい!
6月に 戦争が始まって
どこの工場も
忙しくなったんだって。
女の人も
随分 働きに行ってるそうよ。
初ちゃんも 外で働きたかったら
それでも いいのよ。
今なら いくらでも
仕事 あるんだって。
私は お金なんて
欲しくありません。
ここへ置いて頂けるんだったら
それだけで…。
でも よそへ 働きに出たら…
よそで 月給 もらえたら
生活費の足しには なりますね。
何 言ってるのよ!
初ちゃんのお給金 当てにするほど
困っちゃいないわよ。
それなら ここで お店 手伝って
大きな顔して食べさせて頂きます。
まあね
みんなで 力を合わせてやれば
そのうちに
初ちゃんの婚礼の支度ぐらい
できるかもしれないよ。
あっ お湯 行こうか。
禎 お風呂 行くよ!
あんたも 仁と一緒に
お湯 行ってくれば
さっぱりするのに
2人とも 不精者なんだから。
悪いけど ちょっと 母さんに
話しておきたい事があるんだ。
じゃあ…。
僕 ずっと考えて やっぱり
焼き物 習いに行く事に…。
だいぶ前から
先生の所へ 手紙 出したりして
弟子入りさせてほしいって
頼んでたんだ。
そしたら やっと 「一度
来なさい」って 返事 もらって…。
先生とか 弟子入りとかって
一体 何の話?
陶工になりたいんだ。
自分の手で 自分の好きな形の物を
作り出したい。
夢なんだ 僕の…。
でも 母さんの手伝いしなきゃ
ならないと思ったから
我慢してた。 そしたら
初ちゃんが帰ってきてくれた。
もう 僕がいなくても 大丈夫だ。
どうせ 僕なんか
母さんのそばに くっついてたって
何の役にも立たない。
それなら いっそ…。
バカな事 言うんじゃないよ。
この4年間 あんたと仁に
オート三輪の行商 手伝わせたのは
人手が足りないから
便利に使ってた訳じゃないのよ。
そんな事ぐらい あんただって
分かってるでしょ?
僕は…。
希望。
あんたはね 酒田の米問屋の
加賀屋の
たった一人の跡継ぎなのよ。
お店は 潰れてしまったけど
いつか 立派な商売人になって
加賀屋の看板を上げなきゃ
ならない責任があるの。
母さんも そのつもりで
お預かりしたんだし
母さんには 大恩ある
加賀屋を再興させる事は
あんたの お母さんの
お加代さんにも
大奥さんにも
たった一つの ご恩返しなの。
母さんの それが務めなのよ。
けど 母さん…。
希望。 母さんね あんたには
大学へ行ってほしかった。
だのに あんたと仁は
2人とも とうとう行かなかった。
まあ それは それでいいって
諦めた。
商売なんて 体で覚えるもんで
頭でっかちになったって
しょうがないもんね。
そのかわり 母さんと一緒に
商売の苦労させようと思った。
だから 行商にも一緒に
付いて回らせたんじゃないの。
僕は 商売には 向いてないんだ。
努力もしないで そんな事
分かりゃしないじゃないの!
4年やってきたよ。 僕は僕なりに
一生懸命やったんだ。
それで よく分かった。
僕は 商売が嫌いなんだ。 希望!
同じ一生を生きるのなら
好きな事をしたい。
お客相手に 頭を下げて暮らす
一生なんて たくさんだ。
ごめんだよ。
僕は 小さい時
絵描きになりたいと思った。
でも この手で
形を確かめられる物に
だんだん 引かれて…。
日常の暮らしの中で みんなに
愛される物を作りたかった。
飾り物ではなくて
ふだん 使いながら
暮らしに溶け込んで
暮らしを豊かにする そんな物。
それには 焼き物しかないと。
やっと 先生も
来てみろって言って下さった。
僕は その先生の作品が好きだ。
あったかくて 素朴で
どこか力強くて…。
僕も そういう焼き物を
作れるようになりたい。
いいだろ? 母さん。
初ちゃん 禎 お湯 行こう。
母さん。
希望。 あんたね そんな回り道
してる暇なんてないのよ。
焼き物だなんて
夢みたいな事 言って…。
ものにならないと分かって
それから 出直そうったって
もう 遅いんだからね。
♬~
一番 素直で おしんには
従順だった 希望だけに
おしんのショックは 大きかった。
もちろん 希望に そんな
無謀な事を許すつもりなど
毛頭ない おしんであった。
♬~
(テーマ音楽)
♬~
(希望)僕は
僕の両親が どんな人だったのか
全然 知らない。
物心 付いた時には
田倉の父さんと母さんを
本当の両親だと信じて
育っていた。
今になって 加賀屋のたった一人の
跡継ぎだとか 加賀屋の看板を
もう一度 上げなきゃならんとか
言われたって
どうしようもないよ。
そうだろ?
僕には 加賀屋なんて
見た事も聞いた事もない
全く 縁のないうちなんだからね。
(仁)しかしな おふくろには
大変 恩のあるうちだそうだし
おふくろが仕えてた
お前の おふくろさんに対する
義理もあって
どうしても お前を
商人にしたいんじゃないのか?
そんな事 言われたって
僕の人生は 僕のものだ。
母さんのものでも
加賀屋のものでもない。
いい迷惑だよ。
まあ そりゃ そうだけど…。
僕は 商人には 向いてない。
商売なんて 大嫌いだ。
それより
たった一つの茶わんでもいい
これは 僕自身なんだって物を
作りたい。
それが生きてるって事じゃないか。
そうだろ?
お前は 若いな。
21にもなって 食えるか食えないか
分からないような事
夢みてられるんだから…。
俺は 戦中と戦後に
なめさせられた苦い思いだけは
二度としたくないな。
金や物がない生活なんて…
あれは 人間の暮らしじゃないよ!
とにかく 貧乏だけは
二度としたくないんだよ。
僕は 戦争の悲惨さと飢えとを
くぐり抜けてきたから
金も物も力も
信じられなくなったんだ。
父さんが あんな死に方を
しなきゃならなかったのだって
権力や金や物に
頼っていたからだ。
自分で作り出せるものを…。
親父の事は 言うな!
親父は 親父なりに 自分の人生に
責任を取ったんだよ!
俺は 偉いと思ってる!
僕だって 父さん 尊敬してる。
ただ 僕は父さんのような生き方は
したくないって言ってるだけだ。
どんな時代にも 左右されないで
生きていけるものを持っていたい。
僕には それが 焼き物なんだよ。
母さんなら分かってくれそうな
気がしてたんだが…。
僕には 母さん 泣かせるのが
一番 つらいんだよね。
母さん 運転台にある包みね
おひさおばさんから
母さんにって。 何か おいしい
そうめんの お裾分けらしいよ。
(おしん)悪いね いつも。
ちょっと 何よ!
こんなに たくさん
伊勢エビ 買ってきて!
こんな高い物 おいそれと
売れやしないよ! 仕入れは
俺に任せるって言っただろ。
あんただってね 何が売れて
何が売れないぐらい
もう分かるだろ?
それはね おひさおばさんが
「今日は 豊漁で安いから
買っとけ」って言ったんだよ。
「こんな時に もうけなきゃ
損だ」って。 何 言ってるんだよ!
まあね 2~3日は
生きてるからいいけど…。
あっ 今日からね 行商の方
初ちゃん 連れていくから。
終戦後 初ちゃんと一緒に
買い出しに行った農家の人たち
きっと びっくりするよ
初ちゃん 見たら。
希望 昨夜の話だけどね
あんた 夢みたいな事 考えるのも
いい加減にしなさい。
いくつになったと思ってんの!
もう そろそろ 本腰 入れて
商売 覚えなきゃ。
みんなで 力を合わせてやれば
こんな小さな店だって
いくらでも伸びる時代なんだから。
ねっ これから 本当の商売が
できる時が来たんだよ!
(禎)行ってまいります!
禎!
今日ね
母さん 父兄会 行けないから。
父兄会じゃないの。 PTA。
代わりにね 仁に行ってもらうよ。
仁兄さんが?
俺 嫌だよ!
今日は 特別なのよ。
高校進学の相談があるって
おっしゃってたから
誰か行かなきゃ。
禎 高校にやるの?
まあ 女だってね これからは
きちんと 教育 受けとかなきゃ
一人で生きていけるように。
今はね 女だって
どんな大学だって
行けるんだってね。
何でも 男女平等で いい時代に
生まれたんだから 禎は。
大学まで行くつもりで
しっかり 勉強するんだよ。
行ってまいります。
(初子)行ってらっしゃい。
(仁)希望。 お前
窯元に 弟子入りしたかったら
すればいいんだよ。
こんなとこ いたって
どうしようもないよ。
おふくろは「加賀屋 加賀屋」なんて
わめいてるけど
今だって この店 やっていくの
精いっぱいだもんな。
お前が 店 持てるなんて
いつの事になるんだか。 仁…。
俺だってな もう 魚屋とか
八百屋は うんざりなんだよ!
俺には 俺なりの夢が
あったんだよ。
いつか
そんな店が持てるって期待で
俺は おふくろに
4年間ついて 働いてきた。
俺 もっと すばらしいもんだと
思ってたんだよな
店 持つって事は…。
お前が 今の生活に絶望して
新しい世界 飛び込みたいって
気持ち 俺 よく分かるんだよ!
仁。 僕は この店に
絶望したからじゃない。
母さんが 魚屋から出発して
まず 魚屋として
信用のある店にしようというのは
正しいと思ってる。
ただ 僕には 商売そのものが
受け入れられないから…。
どっちにしたって
この店 出ていきたいって事に
変わりないじゃないか。
仁…。
おふくろの事は 心配するな。
お前が出ていったって
参ってしまうような女じゃないよ。
まあ お前 誰に反対されても
出ていくつもりでいるんだろ?
夜中に 荷造りしてたじゃないか。
何だ 眠ってるんだとばっかり
思ってた。
でも 行き先だけは
ちゃんと書いていけよ。
おふくろには
俺から よく話しとくよ。
(仁)羨ましいよ お前が…。
自分のやりたい事
打ち込めるものを持てるってのは
本当に幸せな男だよ お前。
お前にだって
夢は あるじゃないか。
いつか お前の夢を実現する
店だって 持てるようになるさ。
俺の事は いいよ。
それより お前
もし 挫折したら 帰ってこいよ。
物を作るって事は 大変な事だよ。
お前 自分の才能の限界を
思い知る時だって
あると思うんだよ。
でも 決して 最後のとこまで
自分を追い込んじゃ駄目だぞ。
なっ。
駄目だと思ったら諦めろよ。
とにかく無理するな。 なっ。
おふくろは 「21にもなって」なんて
言ったけど
21にならなきゃ
分からない事だってあるよ。
21になったからこそ ふんぎりが
つけられる事だってある。
(初子)よいしょ!
あっ いらっしゃいませ!
へえ~! あんた おしんさんと
一緒に買い出しに来てた
あの初ちゃんかい?
まあ ええ娘になって!
ホンマ 見間違えたわ!
これからも
よろしく お願い致します。
あんた まだ 独りか?
ええ婿さん 世話せなあかんな。
ほ~ら また始まった!
(一同の笑い声)
お帰り!
(2人)ただいま!
PTA どうだった?
県立 心配ないって。
そう。 よかった。
嫌な役目させて 悪かったね。
希望は?
希望が弟子入りする先生の住所だ。
♬~
母さん…。
お忙しいところ
突然 お邪魔致しまして…。
お初に お目にかかります。
私 この度 こちらに
ごやっかいに なっております
八代希望の母親代わりを
している者でございます。
(栄造)あ~ 希望君の…。
あっ そうですか。
どうぞ お掛けなさい。
もっと早くに ご挨拶に
伺わなければいけませんのに
希望が 私に 何にも
話してくれないもんですから
遅れてしまいまして…。
そうですか。 やっぱり
おうちの方には 黙って…。
私が反対だったものですから…。
私も
しっかりした保証人のない者を
弟子にするなんて事は
しないんですがね
希望君からは 何通も
熱心な手紙が来てましてね。
その熱意に
ほだされたというか…。
そうすると 昨日 もう
荷物を持って やって来まして
二度と うちへは帰れないと
言うでしょ。
それを追い返す訳にも
いかなくって…。
ご迷惑を おかけ致しまして…。
いやいや。
実は 希望君の手紙で 家庭の
事情も よく分かっているんです。
連れて お帰りになりたい
お気持ちも よく…。
しかし 希望君の情熱も
むげには できませんし…
会ってみると
なかなかの好青年ですしね。
それでは
置いて頂けるんでございますか?
まあ 才能は 未知数ですが
お母さんのお許しさえあれば
しばらく お預かりしたいと
思っています。
ありがとうございます。
ただ 見込みがないと
お思いでしたら
いつでも お帰し下さいまし。
本人も やるだけやって
駄目なら 悔いはないと思います。
それだけは くれぐれも…。
分かっています。
この道は 努力と情熱だけでは
どうにもなりません。
才能がないと分かったら
早めに 引導を渡すのが
師匠の責任ですよ。
ほかの道で やり直しがきくうちに
お帰しします。
一人前になるには
10年は かかるそうだよ。
そうしたら 母さん もう 60だ。
もし その時 母さん 生きてたら
還暦のお祝いに
希望が焼いた お湯飲みで
お茶が飲みたいね。
母さん…。
希望は やっぱり お加代様の子だ。
お加代様は 絵が お上手だった。
「絵描きになりたい」って…。
お加代様の果たせなかった夢を
希望が継ぐ事になるんだね。
それで いいのかもしれない…。
先生に かわいがって頂くんだよ。
母さん…。
きっと 作ってみせるから!
♬~
希望は とうとう おしんの懐から
巣立っていってしまった。
「これでいいんだ」と
自分に言い聞かせながら
おしんは 胸に ポッカリ開いた穴を
一人 抱いて帰った。
…が おしんを裏切ったのは
希望だけではなかった。
もう一つの裏切りが
おしんを待っていたのである。