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♪~
(八郎)何してんねん。
(喜美子)ジョージ富士川やった!(八郎)ジョージ富士川さん な。
(照子)何で戻ってくるん。何で? 何で うちのために こんな…。
喜美子のための特別実演会やで。楽しめ!
ほなな。あかん! あかん あかん あかん!
一緒に楽しめ…!いや うち 昨日行ったで…。
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして 胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も 涙に負けるもんか」
お邪魔しますぅ。(ジョージ富士川)はい。あ~ ここは狭いで外でやろう 外でなあ。
バケツや器 あるだけ使わしてや。はい。
あの!
申し遅れました 川原喜美子と申します。はい。
あの… うち 大阪いた時絵ぇ描く勉強したくてその… ジョージ富士川先生が講師をやられ
ている絵の学校に行きたくて…。
ああ あの中淀にある。
そうです!ああ ああ。あの美術の学校です。
ほやけど 信楽帰ることになってその夢は かないませんでした。
もう お会いすることはないかと…それが 昨日 実演会で!
もう…ほれも行けんようになってしもて…それで… もう会えへん思うてたら…。かまへん か
まへん。
こんなとこで…!さあ やるで!
どや? 川原さん。
何 描いたらええか…。
せやなあ 何 描いたらええかなあ。
自由に何でも描け言われてもななかなか さっと描けんもんやな?はい…。
大人は 特にな身も心も固うなってしもてるから。はい…。
自由 自由言われる方が 不自由や。
よっしゃ 課題出したるわ。
次は みんなに これ描いてもらおうかな。
(武志)土ぃ?ハハッ 信楽の土やで。
信楽の土には 長石いうのが 粗いのんから細かいのんまで いろいろ入ってるで。
(武志)ほな 青色も使てええ?うん。
みんなにはな ジョージ富士川の鼻や 耳や 唇や 目玉ついてるやろ。
それついてたらな見えへん色も見えるようになるんや。
不思議やなあ。さあ 描け。 好きなように描け~!思いっきり描け~!(子どもたち)は~い
。
♪~
(お手伝いさん)ああ… ちょっ ちょっ…真里子ちゃん お洋服…!
汚れてもかまへんよ気にしてたらできひん。
こうせな あかんなんて決まりごとは…一個もないんやで。
(ジョージ)いくよ~!キャ~!わ~!
アハハッ すごい!
自由は不自由や。で 不自由の先に また自由がある。
ほな 自由って何や。
いくで? よいしょ。
アハハッ!
あかん!
♪~
(ジョージ)いくよ。 いけるか? いけるか?よ~し。 ああ~! よし きた。
せ~の!
♪~
(ジョージ)いくで いくで!
♪~
(ジョージ)いくで いくで いくで!いくで~!
(歓声)
♪~
ジョージ富士川と出会った日から八郎は 猛然と作品作りを始めました。
喜美子も自由に作ってみたいと思いました。
けれども…。
八郎は 作品を春の陶芸展に出品しついに金賞を受賞しました。
(信作・小声で)ハチ ハチ!硬い。 顔が硬いて。笑え 笑え!(八郎)笑うてるて。
笑うてへんて。(八郎)笑うてるよ。
(柴田)ちゃんと笑わんかい。
(秋安)お~。お~! あっ 社長さん。
(敏春)ついに金賞 取ったな。(一徹)すごいなあ。
(秋安)大したもんや。ありがとうございます。
(敏春)よかったやないか。 おめでとう。(一徹)おめでとうございます。
(秋安)おめでとうございます。ありがとうございます。喜美子!
何や 何や 何や。 何や?役場入ってすぐの飾り棚になあの受賞作品置かしてもらおういう
話があんねんけど。
信作君 そらないわ。そらない。 あきません。
受賞作品? いや そらうちの窯業研究所に飾らしてもらうで。
(敏春)ちょっと ちょっと待って下さい。(佐久間)飾らしません。
うちで預からしてもろて高値で売りに出します。
(敏春)お宅 どちらさん?
(佐久間)美術商やらしてもろてます佐久間いいます。
結局 ここに置いとくことにしたん?みんな もめてたからな。
そやな。 平和的解決やわ。八郎さんらしいな。
僕が片づけるさかい 喜美子は やりぃ。うん?
ずっと 作りたい思てたんやろ。ジョージ富士川さんに会うてから。
いつ作りだすんやろう思てたけどなかなか作りだせへん。
僕の仕事の邪魔せんとこうと思て遠慮してたんか。
僕の方は もう落ち着いたからな。喜美子の番や。
自分の作品 作りぃ?
♪~
ありがとう。
(百合子)ただいま。(マツ)お帰り。(武志)お帰り!今日 カレーやって!カレーやと機嫌ええ
なあ。
お帰りなさい。ただいま。
納品先の人にな お義兄さんが金賞 取ったこと また言われたで。
ほんでな お父ちゃんのこと聞かれた。
ほやから 「去年の秋に」て言うといた。最近 やっと泣かんと言えるようになったわ…。
(マツ)せやな 百合子は 思い出してはグスグス泣いてたもんな。
♪~
(泣き声)
お義父さんのことが浮かぶんやな。
(泣き声)
喜美子は 八郎の腕の中で泣きました。
川原家の長女として父を見送ってから初めて…やっと 泣くことができました。
♪~
喜美子の手が動きだしました。
♪~
誰のためでもない 自分だけのために。
自由に… 初めて 自由に作りました。
♪~
川原喜美子 初めての作品です。
来い。来い。
松永三津といいます。 初めまして。
じゃ~ん!ええ!
命と同じくらい大切なものて 何?
金賞 狙ってます。うち お金持ちちゃうの?
僕と喜美子は ちゃうで。 違う人間や。
1 2 3 4…。