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1ヶ月毎日ブログ書く企画ではじめたブログです。

エスカレーター歩行問題に現実的決着をつける 【前編: 歩くと速いのか?】

駅や商業ビルなど、大都市部での垂直移動において欠かせないインフラ、それがエスカレーター。

ただ「エスカレーターは歩行していいものなのか?」という謎がつきまとっている。
と、少なくとも私は感じていた。

そもそも歩く人と、止まって乗る人があんな狭いところで交錯しうるのって、危なくないか?
でも、片側を開けて、歩くことは、僕が物心ついたころ(1990年代)には既に不動の常識だった気もする。記憶は曖昧だが。

調べてみると、日本では1970年代くらいから推奨され始めたとこのこと。 (*1)

すごいな、50年も歴史あったんだこの慣習。

実際、どんな考えを持っている人がいるのか。
ゼゼヒヒという投票サイトを眺めてみる。 (*2)

「片側歩行していい」
「歩行なんてダメに決まってる。でも都市部では習慣的に片側開けるような『悪習』が生まれているので、本来早くこれをやめさせるべき」
「場合によって分ければいいのでは?駅なら歩行OK、商業施設ならNGとか。時間帯で分けるとか。」
などなど色々な意見がある。

業界団体としてはどう考えているのか?

一般社団法人 日本エレベーター協会は、歩行禁止を呼びかけている。(*3)
同協会は鉄道会社と組んで2009年頃から「みんなで手すりにつかまろう」という呼びかけを続けている。

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このポスター、見たことある方も多いと思う。

しかしながら、実効性を発揮しているだろうか...?
私は正直なところ、東京都内の駅で、両側にしっかり手すりにつかまって歩かず乗っている光景を見たことはない。

この「問題」の研究者の意見も拾ってみよう。

江戸川大学の斗鬼 正一教授は、歩行容認は、強者の論理が最優先された時期の産物にすぎないとして、多様性を重視すべき現代において、歩行に否定的な意見を述べている。しかし、実際問題、歩行前提になっている今の状況を「すべて禁止にせよ」というのもまた、一方的であるという意見も示しており、一律の「廃止/存続」の二元論ではない解決法探しを提案している。(*4)


さて。
私自身は、今回いろいろと調べてみるまでは
「歩行禁止らしいんだけど、みんなやってるし、自分も急いでるとしてるから、なんともいえないな〜」
という曖昧さの固まりのような意見であった。

せっかくなので、この問題に対して何か創造的なアプローチを取ってみたい、と思う。

そこでまず、自分でデータをとって調べてみることにした。

調べたいこと。それは。

本当に、エスカレーターを歩くのは「速さの面で合理的なのか?」 である。

私が思っている仮説。
それは
「実はエスカレーターを歩いても大して時間節約になっていないのに、習慣で歩いてしまっているだけ」 ではないか
ということだ。

今回、実験により、歩くのは大して効果がないと分かれば、世の中に「歩くのはやめましょう」という材料ができるかもしれないと考えた。

ということで。
勤め先の近くにある大型商業施設兼オフィスビルにやってきた。

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ここの1Fと2Fの吹き抜けゾーンをつなぐエスカレーターで、実測してみることにした。
なお、このエスカレーターは幅がせまく、一人用の幅になっているが、むしろ実験を安全に行う上では好都合なので、採用した。
見たところ、エスカレーターの上昇、下降速度が著しく速い、遅いということもないようだ。
サンプルとしては問題ないだろう。

というわけで実験開始。

なお、今回の実験では、エスカレーターの手すりが始まるところで(= 弧を描いて下から出てくるところ)ストップウォッチのスタートを押し、到着して手すりがまた弧を描くところをゴールとして、そこに到達したらストップを押している。

まず、静止して、エスカレーターに乗ってみた時のタイムを測定した。

▲上り
28秒74

▼下り
29秒20

次、歩いて乗ってみた。なお、歩く速度は一般に駅のエスカレーターを歩行する際のくらいになるよう心がけた。

▲上り
15秒04

▼下り
15秒42

結論

エスカレーターは、歩行するとすげー速い

なんと、止まって乗っているときの半分の時間で着いてしまう。
いや、これはね、急いでたら歩きますわ。

てかさ、まあ、そりゃそうだよね…。
ひょっとしてこんなん調べたの、ぼくだけなのでは…。

ということで、移動速度の合理性の観点から、歩行の有用性を否定する見解を組み立てるのは不可能でした。
終了。

ってこれで終了したらオチがなさすぎる。
試しに階段だとどれくらいのタイムになるのか計測してみた。

残念ながら、エスカレーターの横にまったく同じ長さでの階段がある建物ではなかったので、同じビルの吹き抜けを繋いでる、踊り場がある階段にやってきた。

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ここでタイム測定すると踊り場で折り返すために、1-2秒程度タイムが伸びてしまうことが想定されるが、それを承知で計測してみた。
なお、歩行速度は、エスカレーター歩行したときと同程度になるように意識した。

▲上り
23秒52

▼下り
25秒01

エスカレーターに静止して乗っているよりも、少し速かった。 とはいえ、エスカレーター+歩行というコンボに比べると、とても速度では勝てなかった。当たり前か...。

だが、一個可能性に思い当たった。 階段を1段ずつ上っているから、この時間がかかるのではないだろうか。

人類の足には、1段飛ばしくらいで上るだけの可能性はある。

これをやって、エスカレーター上で歩行するより、階段を使ったほうが速いというケースを証明できれば、そちらを選ぶようになるひとも増えるのではないか?

それは、速度合理性でも、安全性への配慮でも、エスカレーター歩行を上回る結果だ。
そして、「健康へのプラス」も得られることが大きい。

先日亡くなった聖路加国際病院日野原重明先生のことを思い出した。
100歳を超えてなお現役医師であった。
そして、階段上りで健康維持を実践していたことは有名だ。 (*5)

そのためには、実験だ!
階段上りの速さを証明して、エスカレーター歩行を減らせば、みんなハッピーになる(かもしれない)!!


*1

news.nifty.com

*2

エスカレーターの歩行禁止、どう思う? | ゼゼヒヒ - インターネット国民投票

*3

www.n-elekyo.or.jp

*4

business.nikkeibp.co.jp

*5

news.ameba.jp