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訪朝団きょう出発 北朝鮮、産経新聞記者の同行拒否
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《1999年12月01日 東京朝刊 1面》
社民党の村山富市元首相を団長とする超党派の国会議員訪朝団は1日午前、羽田空港をチャーター機で出発して北朝鮮・平壌に入るが、産経新聞記者は北朝鮮当局から入国を拒否された。訪朝団の同行記者募集に対して報道各社の希望は当初、全体で50人程度にのぼった。産経新聞社も政治部、外信部、写真報道局から記者2人とカメラマン1人の参加を要望した。
しかし、北朝鮮当局は、産経記者の受け入れを認めない意向を訪朝団事務局に伝えてきた。さらに同行記者団の人数を全体で24人に抑え、記者を各社1人、写真カメラマンを全社の代表2人、放送カメラクルーらを代表5人とするよう求めてきた。
このため、産経新聞は同行記者団に関する事務を受け持つ自民党などを通じ、北朝鮮当局側に産経記者1人の入国を認めるよう要請したが、本紙記者のみ認められなかった。同行を認められたのは新聞九社、通信二社、テレビ局6社の計17社24人。
朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)は、産経記者の入国を拒否する理由について「コメントはしない」としている。
また、産経新聞の同行取材拒否に関し、訪朝団団長の村山元首相も「コメントできない」としている。
産経新聞は平成2年9月の自民、社会両党(金丸信、田辺誠代表)の訪朝団を皮切りに同年10月の自民、社会両党(小沢一郎、土井たか子代表)訪朝団、さらに4年の自社訪朝団(田辺誠、池田行彦代表)にそれぞれ同行した。北朝鮮側はこのとき、日本の国会議員団に同行する日本側の報道機関を制限することはなかった。
住田良能・産経新聞東京本社編集局長の話 「産経新聞記者に対して訪朝団の同行取材を認めないという北朝鮮側の態度は、きわめて遺憾だ。これは報道の自由に対する認識の欠如を示し、また、産経新聞の読者を差別するものでもある。産経新聞は、今後も北朝鮮報道に力を入れる。本紙記者の同行実現のために努力してくれた関係各方面の方々には深く感謝する」