公開された、3万2,000点を超える「バウハウス・アーカイヴ」

1900年代前半に数多くの才能を輩出したドイツのデザイン学校、バウハウス。ハーヴァード大学に長年にわたって寄贈されてきたその卒業生たちの作品が、オンラインアーカイヴとして公開された。

バウハウスは本当に消滅したわけではない。この有名なドイツの美術学校が実際に存在したのは、1919〜1933年までのわずか14年間だが、その遺産は多くの方法で生き続けている。

最も新しく姿を現したものが、ハーヴァード大学の膨大なオンラインアーカイヴだ。同大学では、絵画や素描、写真、彫刻などをはじめとした3万2,000点を超える作品をデジタル化して、誰もが閲覧できるように公開したデザイン好きの人なら、何時間でも至福のひとときを過ごせるだろう。

バウハウスは、芸術とデザインの分野が重なり合い、ひとつの芸術言語として融け合う理想的な学校をつくるという目標のもとに、建築家のヴァルター・グロピウスが1919年に創立した学校だ。建築から織物、グラフィックデザインまで、ありとあらゆるものについてのワークショップが開かれた。ただし、ここから生まれた最も有名なものが、「ここで学んだ人々」であることは間違いない。

バウハウスの卒業生には、非常に多作で影響力の大きい人々が多い。1933年にナチス政権からの圧力によって閉校となったあとでさえ、バウハウスで学んだ芸術家やデザイナーたちは、その教えを広め続けた。建築家であり、バウハウスの最後の校長を務めたミース・ファン・デル・ローエは、シカゴに亡命してアーマー大学(現在のイリノイ工科大学)建築学科の主任教授になった。デザイナーのヨゼフ・アルバースは、米国ノースカロライナ州のブラック・マウンテン・カレッジに移ったあと、イェール大学で教鞭をとった。

創設者のグロピウスは、最終的にハーヴァード大学に落ち着き、同大学デザイン大学院で1937〜1952年まで主任教授を務めた。これにより、ハーヴァード大学とバウハウスとの深い関係が始まったのだ。

バウハウスの巨匠と学生たちは、長年にわたって、自分の作品をハーヴァード大学のブッシュ・ライジンガー美術館に寄贈してきた。これが、失われていたかもしれないバウハウス作品の、世界最大のコレクションのひとつとなっている。

ハーヴァード大学は、膨大な量の情報にアクセスしやすくするために、素晴らしい作業を完成させた。アーカイヴは手法ごとに整理され、有名なデザイナーの学生時代の作品を紹介している。作品は、キーワードやタイトル、作者名、物件番号で検索可能だ。

このアーカイヴは、バウハウスのデザイナーたちが生み出した膨大な数の作品をコンテキストに沿って説明する助けにはなる。といっても、バウハウスの遺産は、その長く続いてきた影響力の大きなデザイナーたちによってすでにしっかりと確立されている。アーカイヴは、彼らの作品を見つけやすくするものに過ぎない。

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ミルクを使わずにラテをつくれる「キサンタンガム」の秘密

「キサンタンガム」を使えば、ミルクがなくてもクリーミーなラテがつくれる。細菌の代謝で生まれるこの多糖類の粉末は、食品の「とろみ」づけや、ケチャップを容器から出しやすくするために活用されている。

TEXT BY BRENDAN COLE
TRANSLATION BY MINORI YAGURA, HIROKO GOHARA/GALILEO

WIRED (US)

世界で最も高価なコーヒーは、糞でできている。正確に言えば、1杯が80ドルする高級コーヒー「コピ・ルアク」は、「ジャコウネコの消化器を通過したコーヒー豆」からつくられる(日本語版記事)。

「ミルクを使わないラテ」がほしければ、それも「糞」からつくることが可能だ──つまり、ある細菌の代謝に伴う物質を利用するということだ。

料理メディア「ChefSteps」の友人たちが、ちょっとした秘密を教えてくれた。キサンタンガムを利用すれば、ミルクがなくてもクリーミーなラテがつくれるというのだ。

キサンタンガムは、キサントモナス・キャンペストリス菌の代謝により産出される多糖類だ。キサントモナス・キャンペストリス菌は、葉のある植物に感染し、褐斑を発生させる。さらにこの細菌は、コーンシロップのような糖を発酵させてドロドロのペースト状にする。これを純化すれば粉末パウダーになる。

キサンタンガムの粉末は、液体を濃くしたり、固形物をうまく固定させたりするのに驚くほど役に立つ。そのため、発見されてから60年の間に、サラダ用ドレッシングやヨーグルト、卵の代用品など、数え切れないほど多くの食品に用いられてきた(植物病原菌の代謝物を摂取するのが心配な人もいるかもしれないが、自分が植物ではないことを思い出してほしい)。

しかもキサンタンガムは、ほとんどの液体でその効果を発揮する。熱くても冷たくても、酸性でもアルカリ性でも、石油やホイップクリームでも大丈夫。コーヒーでもそれは同じだ。少量のキサンタンガムを混ぜると、コーヒーはラテのように濃厚になるのだ。

キサンタンガムは、いくつかの興味深い物理的効果も生み出す。ケチャップのような物質を、「シアシニング流体」(Shear-thinning fluids)に変えるのだ。シアシニング流体とは、何らかの力を加えられたときだけ粘度が下がり、液体のようになる性質をもつもの。それ以外のときは、どちらかというと不安定な固体のような状態となる。

容器を叩いたときだけ、ケチャップが出てくることを思い出してほしい。容器を叩くとケチャップに衝撃が与えられ、一時的に濃い液体のようになり、容器から流れ出るようになる。皿に載せると力がかからないので、ケチャップは粘りけのある固体のような状態に戻る。

さて、キサンタンガム入りのラテをおいしく飲んだら、残りの粉末状のキサンタンガムを使って、シアシニング流体を使った物理実験をしてみよう(下記動画)。

キサンタンガムを入れたペンキをスピーカーの上に流し込んでみるとどうなるか?

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