pixiv will revise its privacy policy on May 16, 2018. The contents become clearer and correspond to the new European privacy protection law.

Details

Welcome to pixiv

"世界は屋上で見渡せた", is tagged with「Vtuber」「羽凛もこ」and others.

Vtuberの羽凛もこさんでSSを書かせていただきました。タイトルの元ネタはピロ...

池峰奏

世界は屋上で見渡せた

池峰奏

11/29/2019 16:56
Vtuberの羽凛もこさんでSSを書かせていただきました。
タイトルの元ネタはピロウズの同曲からです、
雲の上からの景色は見たことがあるかな。写真で、あるいは飛行機に乗って見たことがある人もいるかもしれない。

みんなはどんな感想を抱くかな、地上で見るとあんなにも大きい木々や建物が豆粒のように小さくなっている。一目見たときは息を飲むことかも。

それはいつも綺麗だった。大きな変化もない、いつだって変わらない。もこさんにとっては退屈な景色だった。

私は、雲の上から世界を見下ろしていた。



地上におりてきて(落ちてきて?)しばらくたった。まずもこさんは人の多さに目を回した。雲の上とは大分違うなー。慣れるのには少しの時間を要した。だけど、そんなこんなで親しい人もたくさんできた。

過不足ない生活、それでも一人になりたい日だってある。それがたまたま今日、暇な土曜日に思い立っただけ。

なにしようか、少しだけ悩んで今日は天気がいいことを思い出した。そうだ、散歩でもしようかな。

天気予報では今年一番冷えるらしい、しっかりとした防寒対策が必要だなー。もこもこなもこさんの名に恥じないくらいもこもこに着込んで準備はばっちしだ!

荷物は……どうしようか、手軽なほうがいいかな。スマホと財布だけをポケットに入れて、あとはイヤホンで音楽でも聞きながら歩こうかな。

定期的に嘘をつく天気予報も今日は当たっていたようで家を出て一歩目から冷たい空気が露出した頬に刺さる。

「もこさんはこれぐらいじゃ負けないぞ」と自分自身に言い聞かせるようにつぶやいて、さらに一歩を踏み出した。

さて、目的地などは特に決めていなかったなー。どうしようか、頭で少し考えながらも気が向いたほうへぶらぶら歩いていく。耳元でイヤホンは流行の音楽のキャッチーなメロディを繰り返している。

は!もこさんは重大な間違いに気が付いてしまった。手元がもこもこしていない、手袋を忘れてしまった!ポケットに手を入れて応急処置を施していたがそれも限界が近づいている。手がかじかんできた。

今更手袋を取りに戻るのもなんか違う気がするしどうしようかな。うーん、うーん、頭を振りながら悩んでも時間だけが過ぎていくだけだー。ふと目に飛び込んできたのは自販機。こ、これはもこさんの救世主になるのでは?!

「ど、れ、に、し、よ、う、か、な!」、指が止まったのは甘いカフェオレ!

ガコンと勢い良く落ちてきた缶を両手で包むように持つ。「あー、あったかい!」、ホッカイロ代わりにカフェオレを持つ。飲むのはまだあとでいいかな。

夏の暑い日だけでなく冬の寒い日も自販機は役に立つなー。「いつもお疲れ様です!」、もこさんを助けてくれた自販機にお礼を言い再び歩き出した。


習慣とは恐ろしいものだ。適当にぶらぶら歩いていたはずなのにいつの間にか学校へと足が向いていた。

ここまで来たからちょっとだけ寄って行こうかな。私服での登校は禁止されているが見つからなかったら問題ないかな。もし見つかっても少しの注意で済むだろうしね。

いつもと同じはずなのに全く違って見える学校に胸が躍った。下駄箱には上履きがあるけれど、もちろん人目を忍んでいる今は取りに行くことはできない。人通りの少ない入口からお邪魔する。

流石に下足のまま入れないからと靴下で進む、冷えた床が足の裏からもこさんの全身の体温を奪っているようだった。「もこさんはこれぐらいじゃ負けないぞ」と再度自分自身に言い聞かせるようにつぶやく。よし、また歩き出せる。

部活をやっている人が多いのか、土曜日でも人はそれなりにいた。それらを回避するように、避けて避けてとルートを選んでいるといつの間にか屋上へと続く扉の前にいた。廊下には必然的に人が多く、上へ上へと登ってきた結果だった。うーん、どうしようか。もう満足したから帰ってもいいけど、せっかくだから。鍵がかかっていたら素直にあきらめようね。

祈るようにドアノブに手をかけると驚くほどすんなり扉は開いた。「不用心だなー」自分のことを完全に棚に上げた発言だけどね。

手に持った靴を再び履き直し歩き出す。あれほど寒くて辛かった風が気持ちよく感じた。耳元でなり続けた流行の音楽を止めると、さまざまな音にあふれていることに気がついた。

これはブラスバンド部のパート練習だろうか、あれは野球部の応援の声、陸上部の笛の音。つられて視線を動かすと絶え間なく動く人の姿。一秒だって同じではなかった。自然に笑みがあふれる、頑張っている人を見るとこちらまで頑張ろうという気力がわいてくる!

寒いながらホッカイロ代わりに頑張ってくれていたカフェオレは、まだ人肌程度の暖かさは残っていた。プルタブを開けて一口飲むと優しい甘さが身に染みる。なんだか幸せだなー!

ふと、空を見上げる。雲はあんなに高いところに浮かんでいるのに、それに比べるとここはこんなにも低い場所なのに。


世界は屋上で見渡せた。
  • Views49
  • Likes0

Submitted Works

 

Send feedback