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『ワイドナ』で松本人志を前にゲス極・川谷絵音が「ちゃかし、嘲笑の文化」を批判! そのとき松本は不機嫌そうに…
新幹線殺傷事件で死刑を望む声を「感情論」と言い切った川谷絵音
しかし、川谷の指摘はとても貴重だった。泉谷しげるらが「死刑でしょ」と主張したすぐ後に、「死刑にしてほしい」という意見を感情論と言い切るだけでもなかなかたいしたものだが、川谷がもっとも評価に値するのは『ワイドナショー』という場で、被告の断罪という安全な態度に逃げることなく、本質的なことを語ろうとしたことだ。
「無敵の人」というワードを使いながら、被告の犯行がいじめなど(実親によるネグレクトの可能性なども指摘されている)による社会的疎外の結果である可能性を指摘し、「こういう犯罪がもう起きないようにするには、ちっちゃいところからやってかないといけない」という言葉で、厳罰では防止できないことを示唆した。
さらには、「オーレンジ」と発音してからかわれた帰国子女の例を出して、日本の同調圧力と嘲笑文化の問題にまで踏み込んだ。
この川谷の主張は極めて真っ当だ。今回の事件に限らず、「嘲笑」や「いじり」が社会からの疎外を生み、追い詰め、最終的に若者を自殺や無差別犯罪に走らせてしまうケースも少なくない。
メディアなどでそうした「嘲笑」「いじり」は「いじめとは違う」、「愛のある“いじり”はいい」という議論もあるが、それは加害者の意見であって、「いじり」も本質的にはいじめと変わらない。
たとえば、タレントのりゅうちぇるが「Seventeen」(集英社)2016年12月号で「私はいじられキャラで、イヤだ」という中学生の悩みに答えるかたちで、この「いじり」の問題を語ったことがある。
パートナーのぺこが「いじられたら、「それは嫌や」と言っちゃえば……」とアドバイスすると、りゅうちぇるは「そしたらめっちゃ空気が悪くなるんだよね。権力がすべてみたいな学校ではいじられるコは弱いコなんだよ」「僕の学校はカッコいいコとかわいいコしか権力がなくて、それ以外は弱くて、いじられる感じだった」と、回答したのだ。
いじめ加害者がよく口にする、「いじめじゃなくて、ただの"いじり"」というのは詐術にすぎず、いじりの背後には、結局強い者と弱い者の権力関係がベースにあり、いじられる者はマジョリティによる空気を悪くしてはいけないという同調圧力に従わされているだけ。それをりゅうちぇるは見抜いていた。
そして、この日の川谷もまた、その「いじり」「嘲笑」が日本社会で人を追い詰める大きな要因になっていることをきちんと指摘したのだ。
しかも、川谷がすごかったのは、それを松本人志の前で言ったことだ。言うまでもないが、この「いじり文化」「嘲笑文化」を助長しているのは、お笑い芸人であり、松本人志こそがその代表的存在だからだ。バラエティで「笑い」「いじり」という名目で、差別やセクハラ、いじめネタを連発し、さらにはコメンテーターとして「いじりといじめの違いは笑えるかどうか」などといじり(=いじめ)を正当化するかのような意見を垂れ流す。
意図していたかどうかはわからないが、川谷は嘲笑文化の中心にいる芸人のすぐ隣で、事件の根底に嘲笑文化があると指摘したのである。
川谷がこの話をしているとき、松本は顔を川谷から背け、上方を睨みつけるような、不機嫌そうな表情を浮かべていた。川谷の意見に同意していないのは明らかだった。『ワイドナショー』では、こうした松本の醸す威圧的な空気に気圧されて、ほとんどの出演者は、松本と異なる自分の意見を言えなくなることが多いのだが、しかし川谷は、松本の不機嫌な様子を気にすることなく、自分の主張を語り続けた。
さすがベッキーとの不倫騒動のときに、世間の「謝れ」という道徳ファシズムに簡単に屈しなかっただけのことはある。川谷が『ワイドナショー』やバラエティに出演する機会はそこまで多いわけではないが、せっかく出るなら、この“空気を読まずに本質に踏み込む”姿勢をぜひ貫いてもらいたいものである。
(本田コッペ)
最終更新:2019.12.27 08:09
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