■「韓半島唯一の合法政府」に言及した教科書は1種類だけ
48年の国連総会で「韓国政府が韓半島唯一の合法政府」だと承認したという内容は、未来Nの教科書にのみ収められた。金星・飛翔教育の教科書は「選挙が可能だった」という表現を付け加え、韓国を38度線以南で樹立された唯一の合法政府だと縮小して表現した。こうした記述は「韓国は38度線以南で樹立された唯一の合法政府」だという、故・李泳禧(リ・ヨンヒ)教授の主張に基づくものだ。歴史学界では、こうした主張は国連総会決議の前段・後段をつなげてこしらえられた「誤訳」だと指摘してきた。国連総会決議第195号は「そしてこれは、韓半島で唯一のそのような(合法)政府であることを宣言する(and that this is the only such Government in Korea)」となっているが、巧妙な編集で「韓国は38度線以南で樹立された唯一の合法政府」という詭弁(きべん)を作り出したのだ。
ほかの3種類の中学校歴史教科書は「韓半島唯一の合法政府」について記述していないことが判明した。また天才教育と東亜出版社の教科書は、韓国について「大韓民国政府樹立」と、北朝鮮について「朝鮮民主主義人民共和国樹立」と記述した。明知大学のカン・ギュヒョン教授は「北朝鮮は共和国樹立と記述しつつ韓国は政府樹立と書いたら、それは韓国の歴史を格下げするもの」と語った。
■金大中・盧武鉉・文在寅政権だけが民主化・平和の努力?
さらに、6種類のうち5種類が現在の文在寅(ムン・ジェイン)政権を取り上げ、前向きに記述していた。金星出版社の教科書だけが、文在寅政権への明示的な言及を行わなかった。志学社の教科書にある歴代政権関連表では、金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)・文在寅政権についてそれぞれ二つずつ民主化と平和のための努力を紹介し、金泳三(キム・ヨンサム)・李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クンへ)政権については何も触れなかった。