2020年登場と見られる次期iPhone、通称iPhone 12(仮)は5G対応と見られていますが、そうした需要から日本メーカーの太陽誘電が好調を期待していると報じられています。少し上の世代にはCD-R等の記録メディアのメーカーとして知られている太陽誘電。一般消費者からは縁遠くなった印象がありますが、実はiPhone向けコンデンサの主要サプライヤーとしての地位を確立しています。日経新聞が「iPhone廉価版」ことiPhone SE2(仮)の噂を報じた際も、
アップル関連株として大幅高となっていました。
今回のBloomberg報道によれば、太陽誘電の登坂正一社長は、中国での5G普及が加速していることもあり、来年は主力製品である積層セラミックコンデンサー(MLCC)の需要がいっそう高まるとの見通しを示したとのことです。5G基地局からは受注済みであり、来年の早い時期にはスマートフォン関連の注文も予想できると述べられています。
MLCCは電圧や電流を安定させるための部品であり、スマートフォンやテレビ、冷蔵庫から自動車に至るまであらゆる電化製品に使用されているもの。それがなぜ5G化で需要の急増が見込まれるかといえば、「5G機器の消費電力が4Gよりも増えるため」です。
5Gでは4Gよりも大容量のバッテリーを必要とするため、約1000個(4Gの約3割増し)ものコンデンサを使用する場合もあります。これにより他の部品を搭載するスペースが圧迫されるため、より小型かつ大容量に対応したコンデンサへの需要が高まるわけです。
登坂氏はファーウェイやサムスンが5Gスマートフォンとリードすると述べる一方で、2020年9月発売と見られる5G対応iPhoneも織り込んでおり、部品の受注は6月中に来る可能性があると予想。その需要を満たすのに十分な生産能力があると語っています。
iPhone 12の一部ないし全てが5G対応の可能性を補強する周辺事情や予測は、時が経つにつれて増えつつあります。
日経新聞もクアルコム最新5GモデムチップX55が搭載されると報道し、
有名アナリストMing-Chi Kuoもそれを再確認していました。さらに
クアルコム社長もアップルとの関係は「最優先事項」と宣言しています。
ただしiPhoneの5G対応が売上におよぼす影響に関しては
「アップルがサプライチェーンパートナーに1億台を超えるとの予測を伝えた」とされる一方で、
5Gインフラ整備不足で期待外れに終わるとの見方もあります。そうした未知のリスクに保険を掛けるために、
小型かつ廉価なiPhone SE2が来年春に向けて準備中なのかもしれません