人生には分岐点がある。5月19日。その日は本来なら梅津の3度目の登板日。だが14日の雨天中止の影響で登板が流れた。メンタルが不安定な時期。「全てが受け入れられなかった」。イライラが爆発した。ナゴヤ球場の屋内練習場のブルペン。納得いく投球ができず、受けてくれた東洋大の先輩・小川ブルペン捕手に不遜な態度を取った。
モヤモヤした気持ちを抱えた人間は普段と違う行動を取るらしい。活字嫌いが1冊の本を持って選手寮「昇竜館」のサウナへ。開いた1ページ目。飛び込んできた文字に目を奪われた。
自身の座右の銘。「人に感謝できない。今、僕は一番なりたくない人間になっている」。すぐに謝りにいった。開いていたのは名将・野村克也さんの著書「野村ノート」(小学館)だった。
後半戦。ヒーローインタビューなどで必ず聞いた「○○さんのおかげで」。来季も、いやずっと変わらないだろうな、と思う。 (長森謙介)